「退社します」
ガールズグループi-dle(アイドゥル)のソヨンが自身のSNSに残した短い言葉が、注目を集めている。
しかも投稿された写真には、所属事務所CUBEエンターテインメントのロゴが写り、ソヨンはそのロゴに向かって手を伸ばしていた。
所属事務所への“別れのあいさつ”なのか。あるいは、またCUBEとの間に何かあったのか。
そんな憶測が広がったのも無理はない。なぜならソヨンは2年前、本当に所属事務所と公然とぶつかっているからだ。
ただし今回については、少し事情が違う可能性もある。
韓国メディアによると、映画や映像作品の制作者と新人俳優、スタッフなどをつなぐ韓国の業界コミュニティサイト「Filmmakers」に掲載された俳優イ・ギュホの公開プロフィールには、2026年の出演歴として「ソヨン(i-dle)-『退社します』MV 男性役」と記載されているという。
さらに、女優パク・ソヨンのプロフィールにも、MV出演歴として「2026 ソヨン(公開予定)/会社員役」という記載があった。
つまり「退社します」は、退社宣言ではなく、9月7日にリリース予定のソヨン初ソロアルバムに関連する楽曲、あるいはミュージックビデオのタイトルである可能性もあるわけだ。


それでも今回、ソヨンの「CUBE退社説」が広がったのは、やはり2年前の記憶が強烈だからだろう。
本当に“バチバチ”だった2年前
2024年8月、ソヨンはソウルで行われたi-dleの単独コンサートで、ソロステージの歌詞を一部変更。
「11月契約終了」「誰が私を止める」といった内容を盛り込んだことで、CUBEとの再契約をめぐる憶測が一気に広がった。
当時はソヨンの専属契約満了が近づいていた時期でもあり、「このままCUBEを離れるのではないか」と見る声が相次いだ。
ところが、ここから事態はさらにややこしくなる。
CUBE側は当初、メンバーの再契約時期は翌年であり、問題の歌詞についても「会社と事前協議のないパフォーマンス」といった趣旨で説明した。
これに対し、ソヨン本人がSNSで反応。
「嘘を書いたわけでも、会社に隠していたわけでもない」「リハーサルでも何度も見せながら作ったステージだった」と説明し、さらに会社の対応についても「不十分さを改めて感じた」と不満を示した。

するとCUBEはその後、ソヨンの契約終了時期が同年11月であることを認める形で説明を訂正した。
所属アーティストと事務所が、ここまで公然と食い違うのは珍しい。当時は「ソヨン退社」が現実味を帯びて受け止められていた。
それでもソヨンはCUBEを辞めなかった
しかし、結末は意外なものだった。
2024年11月30日、ソヨンは授賞式「MMA2024」でi-dleが「今年のレコード」を受賞した際、メンバー5人全員がCUBEと再契約することを自ら発表した。
その後、CUBEも正式に全員との再契約を発表。あれほど契約終了をめぐって激しくぶつかったソヨンは、結局CUBEを離れなかったのだ。
しかも再契約後に明らかになった状況を見ると、単に「残った」だけではなかったようにも見える。
翌2025年1月、ソヨンとウギはYouTube番組で再契約条件について語り、精算比率が以前より良くなったことを匂わせた。さらに同年5月には、再契約後のi-dleが「1人1マネージャー」「1人につき移動車1台」という体制になったことも番組を通じて明らかになった。
もちろん、これらがすべてソヨンとCUBEの対立の結果だったと断定することはできない。ただ、再契約によってメンバー側の条件や待遇が改善されたことはうかがえる。

そう考えると、ソヨンとCUBEの関係を単純に「仲が良い・悪い」と見るだけでは、少し足りないのかもしれない。
ソヨンはi-dleのリーダーであるだけでなく、グループの代表曲を数多く手掛けてきた主要プロデューサーでもある。i-dleというグループの音楽性やイメージを作るうえで、ソヨンの存在は極めて大きい。
一方でCUBEにとっても、i-dleは会社を代表するアーティストのひとつだ。
つまり両者は、単に「事務所と所属アイドル」という一方的な上下関係だけでは捉えにくく、ソヨン側も相応の発言力や交渉力を持っているように見える。
2024年の再契約も、どちらか一方が折れたというより、それぞれが必要とする条件をすり合わせた結果だったと見るほうが自然だろう。実際、ソヨンは当時、会社の対応を公に批判しながらも最終的には再契約した。
そして再契約後には、収益配分やマネジメント体制の変化も見えてきた。
そう考えると、今回の「退社します」という言葉が大きな騒ぎになるのも、ある意味では当然なのかもしれない。
今度の「退社します」は何を意味する?
現時点では、ソヨンがCUBEを離れるかどうか以前に、所属事務所への不満を表したものかどうかも確認できない。

むしろ前述した俳優プロフィールの記載を見る限り、「退社します」は新しいソロ活動に関連するタイトルである可能性が十分に考えられる。
ただ、それでもファンや韓国メディアが即座に「退社説」を思い浮かべたほど、2024年の「契約終了」をめぐる騒動が強く記憶されているということだ。
2年前、ソヨンはステージ上で「契約終了」と歌い、本当にCUBEとぶつかった。だが、その先に待っていたのは退社ではなく、5人全員での再契約だった。
そして今回は「退社します」。この言葉が本当に別れを意味するのか。それとも、ソロ活動に向けた“仕掛け”なのか。
少なくとも一つだけ言えるのは、ソヨンとCUBEの関係は、単純な「仲良し」「不仲」の二択では語れないということだ。
2年前にあれほどぶつかりながら、それでも一緒に残る道を選んだ両者だからこそ、今回の5文字もまた、ひときわ意味深く響いている。
◇ソヨン プロフィール
1998年8月26日生まれ、本名チョン・ソヨン。2014年にCUBEエンターテインメントのオーディションに合格。2016年のオーディション番組『PRODUCE 101』に参加して最終順位20位で脱落するも、2017年11月に『Jelly』でソロデビュー。翌2018年5月にガールズグループ(G)I-DLEのリーダーとしてデビューした。(G)I-DLE(現i-dle)のアルバムの総括プロデューサーとして、すべてのタイトル曲と数多くの収録曲の作詞・作曲・編曲に携わっている。特にデビュー20日で音楽番組1位に輝いた『LATATA』を19歳で作詞・作曲・プロデュースするなど、恐るべき才能を誇る。


