かつて日本で話題になった「NewJeansおじさん」。
それまでK-POPにあまり関心のなかった中年男性たちがNewJeansに夢中になり、自ら「NewJeansおじさん」と名乗って応援する姿が注目された。
それから3年。今度は韓国で、あるガールズグループを応援する“おじさんファン”たちが現れた。
そのグループとは、RESCENE(リセンヌ)だ。
2024年にデビューした5人組で、今年に入って人気が急上昇。韓国企業評判研究所が発表する「新人アイドルグループブランド評判」では7月から11月まで5カ月連続1位を記録し、BTSやBLACKPINKなども対象となる全体の「アイドルグループブランド評判」でも9月と10月に連続首位を獲得した。
まさに、2026年のK-POP界で最も勢いのあるグループの一つだ。

そんなRESCENEの快進撃を語るうえで欠かせないのが、「アジェペン(おじさんファン)」「サムチョンペン(叔父さんファン)」などと呼ばれる中年男性たちだ。
しかも、その存在感は単なるSNS上の話題にとどまらない。実際の商品販売データにも、驚くべき数字が表れている。
おじさんファンたちの驚くべき購買力
11月3日、韓国のSNSで一枚の購入履歴が注目を集めた。
そこに表示されていたのは、RESCENEが同日発売した4thミニアルバム『PULSE』の購入情報。QR版の5種類セットを150セット、合計667万5000ウォン(約79万円)分購入したというものだった。
5種類セットが150セットということは、アルバム750枚分に相当する。
この画像を紹介したXユーザーは、「おじさんファンたちがものすごい購買力を見せている」と驚きを隠さず、「アルバムを何枚も買うと何かいいことがあるの?」と疑問を投げかけた。投稿は約172万回表示されるほど拡散した。

ところが、別のユーザーからは「今のアイドル界で600万ウォン程度をものすごい購買力と言っているの?」という皮肉まで飛び出した。
もちろん、画像だけでは購入者が本当に中年男性なのか、実際に商品を受け取ったのかまではわからない。
ただ、RESCENEをめぐる中年男性の購買力については、もっと確かな数字がある。
韓国のコンビニチェーンCUが販売するコラボ商品「RESCENEパン」だ。
同商品は発売約1カ月で累計販売数200万個を突破。CUが公開した購入者データでは、男性が66.2%を占め、女性の33.8%を大きく上回った。さらに、購入者の70.3%が30代以上。年代別では40代が29.6%で最も多く、10代は6.5%しかいなかったという。

このデータについて、韓国メディア『アジア経済』は「業界ではRESCENEパンの購買が30代以上の男性に集中している点を異例と評価している。一般的にキャラクターパンは中高生と20代、特に女性に集中するからだ」と報じている。
少なくともRESCENEのコラボ商品では、男性購入者が多く、30代以上が全体の7割を占めるという、特徴的な購買傾向が見られる。
従来のK-POPファンダムのイメージとは少し異なる購買動向が、数字として表れていることは興味深い。
なぜ中年男性に刺さったのか
では、なぜRESCENEは中年男性の支持を集めているのか。
その理由を考えるうえで欠かせないのが、RESCENEのリーダー、ウォニが出演するYouTube番組『アンニョンハセヨ、ウォニです。よろしくお願いします』だ。

YouTube統計集計サイト「Peak」によると、同チャンネルは今年2月の開設からわずか8カ月で累計再生回数5億回を突破。11月4日現在、チャンネル登録者数は241万人に達し、RESCENE公式チャンネルの135万人を大きく上回った。
ウォニは番組のなかで、地元・慶尚道の方言を自然に使い、飾らない姿を見せている。なかでも、日本人メンバーのミナミがウォニの故郷・巨済(コジェ)を訪れた際の「巨済ヤッホー」という言葉がミームとなり、グループの認知度を大きく押し上げた。
音楽評論家のイム・ジンモ氏は9月19日付『週刊京郷』のコラムで、RESCENEの支持層について、「親しみやすい音楽に加え、メンバーたちの飾らない服装や雰囲気、そしてユーモアのセンスに引きつけられた、30代後半から40~50代にかけての中高年層だった」と分析している。

もう一つ見逃せないのが、2008年のKARAの名曲『Pretty Girl』だ。
同曲をカバーしたRESCENEは、今年7月に音楽番組で初の1位を獲得。KARAをリアルタイムで聴いていた世代にとっては、懐かしさを感じさせる楽曲でもある。イム氏も、このカバー曲が中年層に親近感を与えたと指摘している。
つまり、RESCENEは若い世代だけに向けた流行を追いかけるのではなく、音楽の聴きやすさやメンバーの親しみやすさを通じて、より幅広い年齢層に届いていると考えられる。
かつて日本で話題になった「NewJeansおじさん」を思い起こさせる現象だ。
一方、韓国のRESCENEをめぐっては、中年男性ファンの存在に加え、その購買力までが具体的な数字として表れている。
新作も音楽チャートを席巻
そして、RESCENEの勢いは、パンやグッズの販売だけにとどまらない。
11月3日に発売したミニアルバム『PULSE』は、発売初日に13万1893枚を販売。前作『lip bomb』が発売後1週間で記録した10万4406枚を、わずか1日で上回った。
音楽チャートでも驚異的な成績を残している。タイトル曲『With』は発売から約2時間で韓国最大の音楽配信サイト「Melon」のTOP100で1位を獲得。さらにHOT100では、アルバム収録曲5曲が1~5位を独占した。

11月4日午前10時のTOP100でも、『With』が1位、『Inside Out』が5位、『Finest Thing』が7位、『MEME』が10位、『Dragon』が11位と、新作の全曲が上位に名を連ねた。
もちろん、これらの売上や再生数のうち、中年男性ファンがどれほど貢献したのかは明らかではない。それでも、YouTubeで注目を集めたRESCENEが、過去の楽曲の再評価や音楽チャートでの成功、さらにはコンビニでの関連商品のヒットへと活躍の幅を広げていることは確かだ。
かつて日本では、NewJeansに夢中になる中年男性たちが「NewJeansおじさん」と呼ばれ、話題になった。そして2026年の韓国では、「RESCENEおじさん」たちが、確かな購買力を伴って存在感を示している。
若い世代だけでなく、かつてのK-POPを知る世代まで取り込んだRESCENE。その人気の広がり方は、K-POPファンダムの新たな可能性を示しているのかもしれない。
◇RESCENE プロフィール
韓国人メンバーのウォニ、リヴ、メイ、ゼナ、日本人メンバーのミナミで構成された5人組ガールズグループ。グループ名は「香りで再び(RE)場面(SCENE)を思い起こす」という意味で、大衆の心に長く残る音楽の香りを届けたいというチームの抱負が込められている。メンバー5人全員がビジュアル担当と評されることも。2024年3月に1stシングル『Re:Scene』を通じて正式デビュー。同年12月には東京タワーで日本初イベントを開催した。


