東レ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:大矢 光雄、以下「東レ」)は、粘着面に離型紙を使用せずに布製品へだけ密着する、新しい粘着フィルムを開発しました。フィルム表面にミクロンサイズの微細な凸構造を施すことで、離型紙がなくても粘着面がべたつかず、使用時には布にだけしっかり貼りつく特性を実現しました。今後、この新しい離型紙を必要としない粘着フィルムを、さまざまな用途へ提案してまいります。
一般的に、「貼るカイロ」やゼッケン、医療用パッドなど、布や衣服に貼り付けて使う粘着製品には、意図しない箇所や粘着面同士がくっつくことを防ぐために離型紙※1が挟まれています。使用時に必ずはがされる離型紙は、その多くが廃棄物として焼却処分されていますが、こうした離型紙ゴミの削減や再資源化の在り方について、「資源循環プロジェクト」※2や一般社団法人ラベル循環協会※3で検討が進められています。このような背景から、製品の使い勝手を維持しながら、離型紙を必要としない粘着技術への関心が高まっています。
このたび東レが開発した粘着フィルムは、離型紙を使わずに粘着面を保護できる点に特徴があります。粘着層の上にミクロンサイズの凸構造(非粘着部)を設けた立体的な表面構造を採用し、この凸構造が粘着層への不用意な接触を物理的に阻害することで、未使用時のべたつきを防ぎます(図1)。そのため、指や、金属やプラスチックなどの平滑面では、凸部分のみが当たるため粘着層に触れず、さらさらとした触感が保たれます。一方、布や不織布などの繊維製品では、繊維が凸構造の隙間に入り込んで粘着層と接触し、高い密着性が得られます。こうした表面構造の制御により、布にはしっかり貼りつき、平滑面には付かないという選択的粘着性を実現しました(図2)。

(図1)開発材の基本構造

(図2)選択的粘着性のメカニズム
一例として、本開発材を「貼るカイロ」に適用して離型紙レス構成とした場合※4、年間約247tの離型紙ゴミの削減効果が見込まれます。また、既存品に比べ、発熱体を除いたカイロの総重量を約60%、厚みを約38%削減でき、製品のコンパクト化と環境負荷低減を同時に実現します。
今後は、2030年度に売上高10億円を目指して、日用品(冷却シート、パッド型おむつ、母乳パッド等)や、医療、アパレル分野への展開を図ってまいります。こうした幅広い分野での適用を通じて、より環境に配慮した製品づくりと作業効率向上を両立する新たな価値創出を目指します。
東レは、「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」という企業理念のもと、高機能・高付加価値な先端材料を生み出し続けることで、これからも社会の発展に貢献していきます。
https://www.youtube.com/watch?v=FnKLHGgDlMU
【動画】比較してみた!
本開発材をステンレス板/布に密着させた場合の粘着性を比較
【用語説明】
※1 離型紙
紙やフィルムの表面にシリコーンなどの離型処理を施した紙やフィルムの総称で、粘着剤や樹脂が不要な場所に貼り付くのを防ぐ役割をもつ。業界、用途、構成素材によって、剥離紙、ラベル台紙、剥離フィルム、剥離ライナーと呼ばれることがある。
※2 「資源循環プロジェクト」
粘着ラベルのサプライチェーンを構成する各社の協力によるプロジェクトで、大量の産業廃棄物となっていた離型紙(ラベル台紙)を有価資源として回収・循環させることで、CO2排出量の削減およびラベル台紙廃棄ゼロ化を目指す取り組み。環境省、経済産業省、経団連が発足したJ4CE(循環経済パートナーシップ)においても、循環型社会の実装に資する先進的な事例として注目されている。
参考: https://www.shigenjunkan.com/
※3 一般社団法人ラベル循環協会
離型紙(台紙)の回収・再資源化に関わる企業などが参画し、業界横断で連携する団体で、ラベルにおける循環型社会の実現を目的としている。
参考: https://www.j-ecol.or.jp/
※4 本開発材を「貼るカイロ」に適用した場合の当社試算値
製品構成は、市販のレギュラーサイズ3種類の平均値から算出。また、離型紙ゴミの削減効果は、日本カイロ工業会による「2024年度カイロ販売実績」から推計した。
参考: https://www.kairo.jp/2025/06/25/令和6年度-2024年度-カイロ販売実績/
<試算条件>
・1枚あたりの離型紙使用量:0.67g
・製品を構成するプラスチック材料の総重量:2.8g
・製品を構成するプラスチック材料の厚さ:294μm

企業プレスリリース詳細へ
PRTIMESトップへ
