0.06秒。
『太陽の末裔 Love Under The Sun』の“ヤギ少年”が、韓国代表としてアジア大会の表彰台に上がった。
陸上韓国代表のナマディ・ジョエル・ジンは9月28日、名古屋の瑞穂公園陸上競技場で行われた2026年愛知・名古屋アジア競技大会の陸上男子400mリレー決勝で、ソ・ミンジュン、イ・ジェソン、ビウェサ・ダニエル・ガサマとともに走り、銅メダルを獲得した。記録は38秒43。
昨年5月のアジア陸上競技選手権大会で記録した従来の韓国記録38秒49を、ちょうど0.06秒更新する韓国新記録だった。中国が38秒17で金メダル、台湾が38秒32で銀メダルを獲得した。
0.06秒に泣き、0.06秒で笑った
ジョエル・ジンにとって、「0.06秒」は今大会を象徴する特別な数字となっている。

25日の男子100m決勝。ジョエル・ジンは10秒17でフィニッシュした。韓国勢としてソ・マルグ、チャン・ジェグンに続くアジア大会男子100mのメダル獲得を目指したが、3位のアリ・アンワル・アリ・バルシ(オマーン)が記録した10秒11に、わずか0.06秒届かず4位に終わった。
ジョエル・ジンは「欲張りすぎた」と悔しさをにじませていた。
しかし、3日後。男子400mリレーで、その0.06秒が今度は追い風となった。
韓国は従来の韓国記録を0.06秒更新する38秒43をマーク。さらに、4位のタイも38秒49で、韓国との差はまたしても0.06秒だった。
100mでは0.06秒差でメダルを逃した。一方、リレーでは0.06秒記録を縮めて韓国新記録を樹立し、銅メダルを獲得。4位のタイも0.06秒差で上回った。
だが、ドラマはこれだけでは終わらなかった。

韓国はリレー予選でも、決勝進出をめぐる危機に直面していた。
キム・シオン、ジョエル・ジン、イ・ジェソン、ビウェサのメンバーで臨んだ予選で39秒33を記録し、決勝進出圏に入ったものの、バトンパスの際にゾーンを越えたと判定され、いったん失格となった。
韓国陸上競技連盟が異議を申し立てると、判定は覆った。辛うじて決勝進出を果たした韓国代表は、決勝でメンバーの一部を入れ替えた。
そして迎えた決勝。4人は38秒43の韓国新記録を叩き出し、見事に表彰台へ駆け上がった。
“ヤギ少年”が選んだ別の道
ジョエル・ジンの過去まで振り返れば、まるで一本のドラマが完成する。
2016年、10歳だったジョエル・ジンは、ソン・ジュンギ、ソン・ヘギョ主演の『太陽の末裔』に出演。劇中ではウルクの少年「ブラック」として登場し、医療奉仕活動に訪れたイ・チフン(オンユ)から靴をもらうと、「ヤギを買ってほしい」と頼む場面で視聴者に強い印象を残した。

韓国人の母と、ナイジェリア出身の元陸上選手の父の間に生まれたジョエル・ジンは、その後、小学5年生で陸上を始めた。
演技ではなくトラックを選んだ少年は、瞬く間に成長した。今年7月には男子100mで10秒13を記録し、韓国選手歴代2位タイの記録をマーク。初出場となったアジア大会では、100m決勝で4位に入った。
そして最後は、一人ではなく仲間とともに走り、メダルを手にした。
『太陽の末裔』の“ヤギ少年”が、10年の時を経て自ら描き上げた、ドラマ以上にドラマティックな物語となった。
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