女優の唐田えりかが、今度は“韓国人”を演じる。
唐田えりかとKARAの知英(ジヨン)が、日韓合作映画『過怠(かたい)』でダブル主演することが発表された。
唐田が韓国人女性、知英が日本人女性を演じるという、実際の国籍とは逆のキャスティングだ。
同作は、受精卵の取り間違えによって異国で育ったことを知った2人の女性を描く物語。唐田が演じるジヒョンは、何も知らず韓国人として育ち、日本留学中に知英演じる菜々子と出会う。
唐田にとって韓国人役は今回が初めてで、「韓国語の発音など、準備の段階から新しく挑戦することがたくさんありました」と語っている。
韓国語を学び、韓国の芸能事務所にも所属し、韓国ドラマにも出演してきた唐田。その彼女がついに“韓国人そのもの”を演じることになった。
ただ、唐田と韓国の現在の関係を考えると、このキャスティングは少し複雑にも見える。
韓国は、彼女を早くから歓迎した国であると同時に、その評価を最も激しく反転させた場所の一つでもあるからだ。

韓国が見つけた“清純派”、そして反動
唐田えりかと韓国の縁は古い。
2014年には少女時代の楽曲『DIVINE』のミュージックビデオに出演。K-POPファンの一部には早くから知られていた。
韓国で一気に知名度を高めたのは2017年だ。同年、LG電子のスマートフォンCMに出演すると、その透明感のあるビジュアルが現地で話題に。韓国メディアは「CMで視聴者の視線を奪ったのは出演している女性の美貌だ」と紹介し、オンライン上でも「本当に清純だ」「きれいだ」といった反応が相次いだ。

その直後の2017年10月、唐田はイ・ビョンホンらが所属するBHエンターテインメントと韓国活動におけるマネジメント契約を締結。2019年には大型ドラマ『アスダル年代記』にも出演し、「これからも韓国での活動をもっと活発にしていきたい」と意欲を語っていた。
唐田にとって韓国は、日本での人気が波及しただけの単なる“海外市場”ではなかった。かなり早い段階から、第二の活動拠点になりつつあった場所だったといえるだろう。

しかし2020年、その流れは一変する。
俳優・東出昌大との不倫関係が報じられると、そのニュースは韓国でも大きく取り上げられた。「唐田えりか、韓日を騒然とさせた不倫」「9歳年上と不倫→韓日が騒然」など、韓国メディアの見出しには刺激的な言葉が並んだ。
唐田にとって厳しかったのは、単に私生活のスキャンダルが発覚したというだけではない。韓国で彼女が支持された大きな理由の一つが、“清純な日本人女優”というイメージだったからだ。
韓国では当時、唐田を「広末涼子に続く清純派」と紹介する記事もあった。つまり、彼女を押し上げたイメージそのものと、不倫報道の内容が真正面からぶつかった。
歓迎された理由と、突き放された理由が表裏一体だったともいえるだろう。
唐田は2023年に『アスダル年代記』の続編『アラムンの剣』に特別出演しているため、韓国作品から完全に姿を消したわけではない。
それでも、その後は目立った韓国活動が続いたとはいいにくい。
6年経っても外れない「不倫」の二文字
日本では状況が変わり始めた。
2024年のNetflixシリーズ『極悪女王』では、女子プロレスラー・長与千種役を演じるため大幅な役作りに挑み、その演技が高く評価された。そして今年は、『102回目のプロポーズ』でヒロインを務めるなど、主演級の仕事も増えている。

ところが、韓国での紹介のされ方を見ると、2020年の出来事はいまだに強く残っている。
今年4月、『102回目のプロポーズ』主演を伝えた韓国メディアの記事には、見出しに「不倫スキャンダル」の言葉が入った。
6月に『極悪女王』撮影時のエピソードを扱った別の記事でも、「不倫騒動後、復帰のために歯を食いしばった」という趣旨で紹介された。
スキャンダルから約6年。日本では「復活した女優」「再起した女優」として語られる比重が高まっている一方、韓国では今なお「不倫」が唐田えりかを説明する強いキーワードとして残っているように見える。
かつて彼女を“清純派”として熱烈に歓迎した分だけ、そのイメージが壊れた記憶も消えにくいのかもしれない。
興味深いのは、それでも唐田自身が韓国との関係を切らなかったことだ。韓国語を学び、BHエンターテインメントに所属しながら、日韓二拠点で活動してきた。そして今回、日韓合作映画で初めて韓国人役を演じる。

一度は韓国で歓迎され、スキャンダル後には厳しく突き放され、その後も韓国で以前のような活動を簡単には取り戻せなかった女優が、今度は韓国人女性の人生を演じる。
その事実には、彼女のこれまでのキャリアと妙に重なるものがある。
現時点で、このキャスティングは韓国ではまだ大きく報じられていない。いずれニュースになったとき、韓国メディアは唐田えりかを「韓国人役に挑む日本人女優」と紹介するのだろうか。
それとも、また彼女の名前の横には「不倫」の二文字が置かれるのか。
韓国で見つけられ、韓国で愛され、そして韓国で厳しく突き放された唐田えりか。『過怠』は、そんな彼女と韓国の関係が次の段階へ進めるのかを占う、少し特別な一本になりそうだ。
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