韓国で活躍していた中国出身タレントが、約2年ぶりにSNSを更新した。
“嫌韓発言”で騒動となったチャン・ウィアン(Zhang Yu'an)だ。
チャン・ウィアンは7月17日、自身のSNSに中国語で「久しぶり」と短く記し、新しいプロフィール写真を数枚投稿した。
白いジャケットに黒いTシャツを合わせ、明るく笑う姿が写っている。
一見すれば、単なる近況報告にも見える。しかし韓国メディアがこの投稿に注目したのは、彼が2024年に“嫌韓発言”をめぐる大きな論争で表舞台から遠ざかって以降、約2年ぶりに確認された近況投稿だったからだ。
「韓国人の先祖は中国人」
チャン・ウィアンは中国出身のタレントとして、かつて韓国で人気を集めた。

韓国で中国語講師として働いていたところ、JTBCの人気番組『アブノーマル会談』などに出演し、顔を知られるようになった。流暢な韓国語と外国人ならではの視点で、韓国バラエティに溶け込んでいた存在だった。
しかし2024年5月のライブ配信での発言が、韓国で大きな反発を招いた。
彼は「韓国が中国文化を盗んでいることについて街頭インタビューをしたい」とし、「端午の節句、孔子、漢字など中国的要素に対して、“これがすべて韓国のものだと思うか”と尋ねてみよう」と語った。
さらに、明や宋の皇帝の衣装を着て景福宮(キョンボックン)のような王宮を歩き、「まるで皇帝が属国を視察しに来たような感じになるだろう」などとも発言した。
他にも「韓国で誰かを捕まえて3、4代さかのぼれば、その先祖の相当数が中国人」と主張し、ガールズグループIVEのミュージックビデオの一場面について、「万人坑(日帝時代の集団虐殺地)を想起させ、ティザー公開日とコンサート日付が中国の苦しい歴史と関連がある」との疑惑まで提起して反発を招いた。
これらの発言は大きく問題視された。本人はその後、韓国メディアが発言の一部だけを切り取って報じたとし、「本当の気持ちを伝えたい」「両国の民間関係がもっと良くなってほしいという原則を持っている」と釈明した。
しかし本人はその後、韓国で予定されていた仕事がすべてキャンセルされたと明かしている。

チャン・ウィアンの発言がここまで強い反発を浴びた理由は、単なる失言だったからではない。韓国と中国の間では、キムチや韓服、旧正月、歴史認識などをめぐって、文化的な対立がたびたび起きてきた。
そうしたなかで、「韓国が中国文化を盗んだ」「皇帝が属国を視察」といった表現は、韓国側から見れば、韓国文化を見下す発言として受け止められやすい。
韓国で外国人タレントが人気を得ることは珍しくない。むしろ韓国語を話し、韓国文化を愛し、韓国社会に溶け込む外国人は、バラエティ番組でも重宝されてきた。チャン・ウィアンもその一人だった。
だが、その人気はかなり繊細な土台の上にある。一度「韓国を批判した」「韓国を見下した」「韓国社会の自尊心を傷つけた」と受け止められると、復帰の道は一気に狭くなる。
ガーナ出身タレントに見えた復帰の難しさ
その代表例として思い出されるのが、ガーナ出身タレントのサム・オキアだ。
サム・オキアもまた、『アブノーマル会談』などで人気を集めた外国人タレントだった。
しかし2020年、韓国の高校生たちが卒業写真で、ガーナの“棺桶ダンス”をパロディし、顔を黒く塗ったことについて、人種差別だと指摘したことで大きな論争に巻き込まれた。

ブラックフェイスへの問題提起自体は、国際的な文脈では理解される部分もある。実際、韓国国内でも「顔を黒く塗る行為は差別的だ」とする声はあった。
しかし一方で、韓国ではサム・オキア本人への反発も急速に広がった。彼の過去の人種差別的と受け取られた発言や、女優に対する性的ニュアンスのコメントなどが掘り起こされ、最終的には出演番組から姿を消した。
その後、彼は謝罪し、数年ぶりに番組出演も試みたが、韓国の反応は依然として冷淡だった。2026年に公開されたYouTubeコンテンツでは、韓国を離れなかった理由について「19歳の時に韓国に来て、韓国で大人になった。ここは家のような場所だ」と語っている。それでも、かつてのような芸能活動の本格復帰には至っていない。
もちろん、サム・オキアとチャン・ウィアンのケースは同じではない。サム・オキアは韓国社会の人種差別を指摘して反発を浴びた。一方、チャン・ウィアンは韓国文化を中国文化の下位に置くような発言をし、韓国の文化的自尊心を正面から刺激した。
それでも両者に共通するのは、韓国で活動してきた外国人タレントが、韓国社会の敏感な部分に触れた瞬間、急速に“外側の人”として見られてしまう点だ。
一方で、韓国で長く愛され続けている外国人タレントもいる。日本出身のタレント、藤田小百合がその代表例だ。

藤田小百合は2007年、KBS2のバラエティ番組『美女たちのおしゃべり』でブレイクし、その後も韓国の数々の番組に出演してきた。率直で飾らないキャラクターと流暢な韓国語で知られ、近年は未婚での出産を選んだシングルマザーとしても注目を集めている。
彼女の存在は、韓国芸能界が外国人タレントに閉ざされているわけではないことを示している。ただ同時に、外国人タレントが長く愛されるには、韓国語力やキャラクターだけでなく、韓国社会の感情線を読み、韓国への理解や尊重を示し続けることも求められる。
チャン・ウィアンやサム・オキアの例は、そのバランスが崩れたとき、評価がいかに急速に反転するかを物語っている。
チャン・ウィアンの2年ぶりのSNS更新は、復帰への第一歩なのか。それとも、過去の発言を再び呼び起こすだけに終わるのか。
韓国で一度“非好感”の烙印を押された外国人タレントにとって、表舞台へ戻る道は、想像以上に狭い。
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