バーチャルナーシングを推進する米Caregility、名古屋大学医学部附属病院との共同実証が無事終了 - PR TIMES|RBB TODAY

バーチャルナーシングを推進する米Caregility、名古屋大学医学部附属病院との共同実証が無事終了

Caregilityを活用した検証においてSICUでの有効性および実現可能性を確認

 Caregility Inc.(本社:米ニュージャージー州、CEO:Ron Gaboury、以下「Caregility(ケアジリティー)」)、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学医学部附属病院(所在地:名古屋市昭和区、病院長:丸山彰一、以下「名大病院」)、株式会社メディアプラス(Caregilityの国内販売代理店、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:菅野 尚子)は、遠隔ヘルスケアソリューション「Caregility(ケアジリティー)」を活用した共同実証を2026年1月~2月にわたり実施し、このたび検証を終了したことをお知らせいたします。

 本実証は、日本の医療現場におけるバーチャルナーシング(遠隔看護) / 遠隔医療支援の有効性を検証することを目的として実施されました。医療従事者不足や業務負荷増大といった課題に対し、外科系集中治療室(SICU)においてバーチャルナースによる記録支援および教育支援を中心とした検証を行い、遠隔コミュニケーション技術を活用した新たなケアモデルの実用性や運用上の課題について評価を行いました。
なお、米国ではCaregilityを活用したバーチャルナーシングの導入が進んでおり、患者満足度向上や業務効率改善などの成果が報告されています。こうした海外での実績を踏まえ、本共同実証では、日本のSICU環境下における有効性および実現可能性の検証を行いました

【共同実証の概要】
・実施期間:2026年1月~2月
・実施場所:名古屋大学医学部付属病院 外科系集中治療室(SICU)
・人員配置比率:遠隔看護師(バーチャルナース)1名に対し、患者2~4名
・カメラの配置:ベッド固定方式
・使用ソリューション:Caregility APS200 Duo
・用語の操作的定義:
- 看護実践:患者観察、アセスメント、ケアの実施の一連の過程
 - 看護記録:看護実践の内容を電子カルテ上に入力すること
 - 遠隔看護師(以下、バーチャルナース):遠隔地から看護記録支援、および担当看護師への教育を介した看護実践支援を担う看護師
 - 担当看護師(以下、ベッドサイドナース):患者への直接的な看護実践および看護記録作成に関する最終的な責任を担う看護師

【実証内容】
 本共同実証では、SICUにおける看護記録支援およびベッドサイドナースへの教育を介した看護実践支援を中心に、バーチャルナースによる遠隔支援を実施しました。なお、本実証において、ベッドサイドナースは看護実践に責任を持ち、バーチャルナースはベッドサイドナースから共有された情報に基づき看護記録支援を行いました。看護記録は協働で作成し、双方が記録内容を行うことで記録の正確性および安全性を確保しました。

バーチャルナースが実施した内容の詳細:
<看護記録支援>
・バイタルサイン入力
・経過表入力
・SOAP記録入力
・入退室記録入力
<教育を介した看護実践支援> 
・支援実施前の声がけ
・支援実施中のリアルタイムな安全確認
・振り返り、フィードバック

                      教育を介した看護実践支援


【実証結果】
 記録支援の評価対象となったベッドサイドナースは11名(女性9名、男性2名)であり、SICU経験年数の中央値は1年でした。また、支援を提供するバーチャルナースは11名(女性8名、男性3名)で、看護師経験年数は平均16.1年でした。本共同実証を通じて、バーチャルナースによる遠隔看護支援は混乱を招くことなくSICUの業務フローへ円滑に統合可能であることが確認されました。

看護記録支援においては、記録業務にかかる客観的時間を測定した結果、遠隔支援なしでのベッドサイドナースの記録時間が中央値695秒であったのに対し、遠隔支援ありでは、中央値342秒へと大幅に短縮されました。看護師の業務負担軽減および患者ケアに充てる時間の確保につながる可能性が示されました。
期間中に担当したベッドサイドナースを対象にしたアンケートでは、バーチャルナースの支援により、「看護記録の記載業務にかかる時間が減少した(約80%)」、「看護記録の記載業務のために患者ケア時間を削ることが減少した(約60%)」、「看護記録の記載のタイムリーさが向上した(約50%)」との回答が得られました。
特に、「看護記録の記載業務時間の減少」に関する設問では高い肯定的評価が得られ、バーチャルナースによる看護記録支援が、看護師の看護記録記載に関する業務の効率化および看護記録の即時性向上に寄与する可能性が示されました。
一方で、バーチャルナースを対象とした支援実施状況(全46件)のアンケートでは、記録支援に加え、「臨床現場での意思決定支援」が19件(41.3%)、「患者モニタリング支援」が18件(39.1%)と多くを占めました。これにより、遠隔支援が患者状況の把握や臨床判断の補助として活用されていたことが確認されました。

 教育を介した看護実践支援については、「バーチャルナースによる教育は看護実践に役立っている」「教育に満足している」「他施設にも導入する価値がある」といった肯定的な回答が得られました。
短期間の実証では臨床判断能力の明確な向上を実感するまでには至らなかったものの、現場スタッフの心理的安全性や支援全体への満足度向上につながる可能性が示されました。

【今後の対応と検討事項】
 今後は、看護記録支援のさらなる最適化に加え、責任の所在を含めた運用範囲の拡大、教育効果の測定方法やバーチャルナースによる支援内容の高度化と責任のあり方について継続的に検討を進めてまいります。
また、本実証で得られた知見を踏まえ、集中治療領域におけるバーチャルナーシングの実装可能性に加え、日本の医療現場における業務フロー、看護体制、診療報酬制度などの運用環境への適応可能性についても検証を進めてまいります。
これにより、単なる技術導入にとどまらず、日本の医療提供体制に適合した持続可能な遠隔看護支援モデルの構築を目指してまいります。

【大山慎太郎 准教授のコメント】
 現在の日本の医療現場は、超高齢社会に伴う背景疾患の複雑化や看護必要度の高い患者さんの増加に直面しています。その一方で、次世代を担う若手看護師の育成・支援や、看護師自身の働き方改革(労働環境の適正化)など、同時に解決すべき極めて困難な課題を抱えています。
このような状況において、遠隔診療技術を応用した遠隔看護支援(バーチャルナーシング)は、これらの課題を一手に解決し得る大きなポテンシャルを秘めていると確信しています。
今回検証を行ったソリューション『Caregility』は米国で開発・普及したものですが、医療構造や看護体制が大きく異なる日本の臨床現場においても、十分に応用可能であることが今回の実証実験で明らかになりました。
今後は、現場の看護師の方々とこれまで以上に深く連携・対話を重ね、日本の医療現場の固有の状況や業務フローに最適化させていくことが重要です。テクノロジーを道具としてうまく適合させることで、看護師がより働きやすく、医療安全の向上にも寄与し、ひいては日本の医療トランスフォーメーション(Mx)を具現化する持続可能なモデルへと発展させてまいりたいと考えています

【河野葵 助教のコメント】
 看護師は、患者さんに直接行うケアだけでなく、記録、情報共有、確認作業、若手看護師への助言など、多くの間接的な業務も担っています。遠隔看護を活用することで、こうした業務を支え、看護師が患者さんにとってより必要なケアに集中できる時間・環境づくりにつながると考えています。今後は、日本の医療現場に適した遠隔看護のあり方を、現場の看護師の方々とともに検証し、患者さんにとって安全で質の高いケアと、看護師にとって持続可能な働き方、そして医療現場全体を支える新しい仕組みの実現に貢献していきたいと思います。

【川島有沙 特任助教のコメント】
 看護の現場は、看護が好きという理由だけで働き続けられる環境ではありません。高齢化と医療ニーズの増大で、看護師の人手不足は深刻化し、その労働環境は過酷です。看護師の確保と勤務環境改善には、より柔軟な働き方の選択肢が必要になると感じます。遠隔看護は、場所を問わずに、各々の看護のスキルや専門性を活かせる可能性を秘めています。遠隔看護による看護業務の効率化と、約3割を占める潜在看護師の力を引き出すことで、看護師が働き続けられる未来をつくりたいと思います。


【問合せ先】
検証内容について:
名古屋大学未来社会創造機構 予防早期医療創成センター/大学院医学系研究科
大山慎太郎准教授
E-mail: oyama.shintaro.m5@f.mail.nagoya-u.ac.jp

遠隔ヘルスケアデバイスについて:
株式会社メディアプラス
https://www.mediaplus.co.jp/caregility/
E-mail: mp-sales@mediaplus.co.jp
Tel:03-3237-9003

報道について:
名古屋大学総務部広報課
E-mail: kouho@t.mail.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5773

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