“ヒョプ様”の愛称で知られる俳優チェ・ジョンヒョプが、日本ドラマに再び登場する。
橋本環奈が主演するABEMAオリジナルドラマ『バカンスの法則』に出演することが発表され、7月31日からはNetflixで世界配信されることも決まった。
本作は、漫画家の東村アキコが自身初となる連続ドラマの原作・脚本・監督を務める作品だ。
多忙な日々に疲れた主人公・星野緑が、海辺の別荘でミステリアスな管理人・西上と出会い、恋に落ちていく“デトックス・ロマンス”を描く。橋本環奈が星野緑を、チェ・ジョンヒョプが西上を演じる。
チェ・ジョンヒョプといえば、2024年にTBS系ドラマ『Eye Love You』で日本の視聴者に強い印象を残した俳優だ。
同作で彼は、韓国俳優として初めてTBSのプライム帯連続ドラマで主演級を務めたと韓国メディアでも報じられ、“ヒョプ様”という愛称まで生まれた。Netflix日本のTVショー部門やTVerランキングでも上位に立ち、単なるゲスト出演ではなく、ブームを作った存在だった。
そのチェ・ジョンヒョプが、今度は橋本環奈主演作に出演する。日韓エンタメの距離がさらに近づいていることを示すニュースといえるだろう。

韓国俳優の起用は“勝ち筋”になるのか
実際、韓国俳優やK-POPアイドルが日本ドラマに出演する流れは、もはや珍しいものではなくなっている。
例えば、NEWBEATのパク・ミンソクは、TOKYO MXのドラマ『Your Sky ハレのち恋』への出演を決め、日本ドラマで俳優デビューを果たす。劇中では神秘的な韓国人留学生ムン・ダオン役を演じる予定だ。
また、俳優キム・ドワンも日本テレビ系ドラマ『10回切って倒れない木はない』で日本ドラマに初出演した。

韓国人キャストが日本の作品に加わることは、特別な出来事から、ひとつの選択肢へと変わりつつある。
背景には、各種配信サービスを通じて作品が国境を越えて届くようになった、配信時代の変化がある。そこに日本でも知名度のある韓国俳優を起用することは、作品の話題性を高め、国内外の視聴者に訴えるうえで大きな武器になり得る。
ただし、韓国俳優を起用すれば必ず成功するわけではない。そのことを示したのが、近年のいくつかの日本ドラマだった。
代表的なのが、TBS系ドラマ『初恋DOGs』だ。
同作は、清原果耶、成田凌に加え、韓国ドラマ『私の夫と結婚して』で知られるナ・イヌが出演した作品だった。ナ・イヌにとっては日本ドラマ初出演であり、劇中では2人の前に現れる訳ありの韓国人御曹司を演じた。

さらに『初恋DOGs』は、TBSと韓国のスタジオドラゴンによる共同制作としても注目された。韓国ドラマの制作力と日本の地上波ドラマ枠が組むという意味で、日韓エンタメ接近の象徴的な作品だった。
しかし、数字は厳しかった。最終回の世帯視聴率は4.4%、個人視聴率は2.5%。一部では、同作がTBS「火10」枠で初めて平均視聴率5%を割ったとも報じられた。
ナ・イヌの日本ドラマ初出演は大きな話題だったが、それだけで作品全体を押し上げることはできなかった。
さらに象徴的なのが、TBS系ドラマ『DREAM STAGE』だ。
同作は、中村倫也が主演した“K-POP版スポ根ドラマ”だった。物語は、業界を追放された日本人プロデューサーが、韓国の弱小芸能事務所に所属する落ちこぼれ練習生7人と出会い、ボーイズグループ「NAZE」を結成して夢を追うというものだった。
しかも『DREAM STAGE』は、単にK-POPを題材にしただけではない。NHK連続テレビ小説『虎に翼』で存在感を示したハ・ヨンスをはじめ、キム・ジェギョンやイ・イギョンら韓国俳優が出演した。韓国俳優を複数起用した作品でもあった。

だが、こちらも視聴率では苦戦した。初回は世帯4.4%でスタートし、最終回は世帯2.6%、個人1.5%だった。K-POP人気をドラマに取り込み、グローバル感を打ち出しても、それが地上波ドラマの視聴率に直結するわけではないことを示した格好だ。
もちろん、『Eye Love You』のような成功例もあるため、これらは韓国俳優の起用そのものが失敗だったことを意味するわけではない。
むしろ問われているのは、起用された韓国俳優が物語の中で自然に機能しているかどうかだ。話題性のあるキャスティングは、作品の入り口にはなる。しかし、それがキャラクターの魅力やストーリーの説得力につながらなければ、視聴者はついてこない。
『Eye Love You』のチェ・ジョンヒョプは、その意味で成功例だった。韓国人留学生という設定、柔らかな日本語、まっすぐな感情表現、二階堂ふみとの組み合わせが作品の空気と噛み合い、視聴者に受け入れられた。彼の存在は、単なる“韓国枠”ではなく、物語の核として機能していた。

『バカンスの法則』でチェ・ジョンヒョプが演じるのは、ミステリアスな別荘の管理人・西上だ。現時点で明らかになっている情報を見る限り、韓国人俳優であることを物語の前面に押し出すというより、日本の物語の中にチェ・ジョンヒョプという俳優を自然に置く形に近い。
日韓エンタメの距離は、確実に近づいている。だからこそ、視聴者の目も厳しくなっている。韓国俳優を起用すれば当たる、という単純な時代ではない。
はたして日本ドラマに再登場するチェ・ジョンヒョプは、再び期待に応えることができるのか。『初恋DOGs』や『DREAM STAGE』の苦戦が示したように、日本ドラマに広がる韓国俳優の起用は、作り手の力量を問う試金石にもなっている。
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