「ILLITはNewJeansのコピーだ」と訴えてきた“NewJeansの母”、ミン・ヒジン氏。
思わぬ形で、彼女に特大の“ブーメラン”が返ってきたのかもしれない。
【比較画像】NewJeansとILLIT、どこまで似ている?
韓国メディア『ディスパッチ』が7月10日、NewJeansの楽曲『How Sweet』をめぐる盗作疑惑を報じたのだ。
もちろん、現時点で盗作が認定されたわけではない。あくまでアメリカの作曲家らが著作権侵害訴訟を提起し、『ディスパッチ』が訴状や関係者取材をもとに疑惑を報じた段階だ。
それでも、この報道が持つ意味は小さくない。
なぜならミン・ヒジン氏はこれまで、HYBE傘下レーベルBELIFT LAB所属のILLITについて、NewJeansを「コピーした」と強く主張してきたからだ。グループの方向性、アルバムデザイン、ポイント振付などがNewJeansと似ているとして、公開の場で批判を展開してきた。
そのミン氏が総括プロデューサーを務めたNewJeansのヒット曲が、盗作疑惑に巻き込まれた。構図としては、皮肉と言わざるを得ない。
“コピー批判”が跳ね返る皮肉

『ディスパッチ』によると、問題となっているのはNewJeansが2024年に発表した『How Sweet』だ。
アメリカのプロデューサーおよびシンガーソングライター4人が、自分たちの楽曲『One of a Kind』を無断で使用されたとして、著作権侵害訴訟を提起したという。
訴訟の相手には、HYBE、ADOR、NewJeans、そしてミン・ヒジン氏の音楽制作陣の中心とされるBANA、作曲家250らが含まれていると報じられている。
『ディスパッチ』は、カリフォルニア中部地区連邦地方裁判所に提出された訴状を入手し、原告側の代理人とも複数回やり取りしたと説明している。
同メディアによると、発端は『How Sweet』の制作過程にある。BANA側が米パブリッシング会社にインストゥルメンタルトラックを渡し、トップラインの制作を依頼。アメリカの作曲家らがメロディを作って提出したが、その後、採用しないとの連絡を受けたという。
ところが、その4カ月後に発表された『How Sweet』を聴いた原告側は、自分たちが提出したトップラインが使われたと主張している。

『ディスパッチ』は、両曲の一部メロディやリズムパターンに類似性があると分析している。細かな音楽理論の判断は専門家に委ねるべきだが、少なくとも原告側は、自分たちが提出したトップラインが使われたと主張し、法的手続きに踏み切った形だ。
今回の疑惑が注目される理由は、単にNewJeansのヒット曲をめぐる著作権問題だからではない。
見逃せないのは、ミン・ヒジン氏がこれまで「コピー」や「模倣」という言葉を最も強く使ってきた当事者だったという点にある。
2024年4月、HYBEとミン氏の対立が表面化するなかで、ミン氏はILLITについて「NewJeansをコピーしている」と主張した。ヘア、メイク、衣装、振付、写真、映像、イベント出演など、芸能活動の幅広い領域でNewJeansが模倣されたというのが彼女の主張だった。
この問題は、その後のHYBEとの法廷闘争でも争点の一つとなった。
今年2月、ミン氏はHYBEとのプットオプションをめぐる1審で勝訴した。裁判所は、ミン氏によるILLITの模倣問題提起について、ADOR代表としてNewJeansの価値を守るための経営判断の範囲と見る余地があると判断した。
ただし、ここで重要なのは、裁判所が「ILLITはNewJeansを盗作した」と認定したわけではないということだ。判決の本質は、ミン氏の行為が株主間契約を解除するほど重大な義務違反に当たるかどうかにあった。
つまりミン氏は、ILLITの類似性を問題提起したこと自体について、契約解除に足る重大な義務違反とは見なされなかったが、ILLITが盗作したと司法判断されたわけではない。
だからこそ今回の『How Sweet』盗作疑惑は、より複雑に映る。

他者の模倣を厳しく批判してきた側が、今度は自らが総括プロデューサーとして関わったNewJeansの楽曲で著作権侵害を問われている。
ミン氏の“独自性”をめぐる主張にとって、少なくともイメージ面の打撃は避けられないだろう。
復帰ムードに水を差す可能性
タイミングも悪い。
NewJeansをめぐっては最近、活動再開への期待が高まっていた。4月にはデンマーク・コペンハーゲンで一部メンバーの姿が目撃され、現地のレコーディングスタジオのスケジュール表に「ADOR」と記載された写真も出回った。
当時ADORは、コペンハーゲン訪問について「NewJeansの新たな音楽的ストーリーを構築するためのプリプロダクションの一環」と説明。ファンの間では、新アルバム制作に向けた準備ではないかとの見方が広がった。
さらに最近では、アメリカでヘリンとヘインを目撃したとされる動画も拡散された。映像にはカメラを持ったスタッフの姿もあり、何らかの撮影が行われていたのではないかとの推測が出ている。

NewJeansは2024年11月にADORとの専属契約解除を宣言したが、その後の訴訟を経て、ヘリン、ヘイン、ハニはADORを通じた活動再開の意思を示している。
一方、ミンジは復帰について協議中とされ、ダニエルについてはADORが本人や家族、ミン氏を相手取った損害賠償請求訴訟を提起している状態だ。

完全な形での復帰にはなお不透明さが残るものの、少なくともNewJeans再始動への空気は少しずつ高まっていた。
そのタイミングで飛び出した『How Sweet』盗作疑惑は、復帰ムードに水を差す可能性がある。
もちろん、メンバー個人の責任とは切り分けて考える必要がある。K-POPの制作現場では、楽曲収集、トップライン制作、権利処理、A&Rなど、複数の制作関係者が関わる。今回の争点も、主に制作過程と権利処理に関するものだ。
それでもNewJeansという名前が訴訟相手に含まれている以上、グループのブランドイメージに影響が及ぶことは避けにくい。
ミン氏自身も、いまなおHYBEとの法廷闘争の渦中にいる。
『聯合ニュース』によると、ミン氏とHYBEのプットオプション代金訴訟の控訴審は、9月18日に始まる予定だ。1審では、裁判所がHYBEに約255億ウォン(約27億4000万円)の支払いを命じ、ミン氏側が勝訴した。
一方でHYBEは控訴し、控訴審判決までプットオプション代金の強制執行を停止する決定も得ている。さらに、HYBEがミン氏に対して提起した株主間契約解除確認訴訟も同じ日に審理される予定だ。

加えて、ミン氏がHYBE関係者を名誉毀損や業務妨害で告訴した件は、検察が不起訴処分を下したと報じられている。HYBEとミン氏の対立は、依然として複数の訴訟を抱えたままだ。
そこに今回、『How Sweet』の盗作疑惑が加わった。
繰り返すが、現時点で盗作が認定されたわけではない。訴訟の行方やNewJeans側、ADOR側、制作陣側の反論を待つ必要がある。
それでも、「ILLITはNewJeansのコピー」と強く訴えてきたミン・ヒジン氏にとって、自ら関わったNewJeansの楽曲が盗作疑惑に巻き込まれたことは、あまりに皮肉な展開だ。
復帰ムードが高まりつつあったNewJeansにとっても、HYBEとの第2ラウンドを控えるミン氏にとっても、この疑惑は新たな火種となりそうだ。
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