日本と韓国のトップスターを起用し、両国で同時に放送すれば、ヒットの可能性も広がる。
だが、その逆も起こり得るようだ。
坂口健太郎とイ・ジュンギが共演する大型ドラマ『kiDnap GAME』(キッドナップゲーム)が、日本と韓国の両国で厳しい視聴率に直面している。
10月27日に放送された第4話は、日本で世帯視聴率3.5%、韓国ではわずか0.2%を記録した。
日本・韓国・香港の企業が共同制作し、アジア7都市を舞台に描く国際的なプロジェクト。日韓の人気俳優をそろえた話題作が、両国で同時に低迷するという皮肉な状況に陥っている。
一体、何が起きているのか。
日韓で同時に低視聴率
そもそも『kiDnap GAME』は、10月6日に日本のフジテレビと韓国のチャンネル Aで放送が始まったサスペンスドラマだ。

東京、ソウル、台北、シンガポール、バンコク、マニラ、那覇のアジア7都市で同時多発的に発生した誘拐事件を描く。大切な家族や恋人を奪われた7人が、愛する人を救うため、謎の犯人から与えられる危険な指令に挑んでいく物語だ。
日本の主人公は、坂口健太郎が演じる刑事・新出敏郎。韓国では、イ・ジュンギが娘を誘拐された外科医ハン・キジュを演じ、2人が事件の解決に向けて協力していく。
ところが、肝心の視聴率が振るわない。
韓国では、10月6日の初回から全国世帯視聴率0.3%という厳しいスタートを切った。そして27日の第4話では0.2%に下落し、番組最低を更新した。調査はニールセンコリアによるものだ。
韓国メディア『アイズ』は10月28日、「日韓トップスターも救えなかった」という趣旨の見出しで、この低迷を報じている。
一方、日本でも状況は芳しくない。
ビデオリサーチ調べによる関東地区の世帯視聴率は、第1話4.7%、第2話4.3%、第3話3.1%と下落。第4話は3.5%に持ち直したものの、初回を1.2ポイント下回っている。初回と比較すると、約26%の減少だ。
なお、韓国のチャンネルAは地上波ではなく総合編成チャンネルで、日本とは放送環境も視聴率の調査対象も異なる。両国の数字を直接比較することはできない。
それでも、日韓双方で同じ作品が放送され、いずれも視聴率が伸び悩んでいることは確かだ。
放送前の期待は大きかった
この結果が意外なのは、放送前に打ち出されていた作品の規模と出演陣の豪華さにある。
『kiDnap GAME』は日本のフジテレビ、韓国のSIMSTORY、香港のMakerVilleが共同制作した完全オリジナルドラマだ。
撮影はアジア7都市で行われ、日本と韓国だけでなく、台湾、シンガポール、フィリピンなどの俳優も出演。10月2日時点で、28の国と地域での同日放送・配信が決定していた。
韓国でも、放送前は日韓スターの共演に期待が寄せられていた。

第1話の放送前には、韓国メディアでも坂口健太郎とイ・ジュンギの初共演が大きく取り上げられ、国際的な話題作として紹介されていた。アジア7都市に広がる壮大な設定や、複雑に絡み合う登場人物の関係性を大きく取り上げた。
イ・ジュンギは、かつて主演したSBSドラマ『イルジメ~一枝梅』が最高視聴率27.9%を記録し、映画『王の男』では1000万人以上を動員する大ヒットを叩き出したトップスターだ。今回の作品は、そんな彼が久々に韓国のテレビドラマに出演することでも注目された。
本人も作品への期待を隠していなかった。イ・ジュンギは事前のインタビューで「これほど大規模なプロジェクトに参加できて、本当に光栄だ」と述べ、「今回の作品が、今後の国際共同制作作品が進むべき新たな方向性を示す、成功した作品になることを願っている」と語っていた。
加藤裕将監督も両主演に賛辞を送っていた。 イ・ジュンギについては「韓国語、日本語、英語のせりふを完璧にこなしただけでなく、難度の高いアクションシーンまで非の打ちどころなく演じ切った」と称賛し、坂口健太郎についても「彼が持つポジティブなエネルギーとプロ意識は、作品にとって大きな財産だった」と評価している。
また、日本では制作費が1話当たり1億円規模とも報じられ、国際的な撮影体制を含め、そのスケールが注目されていた。
単なる日韓スターの共演作ではなく、国際展開を見据えて準備された大型プロジェクトだったわけだ。

だからこそ、放送開始からわずか4話で両国の視聴率が低迷している現状との落差は大きい。韓国メディアの見出しにも「『kiDnap GAME』イ・ジュンギの3年ぶりの復帰作なのに、視聴率0%台の惨状」(NEWSEN)、「イ・ジュンギ、ひざまずいた…視聴率0.3%の惨状、韓国ドラマで苦い経験」(TVレポート)と、その厳しさが表れている。
トップスターでも救えない現実
では、なぜこれほどの作品が視聴率で苦戦しているのか。
まだ4話ということでその分析はもう少し待つべきだが、日本では物語の展開について厳しい声も出ている。10月20日付の『ピンズバNEWS』は、「何の緊迫感も感じない」「全部が雑」「主人公たちを見ているのがきつい」といった声を取り上げた。
一方で、海外ドラマのようなテンポや映像のスケール感、豪華な出演陣を評価する声も取り上げている。
実際、作品に対する評価は一様ではない。国際的な設定や複雑な物語を魅力と感じる人がいる一方、その展開に物足りなさを感じる人もいるようだ。もっとも、これらの声だけで低視聴率の原因を断定することはできない。

ただ、今回の数字から見えてくる現実は厳しい。
日本で人気の坂口健太郎と、韓国で長年活躍してきたイ・ジュンギ。両国のスターが顔をそろえれば、それぞれのファンを呼び込めると期待したくなる。しかも、国際共同制作によって物語の舞台はアジア全域に広がり、放送・配信も複数の国と地域で同時に展開されている。
それでも、日本では初回の視聴率を維持できず、韓国では0%台から抜け出せないどころか、番組最低を更新してしまった。
もちろん、テレビの視聴率だけで作品全体の成否が決まるわけではない。配信や海外展開による成果も、今後の評価には関わってくる。しかし、少なくとも日韓両国のテレビ放送では、期待されたほどの支持を獲得できていないことは間違いないだろう。
国境を越えた大型プロジェクトが、国境を越えて同時に低迷する。『kiDnap GAME』が直面しているのは、国際共同制作の華やかな可能性とは裏腹の、そんな厳しい現実だ。
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