俳優活動を離れた理由は、それぞれあまりにも重かった。
それでも2人は復帰を望んでいる。
一人は、かつてシットコムで顔を知られながら、所属事務所との問題や生活苦、家族の事情を抱え、表舞台から遠ざかった女優キム・セイン。
もう一人は、約40億ウォン(約4億5000万円)の債務を抱え、今年5月に俳優引退を宣言したチャン・ドンジュだ。
性別も年齢もキャリアも違う。置かれた状況もまったく同じではない。それでも2人は、ほぼ同じタイミングで「もう一度、俳優として戻りたい」という意思を明らかにした。
生活のために、露出のある演技まで
キム・セインは7月30日に放送されたMBNのドキュメンタリー『特ダネ世界』(原題)に出演し、芸能界を離れた理由と現在の暮らしを明かした。

2004年に映画『同床異夢』(原題)でデビューし、2011年にはSBSのシットコム『オー・マイ・ゴッド』(原題)で知られるようになったキム・セイン。しかし2013年頃、突然芸能界を離れた。
番組で公開された現在の彼女は、華やかな芸能人のイメージとは大きく異なる生活を送っていた。保護犬7匹を含む計15匹の動物と暮らし、生活のために食品配達のアルバイトをしているという。
キム・セインは番組で「一銭でも多く稼がなければならない」とし、広告やドラマ、映画撮影も時折しているものの、大所帯を責任持って支えるためには走り続けなければならないと語った。
彼女が芸能界を離れた背景も壮絶だった。
キム・セインは、当時の所属事務所代表に接待を伴う飲食店のような場所へ連れて行かれ、つらい思いをしたと告白した。さらに、その時期に母親がくも膜下出血で倒れ、15年たった現在も意識を取り戻していないという。

家族の事情も重かった。事業家だった父のもとで裕福に育ったが、IMF外貨危機の影響で家計は急激に傾いた。家族は倉庫のような場所で暮らさなければならず、キム・セインは20歳頃から実質的に家族を支える立場になった。
生活のために、露出のある演技も引き受けた。彼女は当時、数千万ウォン(数百万円)というお金が本当に必要で、家族もあまりに大変な状況だったため、自分が背負わなければならないと思ったと振り返っている。
その父は2年前、心臓麻痺で急逝した。キム・セインは父との約束もあり、いまも多くの動物たちの世話を続けている。決して楽な生活ではない。それでも彼女は、再びカメラの前に立つ意思を示した。
最近、華やかな衣装を着て再びカメラの前に立ち、復帰を準備しているというキム・セインは、「丈夫になった精神力と健康になった体で、さまざまな役を一生懸命演じ、視聴者に会いたい」と語っている。
俳優引退宣言後、ライブ配信で再出発
一方、まったく別の事情で俳優活動を中断したのがチャン・ドンジュだ。
チャン・ドンジュは2012年、演劇『真夏の夜の夢』(原題)でデビューした。

その後、ドラマ『恋するレモネード』『ボクスが帰ってきた』『潜入弁護人~Class of Lies~』『君の夜になってあげる』『トリガー』、映画『正直政治家チュ・サンスク』『カウント』『ハンサム・ガイズ』などに出演。俳優として着実にキャリアを積んできた。
しかし今年5月、突然俳優引退を宣言した。
チャン・ドンジュは当時、携帯電話のハッキングと脅迫の被害を主張し、それによって約40億ウォンの債務が発生したと明かした。すでに30億ウォンは返済したが、残る債務を解決するまでは俳優活動を暫定的に中断すると説明した。
一部で浮上した無銭飲食疑惑については全面否定し、名誉毀損や虚偽事実、私生活流布に対する法的対応も予告していた。
そんなチャン・ドンジュが、今度はライブコンテンツ企業ユニバースレーベルと専属契約を結び、新たな活動を始めた。報道によると、契約後に出演したライブ配信では、一度の放送で約2000万ウォン(約220万円)の後援額を記録したという。現在もTikTokライブなどを通じて活動を続けている。
ただ、チャン・ドンジュは俳優の道を完全に閉ざしたわけではないようだ。

韓国メディア『OSEN』によると、ある芸能関係者は「チャン・ドンジュは今、どんな仕事でも選り好みせず、残っているすべての債務を必ず返済することが最大の目標にしている」としたうえで、「すべての責任を果たした後、機会が与えられるなら、再び俳優チャン・ドンジュとして復帰したい気持ちもある」と伝えた。
キム・セインとチャン・ドンジュの事情を、同じものとして扱うことはできない。キム・セインの告白には、所属事務所との関係、家族の介護、生活苦という長年の傷がある。一方のチャン・ドンジュは、巨額債務を自ら返済しなければならないという現実的な課題を抱えている。
それでも、2人が同じように「もう一度俳優として会いたい」と語ったことは印象的だ。
俳優としての復帰は、本人が望むだけで実現するものではない。作品との出会い、制作側の信頼、世間の視線、そして本人の生活がある程度立て直されていることも必要になる。
それでも、壮絶な時間を経た2人が、再びカメラの前を目指し始めていることは確かだ。
彼らがもう一度、俳優として視聴者の前に立てるのか。少なくとも2人の「戻りたい」という言葉には、単なる芸能界への未練ではなく、失われた時間を取り戻そうとする切実さがにじんでいる。
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