ドラマ『ドクターX~白衣のマフィア』(以下、『ドクターX』)が、光州(クァンジュ)事件を扱った後、視聴者の反応が分かれた。一部の視聴者が、放送休止を要求する請願までしているなか、作品は自己最高視聴率を記録して、話題性を維持した。
去る10月24日、韓国で放送された『ドクターX』第6話では、当時に銃創を負った後、長い間苦痛を被ってきた患者オ・サンボム(演者ハ・ソングァン)の物語が中心となった。
劇中でオ・サンボムは、幼少期に頭部に銃創を負った後、痛みやけいれん、幻覚などに苦しみながら生きている人物だ。
当時、兄を失った痛みと遺体すら見つけられなかった罪悪感まで抱えている彼は、手術を通じて、苦痛から抜け出す機会を得るが、手術後に他界した兄の幻影が見られなくなる恐れがあると知り、手術を躊躇する。
主人公のケ・スジョン(演者キム・ジウォン)は、リスクが大きい手術を担うと名乗り出て、患者を説得する。この過程で同作は、歴史的悲劇が1人の人生に残した傷とトラウマに焦点を当てた。
しかし、放送後、一部の視聴者は医療ドラマで光州事件を扱ったことの適切性を問題視した。日本の原作『ドクターX~外科医・大門未知子~』とは異なる題材が登場した点を指摘し、物語の流れとの一貫性が十分であったか、疑問を呈したのだ。
特に、第6話の後半には、当時の事件に関与した大統領を連想させる架空の人物チ・ドゥソク前大統領が、意識不明の状態で病院に搬送されるシーンが登場した。被害者の事情と権力者の登場を結びつけた劇的な構成を巡っても、さまざまな反応が寄せられた。
議論は、放送休止の請願にまでつながった。10月25日、韓国国会のホームページの国民同意請願に関する報道によると、前日に「SBS『ドクターX』ドラマ放送休止に関する請願」というタイトルの文章が登録された。

請願人は、第6話に登場した光州事件に関する内容が、ドラマの中心的な物語と無関係であると主張し、医療ドラマに政治的な論争のある題材を扱った理由が納得しがたいという趣旨の意見を明かした。制作過程の検証と放送の休止も要求した。
この請願は、1日にして請願公開(請願の公開可否の審議を経て、公開が決定した場合、関連する内容の調査等が行われ、請願人に結果が通知される)前に必要な賛成人数である100人を満たし、公開可否の検討段階に入った。
ただし、これは請願公開のための手続き上の条件であり、放送休止が決定したという意味ではない。
その一方で、ドラマを通じて、光州事件の被害者の痛みに焦点を当てたことを評価する声も上がった。歴史的悲劇が人々に残した傷を扱った試みが意味深いという反応とともに、題材そのものより、物語の展開と作品の完成度を中心に評価すべきだという意見もあった。
制作側の反応にも、関心が集まった。『ドクターX』を制作したスタジオSのチーフプロデューサー、イ・オッキュは、自身のSNSにドラマのポスターとともに「no fear(怖くない)」という言葉を投稿した。ただし、この言葉が今回の議論への反応であるのかは確認されていない。
意見が分かれるなかでも、視聴率は上昇した。ニールセンコリアによると、『ドクターX』第6話は、全国世帯基準19.5%、首都圏基準19.2%を記録し、作品の最高視聴率を更新した。
なお、『ドクターX』は第6話以外にも、放送初週に作中の演出が「医療の現実に対する誤った認識を植え付けかねない」として、現役医師が陳情を提出し、話題になった。


