これが国会で発せられるべき質問なのだろうか。
サッカー協会をめぐる韓国国会の聴聞会の場で、ある議員が元Jリーガーの代表コーチに「W杯で負けた理由」を問いただした挙句、最後まで回答を聞かなかった。
韓国国会の文化体育観光委員会は7月30日、韓国サッカー協会めぐる聴聞会を開いた。
今回の聴聞会は、北中米ワールドカップでのグループステージ敗退を受け、韓国サッカー協会の運営全般や代表監督の選任過程などを点検するために設けられた。
聴聞会には、韓国代表のホン・ミョンボ前監督、韓国サッカー協会のチョン・モンギュ前会長、イ・ヨンス会長職務代行、キム・スンヒ専務理事、キム・ビョンジ副会長、キム・ジョンベ前常勤副会長、ムン・ジンヒ審判委員長のほか、現役時代に磐田や甲府、岡山に在籍したキム・ジンギュ代表コーチらが証人として出席した。
「共に民主党」のチェ・ミンヒ議員は、韓国が南アフリカに敗れた北中米W杯グループステージ最終節を持ち出した。
チェ議員はソン・フンミンとイ・ジェソンが当該の試合で先発出場しなかった理由を巡り、一部のファンの間で「ホン・ミョンボ前監督による報復人事ではないかとの主張が出ている」と述べた。
その根拠として、チェ議員は試合中にイ・ガンインとキム・ジンギュ・コーチが会話する様子を収めた、ある観客が南アフリカ戦に撮影したとみられるユーチューブの動画を提示した。
チェ議員はキム・ジンギュ氏に対し、「イ・ジェソンとソン・フンミンが出場できなかったのは、ホン・ミョンボ監督の報復によるものか。ここは国会だ。偽証してはならない」と問いただした。
これに、キム・ジンギュ氏は「そのような事実はない」と答えた。

するとチェ議員は即座に、「ソン・フンミンとイ・ジェソンが南アフリカ戦に出場できなかったことが敗因だとサッカーファンは見ている。なぜ負けたのか。拙戦を演じておいて、なぜ負けたのか」と畳みかけた。
この質問に、キム・ジンギュ氏は「試合をしていれば、さまざまなことが起こり得る。ソン・フンミンとイ・ジェソンが出場しなかったから負けたとは思わない」と説明を始めた。
ただ、回答は最後まで続けられなかった。チェ議員は「なぜ負けたのか。サッカーファンが間違っているというのか」とキム・ジンギュ氏の発言を遮ったかと思えば、「あのような態度だから、我が国のサッカーはあれほどの素晴らしい選手を擁しながらこんな様なのか」と声を荒らげた。
チェ議員の質問は、南アフリカ戦での敗因を尋ねる形をとっていながら、戦術や選手の状態、試合の準備過程、交代の判断に関する具体的な確認はなかった。あらかじめチェ議員の中で結論を決めたうえで、キム・ジンギュ氏に回答を強要したのに等しかった。
そのキム・ジンギュ氏に試合で敗れた原因を問い詰めながら、回答を途中で遮る光景も、聴聞会の本来の目的とは程遠いものだった。
この日の聴聞会は、韓国代表の成績そのものを責め立てるためではなく、韓国サッカー協会の行政や監督選任過程に問題がなかったかを確認するために開かれた。
サッカーファンの主張や事実関係が十分に確認されていない動画をそのまま持ち出し、「なぜ負けたのか」と繰り返す手法だけでは、協会運営の構造的な問題を明らかにすることは困難だ。
チェ議員は前出の動画を根拠に「一人の選手が交代すべきだと主張している。当該の選手は誰か」とも質問した。キム・ジンギュ氏は、当該の選手はチョ・ギュソンだと答えた。
ユーチューブ動画内の切り取られた会話や一部ファンの解釈が、国会の聴聞会という場で“主要な根拠”として登場したわけだ。動画全体の文脈や当時のベンチで飛び交った指示、選手たちのコンディションに対する確認がなされることはなかった。
韓国サッカー協会に対する国民的な不信感が大きい分、聴聞会では“鋭い質問”が求められていた。“鋭い質問”とは、声を荒らげたり、証人の回答を遮ったりしたところで生まれるものではない。
事実関係を確認し、矛盾を突き、責任の所在を明確にすることこそが国会の役割だ。
「なぜ負けたのか」という問いばかりが残ったこの光景は、この日の聴聞会がその役割を最後まで適切に果たせるのか、見る者に疑問を抱かせるものとなった。
(記事提供=OSEN)


