
今年で創設40周年を迎え、会員企業800社以上を擁する一般社団法人ソフトウェア協会(東京都:会長 田中邦裕、以下「SAJ」)は、2026年3月、会員企業である株式会社アーリーリフレクション(東京都千代田区:代表取締役 田中喜之、以下「アーリーリフレクション」)のCTO・伊藤友紀氏へのインタビュー記事を公開しました。
昭和のオリンピックを機に整備された首都高をはじめ、日本全国のインフラが一斉に老朽化を迎えています。加えて、現場を支えてきた技術者の高齢化・人材不足が深刻化するなか、維持管理業務のデジタル化は「やがて必要になること」ではなく、「今すぐ対応しなければならない課題」へと変わりつつあります。
そのような社会的背景のもと、同社は2025年12月、施設管理クラウド「BIMSTOK(ビムストック)」の全面リニューアルを発表しました。老朽化するインフラ・建築物の維持管理情報を3次元BIM/CIMモデルと統合し、AIアシスト機能も実装した次世代プラットフォームとして、社会インフラの持続可能性を支えます。
同社の技術戦略全体を統括するのが、CTO・伊藤友紀氏です。塾講師からエンジニアへの転身、上場企業での経験、そして13年越しの再会──意外なキャリアの軌跡をたどりながら、「技術は究極のツールでしかない。そのツールが、お客様や社会にどう響くのかを考え続けることが、私たちの仕事です」と語る伊藤氏に、技術への哲学と社会への使命について聞きました。
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社会インフラの老朽化危機──「今すぐ動かなければならない」理由
日本が抱えるインフラ老朽化の問題は、もはや先送りのできない段階に入っています。昭和39年の東京オリンピックを機に集中整備された首都高速道路をはじめ、全国の道路・橋梁・トンネル・ダムなどの社会インフラが、50年以上を経て更新・修繕の時期を迎えています。
国土交通省によるBIM/CIM活用の推進もこの背景を受けたものですが、実態として、BIM/CIMモデルを保有していても「日常の維持管理業務に活かしきれていない」現場が多いのが現状です。点検・修繕に関する情報がドキュメントとして散在し、「どこで・いつ・何が起きたか」を把握するだけで多くの時間が費やされています。
こうした課題を解決するために開発されたのが「BIMSTOK」です。そしてこのたびの全面リニューアルでは、維持管理に特化した直感的UIの刷新、情報を空間と結びつける「ノート」機能の新設、そしてAIが施設情報を解析・要約するAIアシスト機能の実装という3つの大きな進化を遂げました。
「BIMSTOK」全面リニューアル──3つの核心機能
1. 進化したBIM/CIMビューア「見てわかる」施設管理へ
維持管理に特化したシンプルなUIを実現し、マニュアル不要で誰でも直感的に操作できます。BIM/CIMモデル上に維持管理情報をピン留め表示し、ワンクリックで詳細に遷移できるほか、一人称ビューや透視機能により、現地に赴かずとも施設の状況をリアルに把握できます。「見てわかる施設管理」を、組織全体に届けます。
2. 「ノート」機能──情報をひとつにまとめ、空間と結びつける
タイトル・日付・報告書・写真・関連リンクなど、分散しがちな維持管理情報を「ノート」という単位に集約し、BIM/CIMモデル上の位置と直接リンクさせます。「どこで・いつ・何が」起きたのかをモデル上で一元的に把握できる仕組みは、引き継ぎや複数部門間の情報共有においても大きな効果を発揮します。
3. AIアシスト機能──解析と検索で業務スピードを加速
AIがBIM/CIMモデルを解析し、施設概要を自動生成します。「バルブの数は?」「壁を非表示にして」など自然言語での問いかけに即座に応答し、ビューア操作から情報検索までを直感的に実現します。今後は点検優先度の判定や劣化推定など、AI活用範囲を順次拡張していく予定です。
13年越しの再会が生んだ、開発への情熱の再燃
伊藤氏のキャリアは、エンジニアとは縁遠いところから始まりました。「当時は塾の先生をやっていたんです。でも、趣味でパソコンをいじっていて、この業界に飛び込もうと決めました」。1990年代初頭、ソフトマップの子会社でエンジニアとしてのキャリアをスタートさせた伊藤氏は、日本最大手の地図会社向けコンシューマ地図ソフトの開発に携わり、会社の上場にも貢献しました。
その上場のタイミングで役員として入社してきたのが、現在のアーリーリフレクション代表・田中喜之氏でした。「彼は非常に頭の切れる人間で、会話していると先を読まれているような、そんな鋭さを持っていました」と伊藤氏は振り返ります。エンジニアと経営者という立場の違いを超え、強い印象を互いに残しながら、その後は別々の道を歩んでいました。
それから約10年後、田中氏からの「何やってるの?」という一言が、13年越しの再会となりました。そこで伊藤氏が目にしたのは、若いエンジニアたちが最先端技術で活き活きと開発に取り組む姿でした。「当時の私は大企業のコンサルティングなどを行っていましたが、ここではエンジニアたちが新しい技術に挑戦しながら開発に取り組んでいて、もう一度開発の現場に身を置きたいと感じました」。田中氏への信頼と、現場で技術に触れ続けたいという強い願い──開発への情熱が再び燃え上がり、CTOとしての参画を決意しました。
困難を楽しみに変える、経験が磨いた問題解決力
アーリーリフレクションでの挑戦は、決して平坦な道のりではありませんでした。自社サービスの立ち上げ、大手物流企業へのDX支援──いずれも前例のない挑戦でした。しかし伊藤氏は「難しい方が楽しいんです」と語ります。
この姿勢の背景には、長年の経験から培った独自の問題解決プロセスがあります。「悩みには種類があります。霧の中にいるような悩みもあれば、選択肢が複数ある悩みもある。まず、なぜ悩んでいるのかを明確にする。そうすると、これは悩んでもしょうがないと分かったり、2択3択に整理できたりする」。多くの顧客との対話を重ねる中で、最適な落としどころを見通す力を磨き続けてきた結果、困難な状況にも「必ず解決できる」という確信を持って臨めるようになったといいます。
「あきらめてちゃんと考える」──技術を社会に届ける哲学
アーリーリフレクションが掲げるコンセプトは「世界を変えるアイデアのはじめの反響となる」。社名の「アーリーリフレクション(早期反響)」には、最初のさざ波を発生させるという意味が込められています。
伊藤氏が大切にするのは、「技術は単なる手段である」という原点です。「そのツールが誰に響くのか、誰が喜ぶのかを考え続けることが重要です」。この哲学を体現する言葉として社内に根づいているのが、田中代表が生み出した「あきらめてちゃんと考える」という概念です。
「お客様がAというボタンをつけてほしいと言っても、本当にそれをつけるべきなのか、本当にそこでいいのかを問い続ける。考えることを諦めずに、あきらめてちゃんと考える」。エンジニアもビジネス部門も、社内では常に「なぜこれをやるのか」を問い合う文化が根付いています。
この徹底した姿勢が生み出した成果こそが、今回全面リニューアルしたBIMSTOKです。「本当に使える道具ができると、使う人に余裕が生まれる。その余裕をクリエイティブな領域に活かしてほしい。目の前の書類を捌くのではなく、会社をもっと良くするために何ができるかを考える時間を作りたい」──維持管理現場のリアルな課題から出発したプロダクトが、日本のインフラを支える力になることを、伊藤氏は確信しています。
BIMSTOKが描く社会インフラの未来
「Early IO」にも注目が集まります。これは既存のデータベースやファイルサーバーをそのままの状態で活用できるデータ統合基盤です。「新しい冷蔵庫に入れ替えるのは大変。既存のデータを有効活用できる方がいい」という現場の声に応えたもので、AIによる傾向分析や画像解析機能も組み込み、ひび割れ検出・道路破損の自動判定なども実現します。
今後のBIMSTOKは、ドローンとの連携、点検業務アプリ、劣化図作成、多言語対応・グローバル展開へと段階的に進化を続ける計画です。「世界を変えるというと大きく聞こえますが、変えられるところはどんどん変えていきたい」という言葉に、技術者としての覚悟が滲みます。
社会インフラの老朽化、データ管理の複雑化、労働力不足──日本が直面する課題は多くあります。しかし、「デジタルの力が最も効くのがこの領域」だと伊藤氏は断言します。SAJ40周年という節目の年に、こうした使命感を持つ技術者が業界に存在することは、大きな希望となるでしょう。13年越しの再会から始まった挑戦は、まだ始まったばかりです。
SAJとの関わりと今後に期待すること
アーリーリフレクションは2025年10月にSAJへ加入しました。SaaS企業、人材サービス企業、インフラ提供企業など、多様なIT関連企業が集う場として、共感できる課題や新たな連携の可能性を広げていくことを期待しています。
SAJ40周年という節目の年に、社会インフラのDXという重要課題に真正面から向き合う企業がSAJファミリーに加わったことは、業界全体にとっても大きな意義を持ちます。「あきらめてちゃんと考える」精神のもとで技術と社会を繋ぐ取り組みは、これからのIT業界の姿を照らす灯台となるでしょう。
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【プロフィール】
伊藤友紀(いとう・とものり)
株式会社アーリーリフレクション CTO。埼玉県鴻巣市出身。1990年代初頭、塾講師から転身しソフトマップ子会社にエンジニアとして入社。日本最大手地図会社向けコンシューマ地図ソフト開発に携わり、会社の上場に貢献。その後、大手企業での技術コンサルティングを経て、5年前に13年ぶりに再会した田中代表の誘いを受け、株式会社アーリーリフレクションにCTOとして参画。社内エンジニアのマネジメントと社外での技術コンサルティングを担当。土木建築業界向け施設維持管理クラウド「BIMSTOK」、既存データ活用基盤「Early IO」の開発を主導し、社会インフラの維持管理DXに挑む。「あきらめてちゃんと考える」を信条に、技術の真の価値を追求し続けている。
【一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)】
一般社団法人ソフトウェア協会(略称:SAJ)は、ソフトウェアに関わるあらゆる企業、団体、個人を繋ぎ、デジタル社会の実現を推進する業界団体です。800社以上にご加入いただき、創立40周年を迎えました。これからもソフトウェアの未来を創造し、国内外のデジタル化推進に貢献してまいります。
現在会員でない企業様も、入会後に本インタビュー企画にご応募いただけます。 入会お問い合わせ・詳細は以下よりご連絡ください。
SAJ事務局お問い合わせページ:https://www.saj.or.jp/contact/
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【関連リンク】
インタビュー記事全文:https://www.saj.or.jp/40th_branding/heroes_earlyref
本企画のインタビュー記事一覧:https://www.saj.or.jp/40th_brandin
SAJ 40周年記念サイト:https://40th.saj.or.jp/
一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ):https://www.saj.or.jp/
株式会社アーリーリフレクション 公式サイト:https://earlyref.com
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