新たに10G回線の利用を始めた人の通信環境や導入の動機をレポートする連載「10G回線導入レポ」。今回は、大阪府在住のm・uさん(3人以上世帯・戸建て)のケースを紹介する。m・uさんは集合住宅から戸建てへの引っ越しを機に、ソフトバンク光1Gからオプテージの「eo光ネット【ホームタイプ】10ギガコース」へ乗り換えを決断した。
キャンペーンの魅力とオンラインゲーム体験の向上を期待して10ギガコースを選んだm・uさんだが、実測値はWi-Fiでの測定で下り700Mbps台。
10Gサービスの理論上では一見「速くない」数値に見えるが、実はこの数値、編集部が集計した同サービスの平均速度514.39Mbpsを上回る好成績となってる。
引っ越しとキャンペーンが後押しした10G契約
m・uさんが10G回線を導入したのは2024年12月。
契約したのはオプテージが提供する「eo光ネット【ホームタイプ】10ギガコース」。関西エリアで戸建て向けに展開される10Gbps対応の光回線サービスだ。申し込みは提供エリアを確認したうえで家電量販店の店頭で行った。申込日は2024年11月23日、開通日は同年12月24日と、約1か月で開通に至った(一般的な期間は地域や時期により変動)。
「新築入居後1週間程度で開通したので、ストレスはありませんでした。年末に近い時期は工事待ちが混雑すると聞いていたので、むしろ早い方だと思います」(m・uさん)
乗り換えの動機を尋ねると、集合住宅から戸建てへの引っ越しを機に回線を見直したかった、当時eo光のキャンペーンが魅力的だったこと、ネットの評判で「eo光は安定している」と見かけたことという3点を挙げてくれた。
さらに、当時1G回線でフォートナイトなどのオンラインゲームをプレイしており、「1G→10Gの体感差を試してみたかった」という好奇心も後押しになったという。
費用面:月額6,635円、実質工事費無料キャンペーンを活用
m・uさんの現在の月額料金は合計6,635円。旧回線のソフトバンク光1G(マンションタイプ)が月額4,693円だったため、差額は月1,942円の増加となる。
内訳は以下の通り。
項目 | 金額 |
基本料金 | 6,530円 |
機器レンタル(無線ルーター) | 105円 |
標準工事費支払い分 | 1,237円 |
標準工事費キャンペーン割引(2年間) | ▲1,237円 |
合計 | 6,635円 |
初期費用は事務手数料3,300円と工事費総額29,688円(24回分割払い)で、工事費は「標準工事費キャンペーン割引」により2年間実質無料となる仕組みだ。
「うろ覚えなのですが、当時はソフトバンク光の解約費用(10,450円)のキャッシュバックと、半年間980円の割引もあったと記憶しています」(m・uさん)
なお、旧回線の解約費用は10,450円、新規契約のeo光も3年以内解約で5,350円の解約費が発生する。
機器構成:ホームゲートウェイ1台のみ、有線配線は最小限
宅内の機器構成はシンプルだ。オプテージからレンタルされる「eo-GW100(N)」1台がONU・ルーター・Wi-Fiアクセスポイントを兼ねる。設定は開通工事の作業員が済ませてくれたため、m・uさんは特別な設定作業を行っていない。
eo-GW100(N)は、Wi-Fi 6E(2.4GHz / 5GHz / 6GHzのトライバンド)に対応するホームゲートウェイ。10G-EPON回線終端機能を内蔵し、10GbpsのWAN・LANポートを備える。
有線LAN配線は基本的に行っておらず、宅内の端末はすべてWi-Fi経由でインターネットに接続している。同時接続端末数は約3~4台で、内訳はノートPC 1台、スマートフォン2台、テレビ1台。NASやスマートホーム機器の導入はない。
宅内で主に10G回線を活かしたい端末は、m・uさんが仕事や趣味で使うDell製ノートPC「G3 3500」。2020年6月に購入したゲーミングノートで、スペックは以下の通り。
・CPU:Intel Core i7-10750H(2.60GHz)
・メモリ:16GB
・有線LAN:Killer E2500 Gigabit Ethernet Controller(1Gbps対応)
・Wi-Fi:Wi-Fi 6対応
ここで注目すべきは、有線LANチップが「Gigabit Ethernet」、つまり最大1Gbpsであること。10G契約であっても、PC側のLAN口が1Gbpsであれば、有線接続時に1Gbps以上の速度は物理的に出せないということになる。
Wi-Fi環境は、親機のeo-GW100(N)がWi-Fi 6E対応、ノートPCがWi-Fi 6対応、そしてスマートフォンのiPhone 16はWi-Fi 7対応とのことだ。
速度測定結果:無線・有線とも700~800Mbps台に集中
RBB SPEED TESTを用いた実測結果を紹介する。
ノートPC無線(Wi-Fi 6・5GHz帯・リビング設置)
測定日時 | IPv4下り | IPv4上り | IPv6下り | IPv6上り |
7/6(火)23時 | 689.92 | 921.97 | 715.01 | 902.11 |
7/7(水)12時 | 751.91 | 937.77 | 747.11 | 920.22 |
7/7(水)22時 | 614.57 | 970.49 | 723.85 | 883.22 |
(単位:Mbps、以下同)
ノートPC有線(1Gbps LANポート接続)
測定日時 | IPv4下り | IPv4上り | IPv6下り | IPv6上り |
7/7(水)12:30 | 774.49 | 934.47 | 715.82 | 903.31 |
7/7(水)21:55 | 754.37 | 928.49 | 803.54 | 917.14 |
7/8(水)9:15 | 749.62 | 950.05 | 760.94 | 894.55 |
iPhone 16無線(Wi-Fi 7対応端末・5GHz帯接続・平日午後)
測定場所 | IPv4下り | IPv4上り | IPv6下り | IPv6上り |
ルーター付近① | 808.42 | 713.26 | 815.19 | 723.77 |
ルーター付近② | 765.17 | 814.75 | 626.14 | 827.12 |
リビング① | 693.74 | 711.22 | 724.83 | 602.37 |
リビング② | 736.00 | 665.61 | 655.22 | 622.40 |
なぜ700~800Mbps台で頭打ちなのか——3つのボトルネック
10Gbps契約でありながら実測が1Gbpsを下回る理由は、m・uさんの環境に3つのボトルネックが重なっているためと考えられる。
① ノートPCの有線LANが1Gbps上限
Dell G3 3500に搭載されている「Killer E2500」は最大1Gbpsの有線LANチップ。有線接続時、この時点で1Gbpsを超える通信は物理的に不可能となる。実測が750Mbps前後で頭打ちしているのは、この上限に近い実効値と言える。
② Wi-Fi接続が5GHz帯
eo-GW100(N)はWi-Fi 6E対応で6GHz帯も利用可能だが、m・uさんは「5GHzの方が安定する実感がある」として現在は5GHz帯運用に固定している。5GHz帯(Wi-Fi 6)の理論値は最大約2400Mbpsだが、実効速度は環境に応じて大きく低下し、1Gbps前後で頭打ちすることが多い。
③ Wi-Fi 7対応端末を活かしきれていない
iPhone 16はWi-Fi 7対応だが、親機のeo-GW100(N)はWi-Fi 6Eまで。さらに5GHz帯接続で運用されているため、Wi-Fi 7のメリット(6GHz帯利用・MLO・320MHz幅など)は一切機能していない。
しかし、冒頭でご紹介した通り、客観的なデータと照らし合わせるとm・uさんの下り速度は概ね700Mbps台という速度は決して悪い数値ではない。
10G回線ユーザー全体で見ると、m・uさん宅は"上位クラス
「RBB SPEED TEST」の2026年5月のログ(87,211計測)を集計した結果、m・uさんが契約する「eo光(ホームタイプ)10ギガコース」のWi-Fi接続時(アプリ版計測)における下り速度は以下のような値だった。
▼eo光(ホームタイプ)10ギガコース Wi-Fi測定値
指標 | 下り速度 |
同サービスの平均値 | 514.39 Mbps |
同サービスの中央値 | 414.05 Mbps |
10G回線サービス全体の平均値 | 293.34 Mbps |
10G回線サービス全体の中央値 | 210.17 Mbps |
m・uさんの実測(iPhone 16・ルーター至近) | 約800 Mbps |
m・uさんの実測(iPhone 16・リビング) | 約700 Mbps |
m・uさんのWi-Fi実測値は、契約サービスの平均値・中央値をいずれも上回る水準。さらに10G回線サービス全体の平均293Mbps・中央値210Mbpsと比較すると、m・uさんの実測は中央値の3倍以上となっている。
つまりm・uさんの環境は、決して「10Gが活かせていない」わけではない。むしろWi-Fi環境下では十分に良好な部類となっている。
それでも「快適」と語る導入者——1Gでも十分だった?
また、m・uさん自身も現状に不満を感じていないことだ。
「家族が携帯2台とテレビで動画を見ながら、PC 2台でWeb会議をしても全く問題ありません。フォートナイトなど動きの多いFPSやモンスターハンターのオンラインプレイも、止まることなくできています」(m・uさん)
旧回線のソフトバンク光1G時代を振り返っても「オンラインゲームは快適で、家族同時利用時も不満はなかった」という。つまり、家庭内の実用シーンにおいて、1Gと10Gの体感差はほぼ感じていないというのが率直な感想だ。
10G LANカードによるPCの増設については「そもそもそういう製品があることを知らなかった」、Wi-Fi 7ルーターへの買い替えは「Wi-Fi 6EとWi-Fi 7の違いも分からず、速度に不満もなかったので検討していない」と話す。
満足度を尋ねると「普通」との回答。「10Gにして後悔はしていません。安心感やキャンペーンの特典を受けられたので」としながらも、同じ状況の人に10Gを勧めるかどうかは「勧めない」と明言した。
「現状のネットの使用用途では1Gで十分事足りると感じますし、10Gのポテンシャルを引き出せてもいないので」(m・uさん)
これから10Gを検討する読者へ
最後に、m・uさんから読者へのメッセージをいただいた。
「普通に家族が、携帯やテレビで動画、在宅ワークでWeb会議、オンラインゲームをやったりというレベルであれば、1Gでも5Gでもストレスなくできると思います。ただ値段が大きくは違わないので、早いという安心感やキャンペーン、キャッシュバックのメリットを考えればアリかと思います」
10G回線の恩恵を最大限に受けるには、回線契約だけでなく、PC側のLANポート(10G/2.5G対応)、Wi-Fiルーター(Wi-Fi 7対応)、Wi-Fi接続帯(6GHz帯)といった宅内環境全体の見直しが不可欠だ。契約前にこれらの「回線以外」の要素をチェックすることで、10G本来の速度を体感できる環境が整う。
m・uさんのケースは、「10Gに乗り換えたが実測1Gbps弱」という、よくある典型的なケースと言える。一方、「体感差がなくても不満なく使えている」という前向きな側面もあるだろう。10Gが持つ本来の速度は魅力的だが、自分の用途と環境に見合ったコストパフォーマンスを冷静に見極めることが、後悔しない選択のポイントと言えそうだ。
※記載の速度は測定時点の参考値であり、実際の速度は利用環境・時間帯・接続機器の性能により大きく変動します。
※料金・キャンペーン内容は取材当時(2024~2026年)のもので、現在の提供内容と異なる場合があります。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。





