またしても韓国スターが海外で「差別された」とする論争が起きた。
今回の中心にいるのは、ガールズグループKATSEYE(キャッツアイ)の韓国人メンバー、ユンチェだ。
米音楽メディア『ビルボード』は最近、公式SNSを通じてKATSEYEの新曲『Animal』を紹介する投稿を公開した。
投稿にはグループ写真とメンバー別の個人写真が含まれていたが、メンバー別の個人写真が並ぶなか、ユンチェの写真だけが抜け落ちていた。
これを見たファンからは、「ユンチェの写真はどこ?」「韓国人メンバーだけ除外した理由を説明してほしい」「単純なミスとは思えない」といった批判が噴出した。
論争が広がると、米ビルボードはユンチェの写真を追加するのではなく、メンバー個人写真をすべて削除し、グループ写真だけを残したという。だが、別途の謝罪や説明はなかった。

「またか」と見られた背景
これが一度のことであれば、編集上の単純なミスかもしれない。しかし問題は、同じような出来事が初めてではなかったことだ。
ビルボードは5月にも、KATSEYEメンバーのセルフカメラ写真を紹介する過程で、ユンチェの写真だけを抜いたとして批判を受けていた。
同じ韓国人メンバーだけが繰り返し抜け落ちたとなれば、ファンが「なぜユンチェだけなのか」と疑問を抱くのは不自然ではない。特にKATSEYEは、韓国の芸能事務所HYBEと米ゲフィン・レコードによるグローバルプロジェクトから誕生した多国籍グループだ。
だからこそ、メンバーの扱いにおけるわずかな差も、国籍や人種の問題として受け止められやすい。

ただし、ここで慎重さも必要だろう。投稿ミスや編集上の不備を、ただちに人種差別と断定するには根拠が足りない。誰が、どのような判断で、なぜユンチェの写真だけを外したのかは明らかになっていない。
意図的な排除だったのか、単なる管理ミスだったのか。そこは区別して考えるべきだろう。
それでも、この件が「差別ではないか」と受け止められた背景には、ビルボードという媒体そのものに対する不信感もある。
ファンの間でたびたび引き合いに出されるのが、2021年のBTSをめぐる騒動だ。
米トレーディングカード大手トップス(Topps)は当時、BTSのメンバーたちがグラミー賞のトロフィーに見立てた物で叩かれるようなイラストカードを公開し、アジア人アーティストを嘲笑しているとして強い批判を浴びた。

問題のカードを制作したのはトップスだったが、ビルボードはその投稿をSNSで共有し、結果的に拡散に加担した形となった。批判が高まるとトップス側は謝罪したが、ビルボード側から明確な説明はなかったとされる。
だから今回のユンチェの件も、単なる投稿ミスではなく、「また韓国人アーティストを軽く扱ったのではないか」という文脈で受け止められた。
差別なのか、誤解なのか
K-POPスターが海外で存在感を増している近年、同様の“人種差別”論争は何度も起きている。
例えばBLACKPINKのロゼは、昨年のパリ・ファッションウィークで、モデルのヘイリー・ビーバー、女優ゾーイ・クラヴィッツ、歌手チャーリー・XCXと4人で集合写真を撮った。
しかしファッション誌『ELLE UK』は、ロゼを除いた3人にトリミングされた写真を公開し、ファンの怒りを買った。


ロゼはサンローランのグローバルアンバサダーであり、世界的な知名度を持つスターだ。それだけに、「なぜロゼだけが消されたのか」という疑問は、単なる写真のトリミングを超えて、業界全体のリスペクト問題として受け止められた。
2024年には、カンヌ国際映画祭で少女時代のユナが議論になった。ユナがレッドカーペット上でファンにポーズを取り、手を振っていると、女性警備員が腕を伸ばしてユナの行動を制止し、人種差別論争に発展したのだ。

同年、ファッションイベント「メットガラ2024」に参加したStray Kidsは、一部記者から「ロボットのようだ」「感情のない表情」「アリガトウ」などと叫ばれるアクシデントに見舞われた。
こうした事例を見る限り、韓国スターやアジア系アーティストが海外の現場で不当に軽く扱われている、という問題意識には一定の根拠がある。
一方で、すべての違和感を即座に人種差別と断定することにも危うさがある。
ATEEZのサンは、ドルチェ&ガッバーナのショーで座席やクッションの扱いをめぐり、人種差別に遭ったのではないかと議論された。しかし本人はライブ配信で、「クッションは自分がそのように座った。誤解が生じているようで悲しい」と説明している。

俳優チョン・ヘインのケースもそうだ。ミラノで開催されたファッションショーで、チョン・ヘインは、歌手ベンソン・ブーンと俳優ケレム・バーシンの間に座っていた。両隣の2人が脚を大きく開いて座り、その間に挟まれたチョン・ヘインが窮屈そうに見えたことから、無礼ではないかとの指摘が広がった。
しかし、その後、ベンソン・ブーンとチョン・ヘインが和やかにインタビューを交わしていた映像が紹介された。さらにベンソン・ブーンが過去に韓国で路上ライブを行い、「I LOVE 韓国」と表現していたエピソードも再注目され、切り取られた場面だけで判断することへの疑問が出た。

韓国ファンの反応を「被害者意識が強い」と片づけるのは簡単だが、海外の現場でアジア系スターが軽視されてきたと感じる場面が積み重なってきたからこそ、小さな違和感にも敏感になっていることも事実だ。
一方で、その敏感さが、ときに誤解や過剰な攻撃につながることもある。
今回、ユンチェの写真が抜けたことが、意図的な差別だったのか、単なる編集ミスだったのかは明らかになっていない。ただ、同じメンバーだけが繰り返し抜け落ちた時点で、米ビルボードには説明する責任があるのではないだろうか。
韓国スターの海外差別論争は、被害者意識だけでも、単なる偶然だけでも片づけられない。問題の本質は、その曖昧な境界線にこそある。
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