人気オーディション番組で1位に選ばれた練習生の再出発だ。
しかし、思ったほど華やかには見えなかった。
MBCのオーディション番組『少年ファンタジー』で最終1位を獲得し、ボーイズグループFANTASY BOYSのメンバーに選ばれながら、デビュー直前にチームを離れたユ・ジュンウォン。
その彼が、新グループ「X_ON」のメンバーとして日本でファンミーティングを行った。
X_ONは7月4日と5日、東京・代々木MUSEホールで初の日本ファンコン「IGNITE」を開催した。X_ONにとって、日本のファンと公式に初めて対面する場だった。
オーディション番組1位の現在の姿
一部の韓国メディアは、このイベントについて「正式デビュー前から熱い人気」「数多くの現地ファンが集まった」といった前向きな表現で報じた。
だが、公式SNSに掲載された会場写真を見る限り、客席は決して大規模には見えない。
韓国メディア『ニュースエン』は、「“食い逃げ”論争のユ・ジュンウォン、法的紛争中の日本ファンミは客席40人余り」と見出しを打ち、「ファンミーティングの現場を訪れた観客は30人台後半から40人台前半にとどまったことが確認された」と伝えている。

もちろん、もともと小規模イベントとして企画された可能性はある。ただ、SNS上では当日券に触れる投稿も見られ、少なくとも「日本列島を熱くした」といった表現とは温度差があるように見える。
なぜ、この日本ファンミーティングが韓国で注目されたのか。理由は、ユ・ジュンウォンという名前が、いまだに大きな論争と結びついているからだ。
そもそもユ・ジュンウォンは、2023年に放送された『少年ファンタジー~放課後のときめきシーズン2~』で最終1位を獲得した練習生だ。視聴者投票で選ばれたデビュー組のトップであり、本来ならFANTASY BOYSのセンターとしてデビューするはずだった。
しかし、デビュー前に契約条件などをめぐって制作会社PHUNKYスタジオ側と対立。最終的にFANTASY BOYSとしてデビューしなかった。
韓国では、オーディション番組で最終選抜された後にデビュー組を離脱した異例のケースとして大きく報じられた。

制作会社側は、ユ・ジュンウォン側が収益分配率の上方修正などを求めたと主張。一方、ユ・ジュンウォン側は、契約条件に異見があったことは認めつつ、過度な費用をアーティストに転嫁しようとする構造を防ぐための対応だったという趣旨で反論した。
ユ・ジュンウォン側は2023年8月末頃、専属契約効力停止仮処分を申請したが、同年11月に棄却された。一方、制作会社PHUNKYスタジオは同年9月、ユ・ジュンウォンを相手に30億ウォン(約3億円)規模の損害賠償請求訴訟を提起している。
そして現在、この訴訟は大きな節目を迎えようとしている。7月23日には、契約違反および無断離脱疑惑をめぐる損害賠償訴訟の最終賠償判断が下される予定だと伝えられているからだ。
こうした状況のなかで、ユ・ジュンウォンは新生事務所CONTIと専属契約を結び、X_ONとして再出発を発表した。
つまり、ユ・ジュンウォン側から見れば、今回のX_ONでの活動は「ようやく始まった再出発」といえる。一方で、制作会社側から見れば、最終判決前に別のグループで活動することは、契約秩序や業界の商道徳を無視した行為に映っている。

両者の主張は、今も真っ向から食い違っている。
ただ、ひとつはっきりしていることがある。『少年ファンタジー』1位という肩書きは、もはやユ・ジュンウォンを無条件に守ってくれるものではなくなったということだ。新グループで日本に立っても、韓国メディアが注目したのは「再出発の熱気」よりも、客席の寂しさと法的紛争の影だった。
11人体制でデビューも、6人が契約紛争中
では、ユ・ジュンウォンを除いてデビューしたFANTASY BOYSが順調だったのかといえば、そうとも言い切れない。
FANTASY BOYSは2023年9月、ユ・ジュンウォンを除く11人体制でデビューした。しかしデビュー直後には中国人メンバーのソウルが家庭の事情で活動を中断し、2025年1月にはグループ脱退を表明。
そして現在、グループそのものが大きく揺れている。

2025年11月、カン・ミンソ、イ・ハンビン、ヒカル、ホン・ソンミン、キム・ギュレ、ケイダンの6人が、所属事務所などを相手に専属契約効力不存在確認訴訟および効力停止仮処分を申請したのだ。
メンバー側は、精算資料の未提供、収益金未払い、会社の財政および運営問題、契約不履行などによる信頼関係の破綻を理由に挙げたと報じられた。
そして今年5月、6人側は専属契約効力停止仮処分で勝訴。所属事務所側はこれに反発し、即時抗告や本案訴訟、損害賠償請求などの法的対応を予告している。
事務所側は、FANTASY BOYSが100億ウォン(約10億円)以上の大規模資金が投入されたグローバルプロジェクトであり、今回の判断は芸能界の実務を十分に反映していないという立場を示している。
報道によれば、現在、所属事務所と契約紛争を起こしていないメンバーは、ヒカリ、リンチ、キム・ウソク、オ・ヒョンテの4人だけだ。
つまり、もともと『少年ファンタジー』から誕生した大型デビュー組は、ユ・ジュンウォンの離脱に始まり、残ったメンバーたちの契約紛争によって、さらに大きく形を変えてしまった。

ここに、この騒動の苦い皮肉がある。
ユ・ジュンウォンは、1位という最強の肩書きを持ちながら、FANTASY BOYSとしてデビューできなかった。そして新グループX_ONとして再出発した今も、法的紛争の影は消えていない。
一方で、彼を除いて船出したFANTASY BOYSもまた、メンバーの契約紛争で大きく揺れている。制作会社側と所属事務所側は、ユ・ジュンウォンに対しても、契約紛争中のメンバーに対しても、それぞれ強硬な法的対応を示している。
オーディション番組は、視聴者に「夢のデビュー」を見せる舞台だ。努力した練習生が選ばれ、歓声のなかでグループが誕生する。その瞬間だけを見れば、美しいサクセスストーリーだろう。
しかしFANTASY BOYSの現状は、あまりにも厳しい。1位メンバーはデビューもせずに法廷闘争へ向かい、グループに残ったメンバーも契約紛争に揺れた。誰か一人だけが悪い、どちらか一方だけが被害者だと簡単に整理できる話でもない。
『少年ファンタジー』が約束したはずのデビューの夢は、いつの間にか、誰にとっても苦い後日談になってしまった。少なくとも現時点で、このオーディションの物語に「勝者」は見えない。
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