TWICEやStray Kidsなどの人気K-POPグループを抱えるJYPエンターテインメントに、突然の買収話が浮上した。
しかも、買収を目指していると発表したのは、日本系投資グループだという。
10月26日、投資グループのザ・ネクスロック・グループ(The NEXROC Group)とSVCVが、JYP株式の最大50%取得を目指す計画を発表したのだ。
ところが、当のJYPは「株式取得に関する提案を受けたことはない」と説明。買収に向けた正式な協議が確認されないなか、大規模な株式取得計画だけが先に発表される展開となった。
それでも株式市場は敏感に反応し、JYPの株価は急騰した。
韓国を代表する大手芸能事務所に、いったい何が起きているのか。そして、今回の買収計画は本当に実現する可能性があるのだろうか。
JYPは買収提案を否定

10月26日付の『聯合ニュース』によると、日本系投資グループと報じられたNEXROCとSVCVは、早ければ11月にもJYP株式の公開買付けを開始する計画を発表した。
公開買付けとは、買付価格や期間などを公表し、株主から株式を買い集める方法だ。
両社が取得を目指しているのは、JYPの発行済み株式の25~50%。買付価格についても、基準となる株価に30%を上乗せした水準を検討しているという。
さらに一部の報道では、11月20日の公開買付け開始を目標としていると伝えられた。
しかし、JYP側は「当社株式の取得に関する提案を受けたことはない」と説明。買収に向けた協議が進んでいることは確認されていない。
ただし、JYPが買収提案を受けていないからといって、株式取得が不可能になるわけではない。必要な手続きを経て、株主が買付けに応じれば、JYP経営陣の同意がなくても大量の株式を取得できる可能性がある。
つまり、JYPが提案を受けていないことと、買収計画が実現しないことは別問題なのだ。
今回の買収計画を発表したNEXROCとSVCVは、日本系投資グループと報じられている。
SVCVは今年5月、日本のプレスリリース配信サービス『PR TIMES』を通じて社名変更を発表していた。ただし、今回の買付主体となる法人の所在地や資本構成には確認できていない部分もあり、単純に「日本企業によるJYP買収」と捉えるのは正確ではない。
また、JYP株式の大量取得に必要な資金をどのように確保するのか、最終的な買付条件も明らかになっていない。
『聯合ニュース』によると、10月26日時点でJYPの時価総額は約1兆5000億ウォン(約1785億円)だ。単純計算でも株式の50%は約7500億ウォン(約893億円)に相当する。それほどの規模の株式取得を表明しながら、資金調達の具体的な裏付けが確認できていないことも、計画の実現性を判断するうえで重要な点だろう。
それにもかかわらず、10月26日の時間外取引では、JYP株価が通常取引の終値から14.38%上昇。翌27日も大幅高となった。
創業者の強気発言と株価下落
今回の買収話を考えるうえで、興味深いのがJYPの株価と創業者パク・ジニョンの過去の発言だ。
韓国メディア『Biz韓国』が8月に報じたところによると、パク・ジニョンは約3年前の2023年11月、YouTube番組『マネーコミックス』で自社株について次のように語っていた。
「今は本当に良いタイミングだ。余裕資金さえあれば、間違いなく私たちの会社の株を買う。3年後、5年後を信じている」
当時、JYPの株価は9万ウォン台だった。しかし、その後は下落し、今年8月には4万ウォン台前半にまで落ち込んでいた。同紙によれば、発言を聞いてすぐ株式を購入した場合、当時の時点で約50%の損失となる計算だ。

パク・ジニョンが将来への自信を示してから、まもなく3年。その節目に、外部の投資グループによる大量取得計画が持ち上がったことになる。
もっとも、株価が下落したからといって、今回の投資グループがJYPを割安と判断したとは限らない。買収を目指す具体的な理由は明らかになっていない。
もう一つ、意外な数字がある。それは、パク・ジニョン自身の持株比率だ。
韓国の金融監督院の資料を引用した報道によると、2026年6月末時点でパク・ジニョンの持株比率は15.37%。役員ら特別関係者の保有分を合わせても15.82%だった。
つまり、今回の投資グループが目標とする25~50%は、創業者側の保有比率を大きく上回ることになる。仮に25%の取得に成功すれば、株式保有の面でパク・ジニョン側を上回る立場になる可能性があるのだ。
もちろん、それだけで直ちにJYPの経営権を完全に握ることになるわけではないが、それでも会社の重要な意思決定に影響を及ぼし得る規模であることは確かだ。
JYP買収は実現するのか
そもそもJYPは、外部企業の買収に積極的な会社として知られてきたわけではない。
『Biz韓国』は、HYBEやSMエンターテインメントなどと比較して、JYPは企業買収に慎重で、独自の企業文化を守ることを重視してきたと分析している。
他社の買収に慎重だったJYPが、今度は自ら買収対象として注目されている。その構図も興味深い。
一方、同紙はJYPの経営課題として、TWICEやStray Kidsといった主力アーティストへの収益依存や、若手グループの成長に関する不透明感も指摘していた。

現在のJYPには、ITZY、NMIXX、NiziU、KickFlipなど、多様なグループが所属する。しかし、主力に匹敵する収益源をどれだけ育てられるかは、今後の重要な課題だ。
では、仮に日本系投資グループがJYPの大株主になった場合、TWICEやStray Kidsの活動は変わるのだろうか。
現時点で、そうした影響を具体的に予測することは難しい。株主構成が変わることと、所属アーティストの契約や活動方針が変わることは別の問題だからだ。
日本系投資グループによる突然の買収話は、実現性が不透明なまま、JYPの企業価値と経営の行方に改めて注目を集めることになった。
JYP側の同意がなくても、大量の株式が取得される可能性はある。しかし、それを実現するには巨額の資金と、株主が応じるだけの条件が必要だ。
TWICEやStray Kidsを擁する韓国の大手芸能事務所は、本当に外部資本の影響下に入ることになるのか。今後の動きが注目される。
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