ガールズグループi-dleのミヨンが公開した健康診断動画が、思わぬ“法律問題”に発展している。
きっかけは9月1日に公開された自主コンテンツだった。
ミヨンが30歳(数え年)を迎え、初めて健康診断を受ける様子を収めたもので、鎮静剤を投与されて胃内視鏡検査を受ける場面なども盛り込まれていた。
ところが、その映像に特定の医療機関名や医療スタッフ、施設、検査の様子などが映り込んでいたことから、「医療法上の医療広告に該当するのではないか」と確認を求める陳情が提出されたのだ。
さらに、映像内に「専門病院」と受け取れる表示があった一方、公開されている医療機関情報では「医院」に分類されているとして、その表現が適切だったのかについても確認が求められている。
現在は管轄の保健所が内容を検討している段階だ。したがって、現時点でミヨン側が医療法に違反したと断定することはできない。
ただ、この騒動は一人のアイドルの動画をめぐる問題にとどまらない。
K-POP界で当たり前になった“自主コンテンツ”が、あまりにも大きくなったからこそ生まれ始めた、新しい問題の一例にも見える。

BTSも成功例、自主コンテンツが生んだ可能性
今ではK-POPアイドルが独自のYouTube番組や舞台裏映像、Vlogなどを発信することは珍しくない。
その先駆的な成功例として挙げられるのがBTSだろう。
独自バラエティ『Run BTS!』や、舞台裏を伝える「BANGTAN BOMB」などを通じて、テレビ番組だけでは見えにくかったメンバー同士の関係や素顔を継続的に発信してきた。
もちろん、BTSの世界的成功を自主コンテンツだけで説明することはできない。ただ、こうした自主コンテンツが、ファンがメンバー自身を知り、親しみを深める重要な接点になってきたと見ることはできるだろう。

最近、その威力をさらにわかりやすく示したケースもある。ガールズグループRESCENEのウォニだ。
彼女の自主コンテンツから生まれた「巨済(コジェ)ヤッホー」という言葉がSNSで急速に拡散し、本人やグループへの関心が上昇。それに伴って、グループが約2年前に発表した『LOVE ATTACK』まで再び注目を集めた。
ウォニはその後、韓国企業評判研究所の「ガールズグループ個人ブランド評判」で、IVE・ウォニョンやBLACKPINK・ジェニーを抑えて、2カ月(7月、8月)連続1位を記録している。

かつてはテレビ番組に出演して“見つかる”ことがスターへの近道だった。今では、自分たちのYouTubeチャンネルから突然ブレイクすることもある。自主コンテンツは、もはや単なるファンサービスではない。成功への一つの道にもなっている。
その影響力を社会的な発信に生かしているのがTWSだ。
TWSは自主バラエティ『TWS:CLUB』の各エピソードの最後に、行方不明児童の情報を掲載する取り組みを続けている。
発案したのはリーダーのシンユ。長期行方不明児童に関する番組への出演をきっかけに、一度きりではなく継続してできることを考え、韓国児童権利保障院との協力につながった。
テレビなら放送回や編成に左右されるが、自分たちのチャンネルなら、ファンへ継続的に伝え続けることができる。

自主コンテンツは、スターとファンの距離を縮めるだけでなく、その影響力を社会へ還元する場所にもなり得るわけだ。
コンテンツが広がり、リスクも増大
ただ、自主コンテンツの重要性が増し、企画の幅が広がれば、それに伴ってリスクも増える。
ゲームやトーク、食事、舞台裏といった定番企画だけでなく、今では病院へ行き、スポーツを観戦し、旅行し、一般人と接触し、海外の俳優をゲストに呼ぶ。カメラが“アイドルの世界”からどんどん外へ出ているのだ。
ミヨンの場合は、それが医療現場だった。
本人にとっては「初めて健康診断を受けてみた」という日常企画でも、特定の医療機関や医療行為が映れば、そこには医療広告をめぐるルールが入ってくる。
6月にはボーイズグループAHOFも、野球場で自主コンテンツを撮影中、観客席でフラッシュを使用したとして批判を受け、所属事務所が謝罪した。カメラの中では“自分たちの番組”でも、その場所にはその場所のルールがある。

自主コンテンツが外の世界へ出るほど、制作側が理解しなければならないルールも増えていく。
その難しさを象徴しているのが、前出のRESCENEのウォニかもしれない。
自主コンテンツをきっかけに一気に知名度を上げた一方、8月にはポケモンカードショップで未開封のカードをハサミで真っ二つに切った動画が物議を醸した。
本人は最初から積極的だったわけではなく、店主から提案され、迷う様子も見せていた。それでも、カードを大切にする人々からは「なぜわざわざ壊すのか」という違和感が出た。一部では「反日」とまで批判されたが、そこまで結びつける根拠は乏しい。
むしろ問題は、動画として面白いことと、それを見た人が大切にしている価値観が必ずしも一致しないことだろう。ここでは法律や規則だけではなく、コンテンツを作る側の“想像力”まで問われる。
さらに厄介なのは、事前チェックだけでは防ぎきれない問題もあることだ。
8月、タレントのカンナムが俳優・福士蒼汰を招いた動画を公開したところ、福士の祖父が第二次世界大戦中、特攻隊員候補だったという家族史まで掘り返され、韓国で批判が起きた。

しかし、福士本人が特攻隊を称賛したり、戦争を美化したりした事実が確認されたわけではない。それでも、公開時期や祖父の経歴まで問題視された。
ゲスト本人の発言や行動だけでなく、その家族史や国籍、歴史、公開する時期まで確認しなければならないとすれば、制作側だけで完全に防ぐのは難しい。
自主コンテンツの世界が広がれば広がるほど、制作側の明確な落ち度とは言い切れない批判や、本人ではどうにもできない家族史まで炎上材料になり得る。
成功したからこそ、難しくなった
自主コンテンツによって、K-POPアイドルは自分たちの“放送局”を持つようになった。
BTSのようにファンダムとの関係を深めることもできる。RESCENEのように、一本の動画から新たなスターが生まれることもある。TWSのように、社会的なメッセージを継続的に届けることもできる。

だが、カメラがスタジオを飛び出し、病院、球場、店、海外スターとの交流へと広がれば、その先には芸能界とは別の法律、ルール、文化、価値観がある。
そしてなかには、どれだけ事前に確認しても防ぎきれない批判まで存在する。
ミヨンの健康診断動画をめぐる今回の騒動は、自主コンテンツそのものの限界というより、成功によって発信の領域を広げてきたK-POPが、次に直面し始めた課題の一つといえるかもしれない。
■【画像】未開封のポケモンカードをハサミで真っ二つに切った韓国アイドル


