
一般社団法人Everybeing(共同代表:小澤いぶき、西崎萌) は、報道機関、コンテンツクリエイター、企業のPR・マーケティング担当者など、情報発信に関わるすべての大人が「子どもの権利」を尊重し、ともにウェルビーイングなメディア環境を築くための指針として、『子どもの権利に根ざしたメディアガイドブック』を2026年10月31日より公式ウェブサイトにて無償公開いたしました。
ガイドブック制作の背景:いま、子どもたちを取り巻く情報環境で何が起きているのか
インターネットやSNSの普及により、デジタル空間は子どもたちの「日常生活そのもの」となっています。また、子どもの学びや表現の可能性を広げるための多様な社会とつながる居場所でもあります。
一方で、否定的な側面も看過できません。18歳以下の全国約2,500名への調査および対話からは、再生回数や「いいね」を優先した偏った情報、ルッキズムや固定化されたジェンダー表現などに、子どもたちが敏感に違和感や疲弊を抱いている実態が明らかになりました。
子どもたちは情報をただ消費しているのではなく、発信される情報の「バイアス(偏見や先入観)」や、無意識に刷り込まれる「ステレオタイプ(固定観念)」を感じ取っています。さらに、アルゴリズムによる情報の偏りや、差別的な情報の固定化、センセーショナルな報道による不安や恐怖の誘発など、心身の安全を脅かすリスクも高まっています。
実際に、6時間以上の長時間利用によって「嫌な気持ちになる」「時間を盗まれる」といった負担を感じ始めている子どもがいるということも調査で明らかになっています。(※2025年8~10月、全国18歳以下2,557名へのアンケート調査を実施)。
大人の都合で子どもを「消費」するのではなく、複雑で変化の速い社会において「誰かの尊厳を傷つけていないか」と立ち返り、より良い選択をするための補助線として、本ガイドブックは誕生しました。
情報発信を担う企業やメディアには、自らの活動が子どもに与える「負の影響」を予防・軽減する社会的責任があります。
『子どもの権利に根ざしたメディアガイドブック』の特徴
本ガイドブックは、「表現を縛るルール」ではなく、現場の制作者がともに考え、より良い表現を模索するための指針です。「必ずこうすべき」という画一的なルールや指標を押し付けるものではありません。


- 子どものリアルな声を土台とした「5つの柱」
- - 「本当のことを知りたい」「傷つけないでほしい」といった声に基づき、情報発信で大切にしたい視点を5つのテーマ(事実の誠実な共有/トラウマへの配慮/揺らぎと余白/希望へのまなざし/子どもの参加と参画)で整理しています。
- プロセス別 「実践アクションガイド」
- - 企画・取材、表現・制作、公開・事後対応と、実際の制作フェーズごとに具体的なチェックポイントを設けています。大人の「無意識の偏見(バイアス)」への気づきを促します。
- 安全を守る「セルフケアと相談窓口」
- - 情報に触れて心が疲弊した子どもたちや、重いテーマを扱う制作者自身のためのセルフケア方法や、具体的な相談窓口リストを併記しています。
- 特別寄稿・有識者による監修
- - 小児科医の今西洋介氏、情報学研究者のドミニク・チェン氏による特別寄稿を収録し、子どもの権利・ウェルビーイングに知見のある間宮静香氏、渡邊淳司氏の監修を受けています。
こんな方におすすめです
情報発信による影響に気づいた時、葛藤を感じることもあるかもしれません。本ガイドブックは、そうした葛藤をともに考え、次代へ何を手渡すべきかのヒントとしてご活用いただけます。ぜひSNS等でのシェアや、社内・チーム内での読み合わせにご利用ください。
- 報道関係者: ニュースやドキュメンタリーの制作・取材・発信に関わる方
- コンテンツクリエイター: アニメ、動画、番組、出版物の制作に関わる方
- 広告制作者・SNS運用者: 企業のPR、ブランディング、マーケティング戦略、公式SNSアカウントを運用する方
- 子ども向け商品開発者: おもちゃや子どもの生活に関わる商品、アプリ、サービス等を企画・提供する方
- インフルエンサー・配信者: SNSや動画プラットフォーム等で独自にコンテンツを発信する方
今後の展開:実践を深める動画公開と研修のご案内
ガイドラインの公開を第一歩として、社会実装に向けた以下の取り組みを順次展開してまいります。
- 参加型研修動画の公開 (2026年12月予定):メディア制作の現場で直面する「正解のないジレンマ」をショートストーリーで描き、チームでの対話を促す企業・組織向けの研修プログラムを提供します。
- 市民向け啓発動画の公開 (2026年11月予定):制作者だけでなく、情報を日々受け取り、SNS等で発信する一般の大人たちにも「子どもの権利と情報環境」について考えてもらうための啓発動画を公開予定です。
勉強会や研修・講師派遣のご案内
Everybeingでは、メディア関係者や企業の広報・PR・制作担当者の方向けに、本ガイドブックを活用した社内勉強会や研修なども実施しています。
「現場のチームで読み合わせをしたい」「子どもの権利について理解を深めたい」といったご要望に合わせて内容を調整いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
講師派遣・研修・勉強会に関するお問い合わせ:https://everybeing.or.jp/contact
代表よりメッセージ(一般社団法人Everybeing 共同代表 小澤いぶき)

「本ガイドブックは、権利主体である子どもたちに今の現状を聴き、その現状を踏まえ、子どもとメディアに関わる方とが対話を重ねる中で生まれました。
子どもは『守られる存在』だけではなく、尊厳ある一人の人間、つまり権利主体です。
だからこそ、私たちは権利主体である子どもたちとともに社会を作るパートナーとして、子どもたちの暮らしに当たり前に影響するメディア環境についても子どもたちとともに考え、そのあり方を問い直していく必要があると考えています。
私たちも、今回のプロセスを通し、子どもたちが今のメディアから何を受け取り、どう影響を受けているのかを私たちが丁寧に学び、どのようなメディアが今の、そして今後のウェルビーイングにつながるのかを考え続けていくことの重要性を改めて感じています。情報発信の現場では、メディアの継続性や表現の自由と、子どもの権利が時に葛藤することもあるかもしれません。しかし、葛藤の中には、ウェルビーイングにつながる大切なヒントがあるのではないかと思います。
葛藤の中時に立ち止まりながら進むこと、すぐに成果が出づらいことを続けることはとても勇気がいるなと感じています。それでも私たちは子どもたちの力を、そして自分たちの可能性を育む力を信じて、子どものウェルビーイングにつながる一歩を踏み出していきたいと思います。
子どもたちの声を手がかりに、皆さまとともにウェルビーイングなメディア環境を育む『はじまりの一歩』として、本ガイドをご活用いただければ幸いです。
担当者よりメッセージ(一般社団法人Everybeing/認定NPO法人PIECES 矢部杏奈)
子どもたちのウェルビーイングを守るために、メディアの利用時間や使い方を制限することが必要な場面もあると思います。でも、子どもたち自身に気をつけることを求めるだけで、本当に子どもたちを守ることができるのでしょうか。
子どもたちが日々触れる情報や、その情報が届けられる仕組みをつくっているのは、大人や社会でもあります。だからこそ、子どもたちの声に耳を傾け、私たち大人自身の見方や発信のあり方を問い直していくことが欠かせないと感じています。
3年間、子どもたちとメディアに関わる方々との対話を重ねるなかで、そのことを何度も実感してきました。このガイドブックが、子どもを守るためのルールにとどまらず、子どもたちを取り巻くメディア環境をつくる私たち大人自身が変わっていくきっかけになればうれしいです。
団体概要

一般社団法人Everybeing
団体名:一般社団法人Everybeing
代表理事:小澤いぶき、西崎萌
事業内容:子どもの権利・子ども参加の推進:子ども・若者の意見形成・意見表明支援、政策形成や意思決定への参画支援
自治体・教育機関への伴走支援:子どもの権利条例の策定支援、教育・福祉政策の企画、組織づくりや対話の場の設計
セーフガーディングの推進:子どもの権利侵害を予防するための組織体制構築、研修・教材開発
文化芸術・自己表現支援:社会的養護下の子ども・若者等を対象としたアートワークショップ、表現活動の機会創出
コミュニティデザイン:地域住民、行政、教育・福祉機関、企業等の協働による地域づくり
調査研究・普及啓発:子どもの権利に関する調査研究、講演・研修、出版物やメディアを通じた情報発信
HP:https://everybeing.or.jp/
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