韓国では、キム・ジウォンが“米倉涼子の壁”を越えつつある。
一方の芦田愛菜はどうだろうか。
日本の人気ドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』をリメイクした韓国版『ドクターX~白衣のマフィア~』は、第4話で全国視聴率18.5%を記録。Netflixでも10月5~11日の週間「グローバルTOP10」非英語シリーズ部門で1位に立った。
そして本日(10月19日)、日本では芦田愛菜が“パク・ウンビンの壁”に挑む。
韓国ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』をリメイクした『南田南弁護士は天才肌』が、いよいよ放送をスタートするのだ。
偶然にも今秋、日本では韓国ドラマを、韓国では日本ドラマをリメイクする作品がほぼ同時に放送されている。一足先に好調な滑り出しを見せたキム・ジウォンに、芦田愛菜は続くことができるのか。
キム・ジウォン版『ドクターX』18.5%
韓国版『ドクターX』の勢いは数字にも表れている。

『ドクターX~白衣のマフィア~』は、10月9日に11.4%でスタートすると、第2話14.9%、第3話15.1%、そして第4話18.5%と4話連続で上昇。瞬間最高視聴率は20%を超えた。
さらにNetflixでは、配信開始直後に週間「グローバルTOP10」非英語シリーズ部門の首位へ。初週の視聴時間は990万時間、視聴数は460万回だったという。
主人公ケ・スジョンを演じるキム・ジウォンへの評価も高い。
韓国メディア『マイデイリー』は、彼女が抑制された表情と安定した発声で、冷静さと人間味をバランスよく表現していると評価。患者には真摯に向き合いながら、病院内の無責任な医師や権力には毅然と立ち向かう姿が、作品の痛快さにつながっていると伝えている。

少なくとも序盤を見る限り、米倉涼子の大門未知子というあまりにも強い原作主人公を背負いながら、キム・ジウォンは“韓国版ドクターX”として独自の存在感を作り始めている。
興味深いのは、韓国版が原作の象徴を残しながら、そのままコピーしているわけではないことだ。
「私は失敗しません」といった原作を思わせる台詞は残されている一方、物語には韓国社会ならではの医療問題が盛り込まれている。
『韓国経済』は、手術室へのCCTV設置や医学部定員増をめぐる対立など、近年の韓国医療界で実際に議論となったテーマを取り入れた“現地化”が、ヒットの一因になっているとの分析を紹介している。

つまり、日本で生まれた大門未知子を韓国語で演じ直しただけではない。原作の魅力を残しながら、韓国の視聴者が「自分たちの社会の話」として見られる作品へ置き換えた。それが、韓国版『ドクターX』の強みになっているようだ。
芦田愛菜が挑むのは“パク・ウンビンの記憶”
では、今日始まる『南田南弁護士は天才肌』はどうだろうか。
こちらも原作『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の特徴をかなり色濃く残している。

主人公・南田南は、東大法学部を首席で卒業し、司法試験にもトップで合格した自閉スペクトラム症の新人弁護士。業界トップクラスの「広川・ハワード法律事務所」に採用され、社会のなかでさまざまな壁にぶつかりながらも、独自の視点とひらめきで事件に向き合っていく。
苦手なエスカレーターを前に立ちすくむ姿や、クジラへの強い関心、「人の気持ちは本当に難しいです」と語る場面など、原作のウ・ヨンウを想起させる要素も多い。名前も「南田南」と前から読んでも後ろから読んでも同じで、予告映像では「名前は上から読んでも下から読んでも南田南です。キツツキ、トマト、スイス、子猫、新聞紙、南田南」と自己紹介する場面まで用意されている。
第1話で担当するのは、認知症の夫をアイロンで殴り、殺人未遂で起訴された妻の事件。上司から執行猶予を取るよう指示されるなか、南は「殺人未遂は無罪にすべき」と主張する。法廷ドラマとしても、既成概念にとらわれない視点から事件を見る主人公像が前面に出されるようだ。

それだけに、芦田愛菜が向き合うハードルも高い。
原作でウ・ヨンウを演じたパク・ウンビンは、細かな視線や指先の動き、独特の話し方まで積み重ねてキャラクターを作り上げ、百想芸術大賞のTV部門大賞を受賞した。多くの視聴者にとって、「ウ・ヨンウ」という名前はすでにパク・ウンビンの姿と強く結びついているといえる。

芦田愛菜に必要なのは、パク・ウンビンにどれだけ似せられるかではない。むしろ、見ている側がいつの間にか比較することを忘れ、「これは南田南だ」と思える人物を作れるかどうかだろう。
韓国版『ドクターX』が序盤で示しているのは、名作リメイクの勝負が“再現度”だけでは決まらないということかもしれない。
原作らしさを残しながら、その国の社会や文化に合わせて物語を翻訳し、主演俳優が新しい主人公像を作る。キム・ジウォンは今のところ、その第一関門をうまく越えつつある。
そして今度は、芦田愛菜の番だ。
韓国では、日本生まれの天才外科医がすでに視聴者をつかんでいる。では日本で、韓国生まれの天才弁護士はどうだろうか。
視聴者のなかに「南田南」という新しい記憶を残せるのかが、最初の勝負になりそうだ。
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