「最近の済州島のニュースを見ると、散歩するのもちょっと怖い」
2017年から済州島で暮らしている女優チン・ジェヨンが、そんな不安を口にした。
美しい自然とゆったりとした暮らしで知られ、韓国芸能人の移住先としてもたびたび注目されてきた済州島。
美しいビーチやリゾート地が多く、韓国を代表する観光地として知られる島だ。
ところが最近、失踪届が出ていた人たちが相次いで亡くなった状態で発見され、さらに警察による失踪事件の不適切な処理まで明らかになった。
地域に広がった不安は、長年そこで暮らしてきた芸能人たちの言葉にも表れ始めている。
済州暮らしの芸能人「ちょっと怖い」
チン・ジェヨンは8月25日、自身のSNSに「夜はあまり出歩かないけれど、最近の済州島のニュースを見ると、散歩するのもちょっと怖い」と投稿した。

彼女は2010年にプロゴルファーのチン・ジョンシクと結婚し、2017年から済州島で生活している。
過去にはテレビ番組で、住んでいる場所について「観光地から離れていて、夜に明かりを消すと真っ暗になる」と話したこともあった。
そんな済州暮らしをよく知る彼女が、日常の散歩にまで不安を感じるようになったという。
さらに、済州島で7年間暮らしている医師でタレントのホン・ヘゴルも、警戒を呼びかけた。
自身のSNSで「済州は本当に美しい場所だが、決して甘く見てはいけない」としたうえで、山奥まで入らなくても人通りのほとんどない道が少なくないと説明。
「昼間でも、舗装された道でも、一人で歩くことは勧めない。女性だけでなく、体格のいい男性も同じ」とつづった。
ただ、この発言には「済州島全体が危険な地域であるかのように受け取られかねない」との批判も出た。

その後、ホン・ヘゴルは「注意しようという趣旨であり、済州が危険だという意味ではない」と釈明。済州の地形上、人のいない場所に入り込みやすいことや、犯罪に限らず、野犬に襲われる危険などもあると説明し、自身の発言で傷ついた人々に謝罪した。
なぜ芸能人まで不安を口にしているのか
背景にあるのが、最近相次いで伝えられた失踪者発見のニュースだ。
今年5月に済州市・翰林邑(ハンリムウプ)で行方がわからなくなっていた女性が、失踪から104日後となる8月24日、宿泊先近くの農場で亡くなった状態で発見された。
さらに問題となったのが、警察の対応だった。
捜査の過程で、担当警察官が本人の安全を直接確認しないまま、失踪事件を虚偽に終結処理していたことが明らかになったのだ。
しかも同じ警察官が担当した別の失踪事件でも、虚偽の終結処理をしていた疑いが浮上している。
加えて済州島では8月22日から24日までの3日間に、失踪届が出ていた4人が相次いで亡くなった状態で発見された。
こうした出来事が重なり、単に「失踪者が見つかった」という話ではなく、警察が失踪事件をどのように扱ってきたのか、その対応そのものに疑問が向けられることになった。
事態を受け、8月27日には済州警察庁長が正式に謝罪した。
「国民の生命と安全を守るべき警察が、その責務を果たせなかっただけでなく、虚偽の言動によって家族に消えない傷を与えた」と述べ、遺族や済州島民、国民に頭を下げた。
さらに、済州地域で扱われたすべての失踪事件を全面的に再調査し、同様の問題がなかったかを点検すると表明。失踪事件の処理システムや手続き、人員体制まで確認し、再発防止策を設ける方針も明らかにした。
警察トップ自らが謝罪し、全件再調査にまで踏み込んだことからも、今回の問題が単なる一つの失踪事件にとどまらないことがわかる。
「済州は危険」と決めつける話ではない
もちろん、一連の出来事だけを理由に、済州島全体を「危険な場所」と決めつけるのは適切ではない。

ホン・ヘゴル自身も、そのような意図ではなかったと説明している。
それでも、長年済州島で生活しているチン・ジェヨンが「散歩するのもちょっと怖い」と語り、ホン・ヘゴルが男女を問わず一人歩きへの注意を呼びかけるほど、最近のニュースが現地で暮らす人々の一部に心理的な不安を与えていることは確かだろう。
美しい自然と静かな暮らしで、多くの芸能人を引きつけてきた済州島。
そのイメージとは別のところで、今は失踪事件への対応と、それを担う警察への信頼が厳しく問われている。
長年、済州で暮らしてきた芸能人たちまで相次いで不安を口にしたことは、今回の問題が人々の日常感覚にまで影を落とし始めていることを物語っているのかもしれない。
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