華やかなステージに立つK-POPアイドルたちは、デビュー前にどんな毎日を送っているのか。
韓国でアイドルや練習生を経験した16人を対象にした面接調査が行われ、その生活が具体的な数字とともに明らかになった。
調査を実施したのは、韓国の「児童・青少年メディア人権ネットワーク」。9月30日、国会で討論会が開かれ、その調査結果が発表された。
そこに並んでいたのは、普段はなかなか見えてこない練習生生活の具体的な“数字”だった。
朝から夜まで続く「練習生の1日」
調査対象となったのは2019年以降にアイドル、あるいは練習生生活を経験した16人。現在の平均年齢は22.2歳だ。
彼らが練習生生活を始めた平均年齢は、わずか15.9歳。最も若いケースでは満12歳、小学6年生だったという。

調査によると、練習生たちはおおむね午前10~11時ごろから夜10時まで、授業や練習を続けていた。
単純計算すれば、1日の大半を授業や練習に費やしていたことになる。
生活環境についての具体的な証言もあった。宿舎では1つの部屋を3~4人で共同使用するケースがあり、ある経験者は、エアコンが使えず、氷を買って体に乗せて眠ったことがあると振り返っている。
また、防音設備が十分ではなく、隣室の生活音がそのまま聞こえてきたという証言もあった。
ステージ上では華やかな衣装をまとい、完成された姿を見せるアイドルたちだが、その準備段階では、かなり異なる日常を送っていたケースもあったようだ。
さらに具体的なのが、体重管理をめぐる数字だ。
調査では、女性練習生の一部が40kg台前半から半ば程度の体重を求められたと証言した。BMIでは15~18程度を要求されたという。ちなみに世界保健機関(WHO)の成人基準では、BMI16未満を「Severe thinness(高度のやせ)」と分類している。
ある経験者は「1カ月で12kg減らした」と話し、サウナで汗を出したり、便秘薬を使ったりして体重を減らそうとしたことも明かしている。
また、調査参加者の多くが過度な減量によって栄養状態を崩した経験があり、長時間の反復練習によって腰や関節に問題を抱えたケースも報告された。
もちろん、今回の調査対象は16人に限られており、この数字をそのままK-POP練習生全体の実態とみなすことはできない。
それでも、当事者がどのような生活を経験してきたのかを具体的な数字で知る材料にはなるだろう。
「学校か、デビューか」迫られた練習生も
練習生生活が影響するのは、健康面だけではない。

一部の経験者からは、所属先から学校を辞めるよう勧められたという証言も出た。なかには「辞めなければデビューできない」と圧力を受けたケースもあったという。
中学生のときに学業をやめた経験者は、当時に戻れるなら学校に通い続ける選択をしたいと振り返り、「デビューだけにすべてを懸けすぎた」と後悔を口にした。
平均15.9歳で始まる練習生生活。一般的には中学生から高校生にあたる年齢だ。その時期に、歌やダンスだけでなく、学校を続けるかどうかという人生の選択まで迫られるケースがあったことになる。
こうした調査をめぐっては、育成システムそのものを見直す必要があるとの指摘も出ている。
韓国社会住宅協会のイ・ハンソル理事長は『京郷新聞』への寄稿で、「練習生たちは定期的な“月末評価”を通じてデビュー組入りを競うが、整った評価体系がないまま、一部の関係者の好みや個人的な嗜好に依存している」と指摘した。
また、「デビュー計画も同じだ。スポーツ界には大会日程があり、大学入試には試験や内申の日程があるが、芸能事務所はどのようなコンセプトで、いつデビューするのかという計画がなかったり、あるいはそれを秘密にしていたりする」とも述べている。
夢を追って練習すること自体が問題なのではないだろう。実際、調査に参加した経験者たちも、自分が望んだ進路に向かって努力したことそのものを後悔しているわけではないという。
平均15.9歳、夜10時まで続く練習、1部屋3~4人で暮らしたという宿舎生活、そして40kg台を求められた体重管理。今回明らかになったのは、華やかなステージの裏側を具体的な“数字”に置き換えたときに見えてくる、練習生たちの日常だった。
K-POPが世界規模の産業へ成長した今、その「デビュー前」をどのような環境にするのかも、改めて問われることになりそうだ。
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