全国ワークスタイル変革大賞実行委員会は、堺市・堺DX推進ラボとの共催により2026年10月14日(水)に大阪公立大学 イノベーションアカデミー スマートエネルギー棟(大阪府堺市)で開催した「全国ワークスタイル変革大賞2026 近畿大会」の審査結果を発表しました。

近畿大会の受賞者と審査員
当日は近畿の企業・自治体7組が、デジタルを活用した働き方の変革について公開プレゼンテーションを行いました。戦略性・浸透度・成果・再現性・デジタル技術の活用・熱意の6つの観点で審査した結果、最優秀賞に神戸市(兵庫県)、堺DX推進ラボ賞に和田精工株式会社(大阪府堺市)が選ばれました。両組織は、2026年12月16日(水)に東京で開催する全国大会に、近畿エリアの代表として出場します。
受賞結果
最優秀賞
神戸市
発表タイトル:業務量データとAI活用で実現する現場起点の業務改革モデルの構築

最優秀賞:神戸市
堺DX推進ラボ賞
和田精工株式会社
発表タイトル:DXで実現する、従業員が長く働き続けられる職場づくり

堺DX推進ラボ賞:和田精工株式会社 代表取締役 和田 一宏 氏(右)
優秀賞
ヤンマーグリーンシステム株式会社
発表タイトル:楽しさはDXの武器になる。~Johnとつくる、誰もが一歩を踏み出せる職場~
ダイハツ工業株式会社
発表タイトル:人が変わる、組織が変わる。社員が主役の自律型ワークスタイル変革

優秀賞の受賞者
奨励賞
株式会社エクセディ
発表タイトル:問い合わせ対応を“中断業務”から“営業資産”へ~知見を共有し、人が育つ仕組みづくり~
八代製薬株式会社
発表タイトル:時間に縛られない働き方が新事業を生む―八代製薬のワークスタイル変革
株式会社S.vision.
発表タイトル:DX認定を起点に挑戦した物流×福祉企業のワークスタイル変革ー人の価値を最大化するDX戦略ー

奨励賞の受賞者
※堺DX推進ラボ賞は、堺市内の組織のうち最高得点の組織に授与しました。
受賞組織の取り組み概要と評価ポイント
神戸市(最優秀賞)
取り組み概要
神戸市では、生産年齢人口が30年間で約35%減少する見込みで、今の職員体制を維持し続けることが難しくなっています。これまでの業務改革はツールを起点にした単発の取り組みが中心で、改善の方法は各所属に任されており、判断の材料となる客観的なデータも不足していました。そこで全庁で業務量調査を行って負担の大きい業務を特定し、効果を確かめた解決策を「業務改革パッケージ」として庁内に広げています。
・約300の全所属を対象に、仕事を作業単位のタスクに分けて業務量を調査。結果は職員自身が Tableau で集計・可視化
・負担の大きい庁内の問い合わせ対応を検証所属で試行。生成AIで自己解決できる仕組みを入口にし、解決しなかった問い合わせだけを kintone に集約して、履歴をAIのナレッジに反映
・効果を確かめた解決策をテンプレートにし、6種類の業務改革パッケージ(庁内問い合わせ、マニュアル検索、相談管理、不備確認・突合、出退勤管理、外部問い合わせ)として提供。1所属あたり30分~1時間で導入できる
主な成果
・問い合わせ管理パッケージの検証(メールでの問い合わせ):年2,012件 → 1,092件(約46%減。1件12分で換算すると年間184時間の削減)
・パッケージの導入:140所属(2026年9月末時点)
・導入した所属の約9割が、業務改善の効果を実感
・業務負担の削減見込み:年間約148,000時間(検証と同じ効果が続いた場合の試算)
同市は今後もパッケージの種類を増やし、生まれた時間を市民サービスの向上や、多様化する市政課題への対応に充てるとしています。
評価ポイント
業務量を調べて負担の大きい領域を改善しようとする取り組みは多いなか、さらにタスク単位まで分解し、共通化できる部分をパッケージにして展開している点が評価されました。大きな業務を一度に変えようとせず、小さなタスクに着目してパッケージ化する流れをつくった点、タスクの実態を見極めるために現場の職員へのヒアリングを重ね、庁内全体への展開を見据えて進めた点も評価されました。
和田精工株式会社(堺DX推進ラボ賞)
取り組み概要
大阪府堺市に本社を置く和田精工株式会社は、ベアリングの製造と射出成形を手がける、1934年創業・従業員80名のメーカーです(堺・貝塚・和歌山の3拠点)。製造現場から「人が足りない」「外注に出してほしい」という要望が多く寄せられるなか、不足が実際に何時間分なのかを見極めることと、年齢とともに視力や体力が変化しても長く働き続けられる環境をつくることを課題としました。2015年に3名で発足した新規事業グループを中心に、社内でできる範囲の自動化「プチ自動化」を積み重ねています。
・Raspberry Pi やオープンソースを使い、現場の困りごとに合わせた安価な自動機を自作(画像判別による外観検査機、産業ロボットによるビットの自動挿入システムなど)
・外観検査では、カメラ4台で撮影した画像をAIで判定し、良品だけを計数して梱包する検査機を活用
・堺・貝塚・和歌山の3拠点をVPNで結び、工場内にWebカメラを設置
主な成果
・多軸ロボットのエラー対応:拠点間の移動(往復2時間弱)が必要 → 簡単なエラーは遠隔操作で解除
・自作の装置:導入当初は現場で使われなかった → 現在は現場が活用し、新たな要望も上がる
・協力会社から相談を受けたピン折れの検査:金属検出機を作成して解決し、製品化を進める
・2025年7月にDX認定を取得
同社は今後、無人工場の実現と、協力会社のプチ自動化の支援に取り組むとしています。
評価ポイント
「人が足りない」という現場の要望を、不足が8時間分なのか2時間分なのかという視点で見直し、必要な分だけを補う自動化に絞った進め方が評価されました。小さな取り組みから始め、当初あった現場の抵抗を乗り越えて、現場から要望が出るまでに定着させた点も評価されました。
ヤンマーグリーンシステム株式会社(優秀賞)
取り組み概要
紙の申請や手作業、業務の属人化に加え、「デジタルは苦手」「AIで仕事が奪われるのでは」という社員の心理的な壁が、DXの進まない要因でした。2023年に3名で立ち上げたDX推進チームは、犬のデジタルキャラクター「John」を、社員とデジタルをつなぐ「DX案内役」に据えました。RPAや生成AIなどの窓口を John に一本化し、専門用語を現場の言葉に置き換えて、RPAの導入やAIナレッジ「教えてJohn」に生かしています。自動化と電子申請・集計の効率化で年間5,000時間を削減し、現場からの改善提案は4件から11件に増えました。
評価ポイント
誰でもまねできそうでありながら、企業では意外と行われてこなかった「ありそうでなかった」発想で、変革の芽となる取り組みである点が評価されました。
ダイハツ工業株式会社(優秀賞)
取り組み概要
部門ごとの専門化が進んで知見やデータが分散し、情報共有や調整に時間を取られて、改善や学習に使う時間が足りないことが課題でした。同社は経営主導で「人・データ・組織をつなげる」を軸に、「学び・実践・共有・称賛」が循環する仕組みを設計。DX人材の7段階の定義にもとづく実践型研修、経営層向けの勉強会、毎月のオンラインイベント、社内のDXアワード、約300件の改善事例を誰でも検索できる事例集アプリなどを整えました。PCを持つ社員の生成AI利用率は90%を超え、年間の業務削減時間は約24万時間(試算)に達しています。
評価ポイント
取り組みが進化を重ねながら社内に浸透している点、大企業でありながら社員に広がるポイントをつかんで進めている点が評価されました。
株式会社エクセディ(奨励賞)
取り組み概要
アフターマーケット国内営業部では、クラッチに関する問い合わせを電話2回線・3名体制で受けており、対応のたびに仕事が中断し、知識が属人化していました。問い合わせの受付・回答送信・記録を自動化して必要な体制を3名から1名にし、蓄積したデータはAIとRPAで分析して営業担当にメールで届けています。動画ライブラリの整備とあわせて、部内からは改善の相談が22件寄せられています。
評価ポイント
問い合わせデータの分析結果を営業担当に届け、人の行動につなげている点が評価されました。
八代製薬株式会社(奨励賞)
取り組み概要
従業員24名の医薬品原料メーカーで、コロナ禍を機に、紙やExcelで管理していた受注・経費精算・作業日報・在庫の記録を kintone に集約し、在宅勤務を制度化しました。製造現場でも、安全・品質・報告を守ることを前提に、仕事の区切りで帰れるルールを設けています。経理業務では月次締めが5日から1日になり、2025年11月には子会社の株式会社Hachidai Lab.を設立して新事業を始めています。
評価ポイント
製造現場から時間に縛られない働き方を広げた点、生まれた時間が子会社の設立という新事業につながった点が評価されました。
株式会社S.vision.(奨励賞)
取り組み概要
物流(3PL・請負)と障害福祉の2事業を展開するなかで、情報が個人ごとの管理や紙・Excelに分かれていることが課題でした。2026年5月のDX認定の取得を機に、DX戦略説明会で変革の目的を社員と共有し、Googleスプレッドシートによる業務の可視化や生成AIの活用を進めました。案件状況の確認時間は50%減り、月間の応募者数は98名から231名に増えました(2025年5月と2026年5月の比較)。
評価ポイント
DX認定の取得を機に目的を社員と共有し、クラウドや生成AIを小さく実践して成果につなげている点が評価されました。
イベント概要
・名称:全国ワークスタイル変革大賞2026 近畿大会
・開催日時:2026年10月14日(水)13:30~16:30
・会場:大阪公立大学 イノベーションアカデミー スマートエネルギー棟(大阪府堺市中区学園町1番1号)
・審査員:木村 琴絵(一般社団法人ノーコード推進協会 理事)、松本 国一(一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会 生産性向上部会 部会長/富士通株式会社 シニアエバンジェリスト)
・主催:全国ワークスタイル変革大賞実行委員会
・共催:堺市・堺DX推進ラボ
・全国DX推進パートナー:株式会社kubell、株式会社セールスフォース・ジャパン
・運営協力:モノデジタル株式会社、株式会社クレヴァシステムズ
・後援:近畿経済産業局、近畿総合通信局、大阪府、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、(一社)日本中小企業診断士協会連合会、(一社)テレコムサービス協会
・公式サイト:https://workstyle-transformation-awards.jp/
主催団体について
全国ワークスタイル変革大賞実行委員会は、一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会が事務局を運営しています。
・名称:一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会(JDX)
・事務局所在地:〒102-0074 東京都千代田区九段南1-5-6 りそな九段ビル5F KSフロア
・代表者:代表理事 森戸 裕一
・発足:2010年6月(法人化:2010年10月)
・事業内容:DX推進人材の育成、自治体DX推進プロジェクト、産業振興・政策提言ほか
・URL:https://jdxa.org
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