BLACKPINKが、デビュー10周年を目前に控えている。
しかし、ファンが待ち望むような“4人そろった動き”は、今のところ見えない。
BLACKPINKが2016年8月8日に『SQUARE ONE』でデビューし、『WHISTLE』『BOOMBAYAH』で一気に存在感を示してから10年。
K-POPガールズグループの枠を超え、今や世界的なポップアイコンとなった4人にとって、本来なら大きな祝祭になるはずの節目だ。
ところが、その10周年を目前にして、一部ファンの間では不満が噴き出している。不満の理由は、記念企画がまったくないからではない。
8周年には“完全体”があった
記念企画自体はある。

ファンプラットフォーム「Weverse」では10周年記念のデジタルバッジや特別ファンレター形式が用意され、韓国・国立中央博物館の文化商品ブランド「MU:DS(ミュッズ)」とのコラボによる「HERITAGE COLLECTION」も発売される。記念切手の発行もある。
それでもファンが求めているのは、そうした“所有できる記念品”だけではない。
SNSでは「グッズではなくBLACKPINKが見たい」「せめて団体ライブをしてほしい」「10周年なのに、ファンのための公式イベントがひとつもないのか」といった声が相次いでいる。
あるファンは「10年間、一緒に歩んできたBLINK(BLACKPINKファン)に対する基本的な礼儀もないように感じる」と失望を示した。
4人がそろって10年を振り返る映像、ライブ配信、ファンミーティング、メッセージ。ファンが見たいのは、記念商品ではなく、BLACKPINKとしての4人の時間なのだ。
ファンの落胆が大きいのは、過去の記念日との比較もあるだろう。
2024年のデビュー8周年では、BLACKPINKが久しぶりに4人そろってファンの前に姿を見せた。8周年当日にはWeverseでライブ配信を行い、サイン会も開催。さらに映画『BLACKPINK WORLD TOUR [BORN PINK] IN CINEMAS』の制作発表会にも出席した。

メンバーたちはそれぞれSNSに完全体の写真を投稿し、ロゼは「8年という時間の間、私たち皆、とても誇らしく大きくなったようです」と感謝を伝えていた。久々に4人がそろった姿に、世界中のファンが熱狂した。
一方、2025年の9周年は、8周年ほど大きな公式イベントがあったわけではない。それでも、ジスが4人で撮影した集合写真を投稿し、ロゼ、ジェニー、リサもそれぞれSNSで9周年を祝福した。少なくともファンは、4人が同じ記念日を見つめていることを感じることができた。
節目としてはさらに大きい10周年に、何かしら4人そろったメッセージやコンテンツを期待するのは自然だった。
この間、BLACKPINKはグループ活動を行っている。2025年7月にはワールドツアー「DEADLINE」をスタートさせ、2026年2月には完全体ミニアルバム『DEADLINE』もリリース。久々のグループカムバックとツアーは、世界中のBLINKにとって待望の瞬間だった。

つまり、ファンの不満の本質は、10周年という特別な節目に向けた“4人からファンへの言葉”が見えないことだ。
アルバムもツアーもあったが、10周年を10周年として祝う時間が見えない。そこにファンの寂しさがある。
BLACKPINKは今も“グループ”なのか
この不満の奥には、さらに大きな問いがある。
BLACKPINKは今も“グループ”なのか、という問いだ。
2023年12月、BLACKPINKはYGエンターテインメントとグループ活動に関する再契約を結んだ。一方で、個人活動についてはメンバー全員がYGとの契約を更新しなかった。
その後、ジスはBLISSOO、ジェニーはODD ATELIER、リサはLLOUDを設立。ロゼはTHE BLACK LABELと専属契約を結び、それぞれソロアーティストとしての活動を本格化させた。音楽、ファッション、演技、グローバルイベント。4人の個人活動は、むしろ以前よりも広がっている。
その選択自体は、K-POPの新しい形でもある。

BLACKPINKは解散しておらず、YGエンターテインメントとのグループ契約もある。必要なタイミングで集まり、ツアーやアルバムを出すこともできる。実際に『DEADLINE』でそれを示した。
だが一方で、日常的にひとつの事務所で管理される従来型のグループとは、やはり違う。今のBLACKPINKは、別々の場所でキャリアを築く4人のトップスターが、特別なタイミングで集まる“プロジェクト型グループ”に近づいているといってもいいだろう。
その形は、自由で成熟しているが、ファンにとっては不安も残る。
4人の現在地がそれぞれ遠くなればなるほど、「BLACKPINKとしての時間」は見えづらくなる。それだけに10周年という節目には、その存在を確かめられる何かが必要だった。
ファンが欲しいのは“約束”だ
今回の不満を、ファンの単なるわがままと見るのは少し違う。
ファンは、毎月のように完全体コンテンツを求めているわけではない。あるファンは「頻繁なファンイベントや終わりのないコンテンツを期待していたわけではない。ただ、10周年が特別なものとして扱われることを願っていただけだ」と訴えている。
別のファンも、「365日のうち、たった1日だけ気にかけてほしいだけなのに、それがそんなに難しいのか」と嘆いた。
この言葉に、今回の不満が凝縮されている。

BLACKPINKのメンバーがソロで成功することを、ファンは素直に喜んでいる。4人それぞれがグローバルスターとして確立したことを誇りに思っているファンは多い。
けれど、その個人活動を支えてきた土台には、BLACKPINKとしての10年がある。そして、その10年を一緒に歩んできたBLINKがいる。その分、ファンはグッズではなく、4人の声を求めている。
短いライブ配信でも、10年を振り返る映像でもいい。求められているのは大規模なプロジェクトではなく、BLACKPINKが今もファンのほうを向いていると感じられる瞬間なのだ。
記念商品は、10周年を“所有”させてくれる。だが、4人の声や姿は、10周年を“記憶”に変えてくれる。
8月8日当日に、何かサプライズが用意されている可能性もある。まだ結論を出すには早いのかもしれない。
ただ、ここまでファンの不満が表面化していることは、BLACKPINKというグループの存在の大きさを逆説的に示している。ファンが怒っているのは、10年たってもなお、4人でいる姿を見たいのに、その時間が見えないからだ。
10周年という節目に、BLACKPINKが今も“グループ”であることを示すには、4人の時間と言葉が必要だ。


