ある若手韓国俳優が、急速に追い込まれている。
ドラマ『トリガー』や『愛する盗賊様よ』に出演した24歳のホン・ミンギだ。
元恋人を名乗るA氏から交際中の暴力をめぐる疑惑を提起されたことに続き、妊娠中絶を促されたとの主張まで飛び出した。
ホン・ミンギ側はこれを全面的に否定し、法的対応に乗り出す方針を示している。
現時点で、双方の主張のどちらが事実なのかは決着していない。それでも、芸能人としてのダメージはすでに表面化し始めている。
こうした私生活スキャンダルが飛び出した俳優は、再び立ち上がれるのか。
韓国芸能界には、その答えを考えるうえで対照的な二つの例がある。俳優キム・ソンホと、UN(ユーエヌ)出身のキム・ジョンフンだ。
主張と反論が泥沼化
ホン・ミンギの騒動が表面化したのは8月19日だった。

元恋人A氏はSNSを通じ、ホン・ミンギから交際中に危険な物を投げられたり、身体的な暴力や脅迫を受けたりしたと主張。さらに私生活を過度に確認されたとも訴えた。
これに対しホン・ミンギ側は、A氏との交際自体は認めながらも、暴力などの主張を否定。むしろ別れを告げた後も、A氏から一方的な連絡や接触を受けていたと反論した。
その後、A氏は妊娠が判明した際、ホン・ミンギから中絶を促されたと追加で主張。
これについても所属事務所は、「妊娠検査薬を見せられた事実はなく、中絶を促す趣旨の発言をした事実もない」と真っ向から否定した。
さらにA氏は、両者の通話とされる録音を公開した。そこでは、音声に登場する男性が「これが何でやるべきことなんだ」と尋ねると、A氏が「私、妊娠検査薬で陽性が出たとき、私に怒鳴り散らしたじゃん。最初に(結果を)見るなり。覚えている?」などと話している。
しかし、報道時点では音声に登場する男性の身元や、会話の前後関係までは確認されていない。
双方の主張がぶつかるなか、ホン・ミンギ側は今後、反論を繰り返すのではなく、確保した資料をもとに民事・刑事上の手続きを進めるとしている。
A氏側も、今後はSNSではなく法廷で争う意向を示している。
双方が法的対応の方針を示したことで、この問題はSNS上の応酬から、証拠をもとに事実関係を争う段階へ移りつつある。
すでに悪影響…復活した例も
ただ、法的な結論が出るまで、何も変わらずに待ってくれないのが芸能活動だ。

早くも、2024年に公開されたホン・ミンギ出演の飲料広告が、非公開になったことも報じられた。非公開の理由そのものは明らかにされていないため、今回の騒動が原因と断定することはできない。
それでも、広告業界が私生活をめぐる大きな論争に敏感なのは事実だろう。
ホン・ミンギは2020年にデビューし、『スタディーグループ』『バニーとお兄さんたち』『トリガー』などへの出演を重ね、ようやく知名度を伸ばしてきた俳優だ。
そんな上昇局面で直面した今回の騒動は、キャリアにとって極めて大きな分岐点になり得る。
ただ、似た場所から復活した俳優もいる。代表例がキム・ソンホだ。

2021年、元恋人を名乗る女性から、妊娠後に中絶を勧められたなどと暴露され、大きな批判を浴びた。
当時のキム・ソンホは、ドラマ『海街チャチャチャ』のヒットで人気絶頂。だが騒動後、レギュラー番組や広告から相次いで姿を消した。
ここまでは、現在のホン・ミンギと重なる部分もある。しかし、その後の展開が違った。
キム・ソンホと元恋人の間で交わされたメッセージなどが報じられ、当初の「一方的に傷つけた男性」という単純な構図では捉えにくい事情が明らかになっていった。
キム・ソンホの謝罪を元恋人側が受け入れたと伝えられ、一度非公開にされた広告の一部も再公開された。
そして2023年、映画『貴公子』で本格的にスクリーンへ復帰。その後も『おつかれさま』や『恋の通訳、できますか?』など作品出演を重ね、俳優として再び評価を取り戻していった。
つまりキム・ソンホは、ただ時間が解決してくれたわけではない。
騒動をめぐる見え方が変わり、当事者間の関係が一定程度整理され、最後は作品で再び評価される機会を得た。
この3つが大きかった。
復活できなかったケース、違いはどこに
一方、同じようなスキャンダルに巻き込まれながら、キム・ソンホとは違う道をたどったのがUN出身のキム・ジョンフンだ。

2019年、元恋人との妊娠や金銭問題をめぐる騒動が発生。中絶を強要されたとの主張まで報じられた。
キム・ジョンフンはその後、元恋人が虚偽事実を流布したとして損害賠償を求めたが、裁判所は請求を棄却。別の認知請求訴訟では、子どもとの親子関係が認められた。
ただし、キム・ジョンフンが韓国芸能界で以前のような立場に戻れなかった理由を、この私生活問題だけに求めるのは公平ではない。
それ以前の2011年には飲酒運転で免許取り消し。その後も2023年末に追突事故を起こし、警察の飲酒検査を拒否したとして起訴され、罰金刑を受けているからだ。
つまり、ひとつのスキャンダルで完全に道が閉ざされたというより、問題が繰り返されたことで信頼回復が難しくなっていったケースと見るべきだろう。
キム・ジョンフンは現在、日本ではライブやファンイベントを続け、韓国でもドラマ復帰を果たしたものの、かつてのような活動規模にまで戻ったとは言い難い。
ホン・ミンギがどちらの道をたどるのかは、現時点では判断できない。
何より、A氏の主張もホン・ミンギ側の反論も、まだ司法によって事実認定されたものではないからだ。
今後重要になるのは、何が証拠によって確認されるのか。そしてその後、ホン・ミンギ自身がどのような対応を取るのかだろう。
キム・ソンホは騒動の構図が変わり、時間を置き、最後は作品で評価を取り戻した。一方、キム・ジョンフンは私生活問題だけでなく、その後も別のトラブルが重なり、韓国で以前のような立ち位置を取り戻すまでには至っていない。
ホン・ミンギはいま、その分岐点に立っている。
復活か、退場か。それを決めるのは、スキャンダルが起きた瞬間ではなく、これから明らかになる事実と、その後にどんな行動を見せるかではないだろうか。
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