韓国で詐欺容疑を受ける日本人アイドル練習生A氏が、検察へ送致された。
ネット上では、「いったい誰なのか」と特定を試みる動きが広がっている。
A氏の実名は公表されていない。それでも、韓国メディアが報じたデビュー時期やグループの人数、離脱のタイミングなどから、ある元デビュー予定メンバーの名前が急浮上した。
公開されている情報には、たしかに複数の一致点がある。
ただし、警察や所属事務所が両者を同一人物だと認めた事実はない。現時点で広がっているのは、あくまでネット上の推測だ。
ネットで進む特定「誰なのか」
複数の韓国メディアによると、ソウル永登浦(ヨンドゥンポ)警察署は7月29日、詐欺容疑を受けている日本国籍の練習生A氏を在宅のまま検察へ送致した。

A氏は、中小芸能事務所から6人組男性アイドルグループのメンバーとしてデビューする予定だった。しかし、デビューを約2カ月後に控えた2025年12月、「信頼関係が崩れた」という言葉を残して突然姿を消したとされる。
すでにミュージックビデオの撮影を終え、音源やメンバーの顔も公開されていた時期だった。グループは最終的にA氏を除く5人体制となり、2026年2月にデビューした。
所属事務所側は、A氏のために投じたトレーニング費用、楽曲・振付制作費、レコーディング費、ミュージックビデオ撮影費、食費、宿舎の家賃などを合わせ、5743万ウォン(約636万円)の損害を受けたと主張している。
さらに事務所側は、A氏が別の芸能事務所にも所属し、ひそかに二重契約を結んでいたと主張。以前に契約していた会社でも突然連絡を絶っていたとして、今年3月に法的対応へ踏み切ったという。
この報道を受け、オンライン上では、ある5人組ボーイズグループの過去の活動歴を示す投稿が急速に拡散した。
注目されているのは、2026年2月25日にデビューしたCHASER(チェイサー)だ。

CHASERは現在、カンビン、ケイスケ、レン、ユンソン、シフンの5人で活動している。一方でデビュー前には、日本人メンバーのマサヤを含む6人体制で準備を進めていた。
CHASER側は2025年12月1日、マサヤについて「健康上の理由」によりプレデビュー公演への参加が難しいと発表。「十分な休息と回復に専念している」と説明していた。
その1カ月後の今年1月1日には、マサヤは「一身上の理由」でグループ活動を続けることが難しくなったとして、CHASERが今後5人体制で活動すると告知した。
そしてグループは同年2月25日、1stミニアルバム『ROUTE 01 : BURNING POINT』で正式デビューを果たしている。
たしかに一致点は多いが…
「6人組としてデビューを準備していた」「2025年12月に姿を消したと報じられた」「残る5人が2026年2月にデビューした」「日本人練習生だった」。こうした条件が重なったことで、ネット上ではA氏とマサヤが同一人物ではないかとの見方が広がった。
5月の時点ですでに、英語圏のK-POPメディア『Asian Junkie』が、公開された条件が元CHASERメンバーのマサヤとほぼ一致するとして、両者を関連づける推測を記事にしていた。8月4日に韓国で送致が報じられると、日本でもCHASERの過去のプロフィールを紹介する投稿が大きな反響を呼んだ。
もっとも、一致点が多いからといって、それだけで同一人物だと断定することはできない。

CHASER側が当時発表したのは、あくまで「健康上の理由」と「一身上の理由」だ。今回報じられた事件との関連についても、所属事務所から公式な説明は出ていない。今回の韓国メディアの報道でも、A氏の実名や所属していたグループ名は伏せられている。
また、A氏が二重契約をしていたことや、過去にも同様の行為を繰り返していたという内容は、現段階では所属事務所側の主張として報じられているものだ。何よりも検察への送致は有罪が確定したことを意味しない。
当時、ファンに伝えられたのは「健康上の理由」による公演欠席と、その後の活動中断だった。それから数カ月後、よく似た経歴を持つ日本人練習生の送致が報じられたことで、2つの出来事を結びつけようとする動きが始まった。
一方で、真偽が確認されないままでも、ネット上の“特定”は進んでいく。一つの投稿が別の投稿に引用され、推測が繰り返されるうちに、いつしか確定した事実のように受け止められてしまうこともある。
その結果、疑いを向けられた本人だけでなく、CHASERの現メンバーやファン、関係者にまで影響が広がる可能性がある。まったく別の人物であれば、無関係な名前が詐欺事件と結びつけられ続けることにもなる。
捜査中の事案であり、所属事務所が明かせる範囲には限界があるだろう。それでも、ネット上でこれだけ具体的な名前が広がっている以上、報道されたA氏とマサヤが別人であるならば、CHASER側は可能な範囲で明確に否定する必要があるのではないか。
沈黙が続けば、推測が事実として受け取られる余地も広がっていく。
現時点で言えるのは、匿名で報じられたA氏が「マサヤではないか」として注目を集めているということだけだ。
だからこそ今求められるのは、ネット上でのさらなる“答え合わせ”ではなく、当事者側から示される確認可能な説明なのかもしれない。
■【写真】NewJeansデビュー目前に突然“切られた”日本人練習生


