また一人、人気K-POPアイドルが女優デビューする。
ガールズグループi-dle(アイドゥル)のシュファが、映画デビュー前から大きな舞台に立つことになった。
シュファの映画初出演作『Happily Ever After』が、10月6日から開催される第31回釜山(プサン)国際映画祭の「アジア映画の窓」部門に正式招待されたのだ。
同作はすでにトロント国際映画祭にも招待されており、シュファにとっては華々しい“女優デビュー”となる。
だが、近くスクリーンデビューを控えているK-POPスターは彼女だけではない。
TWICEのサナは、佐藤健が主演する日韓共同制作映画『あなたの世界に届きますように』(仮題)でヒロインを務め、初めて演技に挑戦する。
また、同じTWICEのジョンヨンも、俳優専門のVAROエンターテインメントへ移籍し、本名ユ・ジョンヨンで女優活動を開始。映画『新兵:ザ・ムービー』(原題)で看護将校役を演じ、スクリーンデビューを果たす予定だ。

K-POPアイドルが俳優や女優へ活動領域を広げること自体は、今に始まった話ではない。そして、そのたびについて回るのが、「演技力は大丈夫なのか」という視線でもある。
ただ、ある世界的K-POPスターの歩みを見ると、この問いには少し複雑な答えが見えてくる。
BLACKPINKのジスだ。
繰り返される演技力への厳しい評価
ジスは2021年、ドラマ『スノードロップ』で本格的に女優デビューした。ところが、最初の主演作から演技力への評価は厳しかった。
韓国メディア『テンアジア』は今年2月、ジスについて「キャラクター解釈の不足、感情表現の限界、明確ではない発音などが繰り返し指摘された」と振り返り、デビュー以来続く演技力論争を取り上げた。

その後、2025年に主演した『ニュートピア』でも、同様の指摘が続いた。同メディアは「発声・抑揚の問題は依然として俎上に載せられ、表情演技と感情線の深さが不足しているという批判も続いた」と指摘した。
さらに『エクスポーツニュース』は、『ニュートピア』公開前の予告編だけを見て「3年前と同じ」と報道。「良くない発声、ぎこちない表情」など、過去作で指摘された部分が改善されていないとの厳しい評価を伝えていた。
スクリーンデビュー作となった映画『全知的な読者の視点から』でも、その評価は変わらなかった。

『THE FACT』は、ジスの演技について「最初のセリフからぎこちない表情と息苦しい発声、本を読むようなトーン」と評し、「セリフと感情をきちんと伝えられなかった」と酷評した。
本紙『スポーツソウル』も、「息苦しい発声」「状況に合わない声のトーン」「不正確な発音」などを問題点として挙げている。
つまりジスの演技力については、一部のネットユーザーだけが批判しているわけではない。
作品が変わっても、複数の韓国メディアから「発声」「発音」「感情表現」「表情」といった似た指摘が繰り返されてきたのだ。
それでも主演級の作品は続く
興味深いのは、それでもジスの女優活動が止まっていないことだ。
『スノードロップ』では主演。『ニュートピア』でも主人公を務め、『全知的な読者の視点から』で映画にも進出した。さらに今年に入っては、Netflixシリーズ『マンスリー彼氏』で再び主演を務めている。

そして、この『マンスリー彼氏』は結果を残した。
Netflix公式サイト「Tudum」の集計によると、同作は3月9日から15日までの視聴数480万を記録し、非英語シリーズ部門で世界1位に立った。韓国、日本、ブラジルなど47カ国でトップ10入りも果たしている。
演技力への評価は厳しい。それでも作品は世界で見られた。『韓国経済』はこの結果について、かなり踏み込んだ分析をしている。
「ジスの『スター性』が牽引したという分析が支配的」とし、ジスについて「発声と発音、感情伝達などで依然として不十分との指摘」を受けてきた一方、「ジスが出演するという事実だけで海外販売と投資が円滑に進むという話だ」と伝えた。
そして最終的には、「演技力の空白を圧倒的なスター性で埋め、グローバル1位という成績表を受け取った」と評している。
もちろん、これはあくまで一メディアによる分析だ。
ただ、ジスがなぜ演技力をめぐる厳しい評価を受けながらも主演級作品に起用され続けるのかを考えるうえで、非常に象徴的な見方ではある。

さらに興味深いのが、『全知的な読者の視点から』のキム・ビョンウ監督の発言だ。
キム監督は、登場時点が遅く出番も少ないキャラクターの存在感を生かすため、「大衆的認知度の高いジスをキャスティングした」と説明している。
つまり少なくともこの作品では、ジスの高い知名度そのものがキャスティング上の価値として考慮されたことになる。
配信時代、“俳優の価値”とは?
ここに、現在のK-POPトップスターが俳優業へ進出する際の強みが見える。
名前だけで作品を知ってもらえる。世界的なファンダムを持ち、SNSで大きな話題を作れる。さらにNetflixのようなグローバル配信では、韓国内だけではなく世界中の視聴者に作品を届ける必要がある。
そう考えると、グローバルな知名度を持つK-POPスターの場合、キャスティング上の価値は演技力だけでは測れないことがわかる。
もちろん、これは「演技力より知名度のほうが重要」という単純な話ではない。ただ、少なくともジスのケースを見る限り、演技力への評価とは別に、世界的な知名度やファンダムが作品側にとって大きな価値になり得ることはうかがえる。
実際、作品のたびに演技力が批判されながらも主演は続き、その主演作がNetflixの非英語シリーズ世界1位になった。この事実は、「演技力への評価が厳しければ主演級の仕事は続かない」という単純な見方だけでは説明しきれない。
そう考えると、これから映画デビューするシュファ、サナ、ジョンヨンを見る目も少し変わる。

3人とも、すでにi-dle、TWICEとして大きな知名度とファンダムを持つ。シュファは初映画から国際映画祭へ進み、サナはいきなり佐藤健の相手役、ジョンヨンも俳優専門事務所へ移籍して新しいキャリアを始める。
彼女たちは、女優としては新人でも、スターとしては新人ではない。
はたして3人は、演技力への厳しい評価を受けながらも、圧倒的なスター性で主演作を成功へ導いたと評されるジスのような存在になるのか。それとも、アイドルとしての知名度とは別に、「女優として見たい」と評価される道を歩むのか。
その意味でも3人のスクリーンデビューは、興味深いものになりそうだ。
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