新たに10ギガ回線の利用を始めた人の通信環境や導入の動機をレポートする連載「10G回線導入レポ」。今回は、これまでの一般ユーザー回とは趣向を変え、J:COMで地域プロデューサーを務める大沢氏に取材した。
大沢氏は戸建て住まいで、家族3人暮らし。自宅ではノートPC中心・Wi-Fi接続がメインだという。多くの家庭に近い環境で10ギガはどう機能するのか。
同軸1ギガから自社FTTH 10ギガへ 「速度」ではなく「安定性」を求めた導入
大沢氏が契約しているのは、J:COMの自社FTTH回線を用いた戸建て向けメニュー「J:COM NET 光10ギガコース」だ。それ以前は同社の同軸ケーブル(DOCSIS 3.1)を用いた「J:COM NET 1ギガ」を利用しており、さらに前は上限320Mbpsのサービスだった。
10ギガに切り替えた動機について聞くと、以下の二点を挙げてくれた。
【1】Wi-Fi 7対応デバイス(iPhone 17 Pro Max)を持っており、体感してみたかった
【2】家族3人ともサブスク動画配信の利用が多く、同時利用の頻度が高いため、帯域を広げて安定性を得たかった
導入のきっかけについて、「1ギガ帯でもほぼほぼカバーできる内容ではあったんですけれども、同時に3人でサブスクやネット動画を使う頻度が高い。根底の部分の帯を広げて、安定性を求めたかったというのがきっかけですね」と語ってくれた。
つまり10ギガは、最大速度を出すためというより、家族の同時利用時の安定性を底上げする目的で導入されたという形になる。
1FのD-ONU+ルーター、2Fにメッシュ子機というシンプル構成

自宅のネットワークは、家中をメッシュWi-Fiでカバーするシンプルな構成である。
1Fリビングには、光回線終端装置(D-ONU)であるNOKIA製「XE-050WX-A」と、Wi-Fi 7対応ルーターであるZTE製「H8749Q」の2台が並ぶ。
ZTE H8749QはLAN側に10Gbps対応ポートを1個、2.5Gbps対応ポートを2個備えている。2F寝室にはWi-Fi 7対応のメッシュ子機「ZTE H6729Q」が設置され、家中をシームレスにカバーする構成だ。
注目したいのは、1Fのルーター(ZTE H8749Q)がLAN側に10Gbps対応ポートを備えているという点だ。つまり、対応する機器を有線でつなげば、宅内でも10ギガの帯域をそのまま引き出せる土台が整っている。ただし、後述するように大沢氏の環境ではまだ有線10ギガの活用には至っていない。
有線LANで接続している機器はリビングのテレビ1台のみで、こちらは1Gbpsポートで直結している。家族のスマートフォンやノートPCはすべてWi-Fi接続だ。
なお、Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)はWi-Fi 6の後継規格で、従来の2.4GHz/5GHz帯に加えて6GHz帯が使えるようになり、チャネル幅もWi-Fi 6の160MHzから320MHzへと2倍に拡大された。加えて、複数の周波数帯を束ねて同時通信するMLO(マルチリンク動作)にも対応しており、混雑耐性と低遅延性能が大きく向上している。
実測 下り1,336Mbps/上り1,183Mbps ― Wi-Fi計測でも1Gbps超え

日曜の朝の時間帯、iPhone 17 Pro Maxを使ってRBB SPEED TESTで測定してもらったところ、結果は以下の通りになった。
下り1,336.84Mbps、上り1,183.67Mbps
参考までにMY J:COMアプリでの計測では、下り約1,500Mbps、上り約1,300Mbps、Ping 30msという値も記録している。
Wi-Fi接続でありながら下り約1.3Gbps・上り約1.2Gbpsという数値は、実用範囲では十分な水準と言える。
一方、大沢氏が使うiPhone 17 Pro Max(Apple独自の「N1チップ」搭載)はWi-Fi 7対応ながらチャネル幅は最大160MHz、理論最大リンク速度は約2.4Gbps。今回の実測1.3Gbps級はその上限内で素直に引き出せた数値と言える。
「PCでの10ギガ活用はこれから」 今後の展望も

大沢氏に「10ギガ未対応の方に勧められるポイントは?」と尋ねると、次のように答えた。
「使われているデバイス環境にもよると思うんですけれども、1Gbpsと比較しても、同じYouTubeであったり軽めのものであったとしても、非常に安定しているというところは間違いなく言えます」
具体的には、家族が動画を視聴する際の「話と話の切り替わりのローディング待ちがほぼ解消された」という体感もあるという。ベース帯域を太くしたことによる同時利用時の安定性向上という、導入時に求めていた効果は、確かに得られている形だ。
一方で、次のような正直な告白もしてくれた。
「実際にPCの方での1ギガから10ギガに変えた恩恵というのは、正直今のところはまだ実現までには至っておりません。私のPCもノートPCなので、受け口が1Gbpsという形です」
前述の通り、ルーター側にはLAN 10Gポートが1個備わっており、有線10ギガを引き出す土台は物理的には整っている。しかし、ノートPC側の有線ポートが1Gbps上限であるため、PCで10ギガの帯域を直接活用するには至っていないという状況だ。この点は、ノートPCが主流の現在の家庭事情を象徴している。
また、今後はまず宅内配線の更新を目指しているという。実は壁内のLAN配線が10ギガ非対応の旧規格のままで、これが将来的なボトルネックになり得る。ただし工事担当者から「配管に余裕があるので10ギガ対応配線への更新は簡単」との回答を得ており、必要が生じたタイミングで更新することを検討しているとのこと。
続いてPC刷新のタイミングで10Gbps対応ネットワークカードを検討するという方針。現在のノートPCは購入から約8年。Thunderbolt接続の外付け10Gbps対応LANアダプタを購入するよりは、次のPC買い替え時に本体側で10Gbps対応となる機種を選ぶ、という考えだ。また、自身は現在ほとんど遊ばないものの、「常時接続のオンラインゲームをやる方にとっては、10ギガはラグが少なくて済むと思う」と、オンラインゲーム用途への期待も語ってくれた。
Wi-Fi 7時代の10ギガは「土台を厚くする投資」

10ギガというと、どうしても「10Gbpsをどう使い切るか」という視点で語られがち。しかし、家族の誰かが動画を見て、別の誰かがスマホでSNSを見て、テレビでも配信サービスが流れているという、日常の「合計トラフィック」を余裕を持って受け止めるための帯域として捉えると、10ギガは決して一般家庭でもオーバースペックではないだろう。

