日本では、森保一監督の続投が報じられている。
北中米ワールドカップでブラジルに1-2で敗れたとはいえ、日本はグループステージを突破し、強豪オランダとも引き分けた。
日本サッカー協会は、来年1~2月のアジアカップ終了までという異例の短期契約で、森保体制をいったん継続する方針だという。
一方、隣国・韓国では対照的な光景が広がっている。
ワールドカップでグループステージ敗退に終わった韓国代表では、ホン・ミョンボ前監督が辞任。さらに韓国国会では7月22日、韓国サッカー協会を対象とした公聴会が開かれる予定だ。
ホン前監督は証人として呼ばれ、監督選任手続きの正当性、ワールドカップでの不振の原因、大会後のアメリカ渡航の経緯などについて質問を受ける見通しとなっている。
ホン前監督を擁護するコメント、わずか2.8%
そのホン前監督が、ついに沈黙を破った。

ホン前監督は7月9日、自身が理事長を務めるホン・ミョンボ奨学財団を通じて声明を発表した。
まず「国民の皆様に心よりお詫び申し上げます」と謝罪し、ワールドカップの結果について「その結果に対するすべての責任は、監督である私にあります」と述べた。
これまで沈黙していた理由については、結果を受け入れることが先だったと説明したうえで、「時間が経つにつれ事実とは異なる内容が事実であるかのように広まり、確認されていない話まで加わった」と主張。さらに、選手やスタッフまでが誤解や推測にさらされる姿を見て、沈黙だけが正しいのか考えるようになったと明かした。
特に注目されたのは、ワールドカップ後に韓国へ帰国したのち、再びアメリカへ渡航した件への説明だ。
ホン前監督は、アメリカ滞在について「結果から目を背けたり逃げたりするための選択ではありませんでした」と否定。「当時、私や家族に対する脅迫や身の安全に対する懸念があり、一つの家庭の大黒柱として家族を守らなければならなかった」と説明した。
そして公聴会については、「その場はワールドカップの結果について国民の皆様にご説明する場だと考えています」とし、「私が知っている事実についてはありのままをお話しし、どのような質問からも逃げません」と強調した。

だが、ホン前監督が置かれている世論の空気は極めて厳しい。
韓国メディア『オーマイニュース』は7月9日、ホン前監督に関連するYouTubeコメント5万件超を分析した記事を掲載した。
同メディアは、KBS、MBC、SBS、YTN、チャンネルAなど地上波・総合編成チャンネルのYouTubeの関連ニュース動画のうち、6月26日から7月5日までに投稿され、再生回数10万回以上を記録した27本の動画を対象に、コメント5万323件を収集・分析したという。
その結果は、かなり衝撃的だった。
ホン前監督を批判するコメントは全体の87.2%(4万3870件)に達した。一方で、ホン前監督を擁護する内容のコメントはわずか2.8%(1407件)にとどまったという。
つまり、YouTubeのコメント欄だけを見れば、ホン前監督を積極的に守ろうとする声はほとんど見えない。2002年日韓ワールドカップで韓国をベスト4に導いた「永遠のキャプテン」が、いまはここまで孤立した立場に置かれているのだ。
戦術よりも問われた“辞任後の態度”
ただし、興味深いのは、この批判が単なる罵倒一色ではなかった点だ。

同メディアによると、コメント全体のうち、明示的な悪口や露骨な人格攻撃にあたるコメントは7.6%(3840件)にとどまった。批判の比率は圧倒的に高いが、その多くは無分別な暴言というより、冷笑や責任追及に近いものだったと読み取れる。
実際、共感を集めたコメントも、ホン前監督の「責任の取り方」に集中していた。たとえば、「公聴会が開かれると予想して逃げたのか」「調査すると言われたから逃げたのか」といった、アメリカ渡航をめぐる批判が多くの“いいね”を集めたという。
批判のテーマ別分類を見ても、その傾向ははっきりしている。最も多かったのは、ホン前監督の急なLA出国を批判するコメントで、1万6651件に上った。全体の33.1%だ。次いで、コミュニケーション不足や人柄をめぐる批判が1万2008件、23.9%だった。
一方で、戦術や試合内容を批判するコメントは7588件、15.1%にとどまった。
これは重要な数字だ。ホン前監督への批判は、単に「試合に負けたから」だけではなく、むしろ辞任後の説明不足、アメリカ渡航、協会との関係、監督選任過程への不信などが重なり、競技面を超えた不信感へと膨らんでいるといえる。
実際、ホン前監督の急な出国を扱った動画では、批判コメントの割合が95.1%に達したとされる。また、ホン前監督が韓国へ戻る考えがないとする海外メディアの報道を引用した映像でも、批判コメントは92.1%を占めた。
7月22日の公聴会で問われるのも、ホン前監督個人の采配だけではない。証人にはホン前監督のほか、チョン・モンギュ前韓国サッカー協会会長、イ・イムセン前技術統括理事、チョン・ヘソン前国家代表戦力強化委員長らが含まれている。
つまり、監督選任の正当性、協会運営、ワールドカップ敗退の責任が、まとめて政治の場に持ち込まれる形だ。
『オーマイニュース』が示した「擁護2.8%」という数字は、ホン前監督がいま、どれほど厳しい世論の中に立たされているかを物語っている。
ホン前監督は「どのような質問からも逃げない」と語った。その言葉が、怒りと不信に覆われた韓国のサッカー世論を少しでも動かせるのか。7月22日の公聴会は、韓国サッカー界の混乱がどこへ向かうのかを占う場にもなりそうだ。
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