
株式会社IRISが2022年に実施した調査(インターネットモニター調査、全国16~64歳までのLGBTs当事者を対象、回答数414件)では、当事者の49.3%が「LGBTsを含むセクシュアルマイノリティが住宅を借りたり買ったりするときに課題がある」ことを知っていると回答しています。
一方で、いままで業界の課題に対する取り組み状況は各社の自発的対応にとどまっており、業界全体の対応状況は明らかではありませんでした。

株式会社IRIS LGBTs当事者の住宅利用に関する調査
そこで今回、一般社団法人住宅みらい会議(所在地:東京都新宿区、代表理事:須藤啓光)はLGBTQ+当事者への対応実態を把握するため、全国の不動産関連事業者(法人・個人を含む)を対象に実施したLGBTQ+当事者への対応実態を調査したアンケート結果を公開し、徹底解説をおこないます。
今回のプレスリリースでは、そのアンケート結果の一部をご紹介します。
※調査期間:2025年5月16日~5月20日
一般社団法人住宅みらい会議とは
昨今、企業の社会的責任の一環として「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)」の推進が注目される中、LGBTQ+に関する取り組みは、もはや一部の先進企業だけの話ではなくなっています。
不動産業界においても例外ではなく、社内の職場環境づくりはもちろん、入居希望者や顧客対応においても、多様な性のあり方に対する配慮が求められる時代です。
しかし実際には、同性パートナーとの同居を理由に入居を断られる、性別変更後の書類対応が不十分、アウティングの懸念など、LGBTQ+当事者が直面する住宅の壁は、いまも身近に存在しています。
こうした現状をふまえ、株式会社IRIS(本社:東京都新宿区、代表取締役CEO:須藤啓光)と株式会社アカルク(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:堀川歩)で「一般社団法人住宅みらい会議」を立ち上げました。
住宅みらい会議では、「住宅取得に課題のある人、住宅不動産に関わる事業者の両方の課題を解決することで、住宅に関わる全ての人が安心できる選択肢を作ることを目指す」ことをミッションに掲げ取り組みを進めています。
不動産業界におけるLGBTQ+当事者への対応実態調査を実施
この調査では、不動産業界がLGBTQ+(性的マイノリティ)の方々にどのように対応しているかを詳しくヒアリングしました。
主な目的は以下の3点です。
1. 不動産業界におけるLGBTQ+当事者への対応実態を明らかにすることで、当事者の住宅課題の状況を把握するとともに、不動産会社にとってもレピュテーションリスクや機会損失を回避するための機会を創出すること
2. 居審査や契約・管理業務において、業界全体としてどのような配慮や取り組みがなされているかを把握し、標準的な対応レベルと現場における課題を可視化すること
3. 今後の改善施策立案に資するため、課題解決を阻む要因(障壁)についても併せて特定すること
これにより、現状の業界の対応レベルがどこにあるのか、そして現場でどのような課題があるのかを明らかにしました。
さらに、これらの課題を解決するのを妨げている要因(障壁)も特定し、今後の改善策を考えるための材料として提供します。
この調査を通じて、LGBTQ+の方々が安心して住まいを見つけられる社会、不動産業界で働く方の環境を整え安心して働ける職場環境づくり、そして不動産会社にとってもより良いビジネス環境を築くための一助となることを目指します。
調査結果の一部を公開!
以下に該当する全国の不動産関連事業者(法人・個人を含む)を対象に調査を実施しました。
・調査対象:全国の不動産業者(378,460社)のうち以下に該当する業者
└不動産管理会社
└不動産オーナー会社・ファンド(自社所有物件を運営)
└マスターリース契約を結ぶ企業(サブリース事業者)
└不動産仲介業者
・サンプル回収数:665件(信頼区間99%、許容誤差5%程度)
・回答者属性=当事者層:17.45%、非当事者層82.55%※
※非当事者=シスジェンダーかつ異性愛者である人
今回はその一部を公開いたします。
■自社評価について
Q. あなたがお勤めの会社・組織では、多様な背景を持つ人が働きやすくなる制度・環境の整備が十分に行われていると思いますか?「まあそう思う」「非常にそう思う」とした割合は27.7%
「あまりそう思わない」「全くそう思わない」とした割合は28.5%
「どちらとも言えない」とした割合は43.9%
非当事者層と当事者層で比較した場合、非当事者層では「まあそう思う」「非常にそう思う」とした割合が27.6%であるのに対して、当事者層では32.1%となるなど当事者のほうがより働きやすさに配慮されていると感じていた。

■働きやすさについて
Q. あなた自身は現在のお勤め先が働きやすい環境と感じていますか?「まあ働きやすい」「とても働きやすい」と答えた割合は56.5%
「あまり働きやすくない」「全く働きやすくない」と答えた割合は11.0%
「どちらとも言えない」と答えた割合は32.4%

一方で、取り組みの自社評価と働きやすさを比較した場合、D&Iの取り組み推進がされている会社ほど働きやすいと感じる割合が高くなる傾向にあり、当事者層ではより顕著な傾向であった。
ただし、非当事者層では全く取り組みがなされていない職場で逆に働きやすい割合が増えていたが、同時に働きにくい割合も増えており二極化傾向にあった。


■お客様からの相談について
Q. あなたのお勤め先の管理・所有・貸出を行っている住宅用の賃貸物件で、「同性カップル・トランスジェンダー当事者等のLGBTQ+当事者」から入居等の相談を受けた経験はありますか?「自分自身が相談を受けた」と答えた割合は6.6%
「自社で相談を受けたと聞いた」と答えた割合は14.6%
「自社以外で相談を受けたと聞いた」と答えた割合は8.6%
「相談を受けたことはない」と答えた割合は72.2%
当事者層では「相談を受けた」または「社内外で相談があったと聞いた」割合が70%を超えており、非当事者層の17%と比較するとお客様からの相談に対する感度が高いと思われる。
相談内容については「同性同士の入居相談」が39.6%と最多となっている。

■対応状況について
Q. あなたのお勤め先の管理・所有・貸出している住宅用の賃貸物件は「同性のカップル」の入居を許可していますか?(収入など他の要因による審査基準に適合していることを前提とした場合)「全ての物件で入居を許可している」と答えた割合は30.2%
「ルームシェア可能な物件のみ許可している」と答えた割合は24.5%
「パートナーシップ証明など関係性証明がある場合のみ許可している」と答えた割合は21.1%
「全ての物件で入居を許可していない」と答えた割合は12.6%

Q. あなたのお勤め先の管理・所有・貸出している住宅用の賃貸物件で、入居者から性別や名前の変更の申し出があった場合、どのように対応していますか?(性別限定で入居可能な物件を除く)
「分からない」と答えた割合は41.4%
「自己申告のみで契約上の性別や名前(通称)の変更が可能」と答えた割合は18.5%
「公的機関の証明書の提出があれば変更が可能」と答えた割合は18.4%
「医師などの診断書等があれば変更が可能」と答えた割合は13.4%
「契約上の性別や名前(通称)の変更は受け付けていない」と答えた割合は11.6%

調査結果をもとに無料イベントを開催!
住宅みらい会議では、今回の調査結果をもとに記念すべき第1回目のイベントを開催いたします。イベントでは「LGBTQ+を取り巻く住宅市場最前線!」と題し、今回の調査結果をもとに、最新のLGBTQ+を取り巻く住宅状況をパネリストと共に解説し、企業の現状についても深掘りしていきます。
<調査内容例>
・LGBTQ+に関する理解度
・組織内における多様なセクシュアリティやジェンダーへの配慮に関する取り組み
・LGBTQ+当事者からの入居相談の実態
・同性カップルの審査方法や性別変更等に対する管理対応
・アウティングを防ぐための措置状況
・課題解決に向かうための障壁の特定
今回は対面での実施となりますが、トークイベント後は他の参加者との交流や各社の取り組みについての情報交換をしていただける時間をご用意しております。
不動産業界に携わっている事業者の方、今後の取り組みをどのように行っていくのか悩んでいる企業担当者の方、今まさにLGBTQ+当事者への対応に直面している方など、施策や解決策のヒントを得るイベントとなっておりますので、お気軽にご参加ください。
■無料イベント概要
■日 時:2025年7月24日(木)16:00~17:30(15:30開場)
<予定>
16:00~17:00 トークディスカッション+Q&A
17:00~17:30 交流会(情報交換)
■場 所:グロービズ経営大学院 東京校(千代田区二番町5-1 住友不動産麹町ビル1階ホール)
■参加費:無料
■対 象:不動産業界に携わっている事業者の経営者・役職者、不動産業界の人事・D&I推進担当の方、テーマに関心のある企業担当者の方
■定 員:50名程度
■ゲスト:
祝原 英美 氏 (積水ハウス株式会社 ダイバーシティ推進部)
龔 軼群(キョウ イグン)氏 (株式会社LIFULL FRIENDLY DOOR 事業責任者、一般社団法人Cultural Diversity 推進協会 代表理事 / Founder、認定NPO法人Living In Peace 代表理事 、一般社団法人Welcome Japan 理事)
田中 龍史 氏 (積水ハウス不動産ホールディングス株式会社 賃貸企画室長)
長谷川 満子 氏 (大和ハウス工業株式会社 経営戦略本部人事部Well-being推進グループ 担当課長)
■モデレーター:
須藤 啓光 氏 (一般社団法人住宅みらい会議 代表理事、株式会社IRIS 代表取締役CEO、豊島区男女共同参画推進会議委員、豊島区女性活躍推進協議会委員)
堀川 歩 氏 (一般社団法人住宅みらい会議 理事、株式会社アカルク 代表取締役社長)
石野 大地 氏 (一般社団法人住宅みらい会議 理事、株式会社IRIS 代表取締役COO)
▶▶お申込みはこちら
https://2025act4-1-1.peatix.com/
【本件に関するお問合せ先】
一般社団法人住宅みらい会議
https://mirakai.net/
担当者:石野大地
メールアドレス:info@mirakai.net
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