日本の女性アイドルグループ=LOVE(イコールラブ)が、韓国で思わぬ議論の中心になっている。
=LOVEは8月23日、韓国の人気音楽番組『人気歌謡』に初出演し、『恋、はじめました。』の韓国語バージョンを披露。
放送後には=LOVE関連のワードが韓国SNSで複数トレンド入りするなど、大きな注目を集めた。
ただ、その反応は必ずしも称賛一色ではなかった。
SNSでは歌やダンス、ステージの完成度について厳しい評価が相次ぎ、「K-POPアイドルと比べると物足りない」といった趣旨の声まで広がった。
一方で、「日本と韓国ではアイドルに求めるものが違う」「K-POPと同じ物差しで評価すること自体がおかしい」と反論する声もある。
良くも悪くも、=LOVEの韓国出演が大きな議論を呼んでいるわけだ。
ここで思い出すのが、今年3月に同じく韓国の音楽番組へ出演したCUTIE STREET(キューティーストリート)だ。
『M COUNTDOWN』で『かわいいだけじゃだめですか?』を韓国語で披露すると、ステージ映像は公開3日で300万再生を突破。その後は1000万再生を超え、韓国で称賛の声が広がった。
同じ日本の女性アイドルなのに、なぜここまで反応が違ったのだろうか。
SNSで広がった「何として見られたか」の違い
今回、=LOVEをめぐる議論には様々な分析が出ている。

なかでも注目を集めたのは、絶賛されたCUTIE STREETとの違いは「実力」だけではなく、韓国側から“何として分類されたか”にあるのではないかというものだ。
CUTIE STREETは「アイドル」としてK-POPアイドルと直接比較されるより、日本から来た独自の「KAWAIIカルチャー」として受け止められた。
一方、=LOVEは「王道の女性アイドル」として認識された結果、K-POPのガールズグループと同じ評価軸に乗せられ、歌やダンス、ステージの完成度まで厳しく比較されたのではないか。
そんな分析がSNSで大きく拡散されている。
もちろん、これはSNS上で広がった一つの分析にすぎない。ところが調べてみると、興味深いことがわかった。
CUTIE STREETについては、今回の=LOVE騒動より前から、韓国の専門家がこれと重なるポイントを指摘していたのだ。
専門家が評価した「日本のまま」であること

例えば、ポピュラー音楽評論家のファン・ソノプ氏は、CUTIE STREETの韓国人気について、「それぞれの国ならではの魅力よりもグローバル・スタンダードを追うアイドルが増えている今、彼女たちは日本のアイドル特有の美的感覚とムードを継承している」と分析している。
そして、「“最もローカルなものが、最もグローバルなものになり得る”ことを証明している」と高く評価した。
これはかなり重要な指摘だ。
CUTIE STREETは韓国で成功するために、K-POPらしいグループへ姿を変えたわけではない。
実際、メンバー自身も韓国進出前、「そのままの私たちで大丈夫かな」と不安を感じていたという。それでも衣装や雰囲気を変えず、自分たちの「KAWAII」をそのまま持ち込んだところ、韓国のファンに受け入れられたと振り返っている。
制作側でも同様の判断があった。
韓国語版のミュージックビデオを制作する際には、「韓国で話題になったのだからK-POPらしくするべきか」「J-POPらしさを残すべきか」という議論があったという。最終的に選んだのは“日本発のKAWAIIカルチャーを貫く”ことだった。
日本発のKAWAIIカルチャーを大切にした結果、反響を得られたため、今後も独自のクリエイティビティーを貫きたいという考えが語られている。
ただし「日本のまま」だけでもなかった
作家・コラムニストのペク・ソルヒ氏は、CUTIE STREETが韓国で支持を広げた理由として、現地への“伝え方”に注目している。
同氏は、CUTIE STREETが『かわいいだけじゃだめですか?』を「すべての歌詞を韓国語に訳して歌うという意気込みを見せた」と紹介。
さらに、韓国で流行しているミームを取り入れたショート動画を継続的に公開していることにも触れたうえで、こう評している。
「きゅーすとが韓国のファンたちに差し伸べる手は、単なるマーケティングの領域を超え、ファンに伝えたいという真摯な思いとして捉えられている」
つまりCUTIE STREETは、グループそのものの個性や「KAWAII」を変えたのではない。その一方で、言葉やSNSコンテンツなど、韓国のファンへ届けるための方法にはかなり手をかけた。

中身は日本のまま、伝え方は韓国向けに変えた。
その結果、K-POPに近い存在として評価されるのではなく、「日本から来た別の面白いもの」として受け止められた面もあったのかもしれない。
=LOVEは「比較される側」に入った?
では、=LOVEはどうだったのか。
今回、一部の韓国SNSでは歌やダンス、ステージの完成度などについて厳しい評価が相次いだ。=LOVEも『恋、はじめました。』を韓国語で披露していたが、そのローカライズ自体が評価の中心になったわけではなく、むしろパフォーマンスそのものを論じる声が目立った。
ここまでは確認できる事実だ。ただし、「なぜそのような評価になったのか」について、韓国の音楽評論家や有力メディアが詳細に分析した記事は、現時点では確認できない。

つまり、SNSで広がった「CUTIE STREETは日本独自のカルチャーとして見られ、=LOVEは普通の女性アイドルとしてK-POP勢と比較された」という分析は、CUTIE STREET側については専門家の評価と重なる部分がある一方、=LOVE側についてはまだ仮説の域を出ない。
ここは分けて考える必要があるだろう。
それでも、今回の2組への反応から少なくとも見えてくることがある。
韓国で評価される道は、一つではないということだ。K-POPと同じ物差しで勝負する道もあれば、そもそも別の物差しで見てもらえる存在になる道もある。CUTIE STREETは後者の可能性を示した。
日本のアイドルが海外で評価されるうえで重要なのは、必ずしも現地のトップランナーと同じ競技をすることではない。
自分たちにしかないものが、新しい評価軸を生み出すこともある。むしろ、その国にはなかった見方や楽しみ方を持ち込むことにこそ、海外アーティストが入ってくる意味があるのかもしれない。
今回の=LOVEをめぐる議論は、その違いを改めて浮かび上がらせた。
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