通常の無線技術はある程度限られた電波帯域を用いて通信を行っていた。しかしUWBでは、たとえば米国の場合は7.5GHzもの広い電波帯域が利用できる。また、連続した搬送波ではなく、インパルス波形を利用しているのも特徴だ。これらの技術により、UWBでは非常に高速な通信が可能となっている。
具体的には、研究所レベルで1メートルの距離を250Mbpsで通信できることが確認されており、同日に開催された基調講演にて披露された。
UWBは利用する電波帯域が広いため、他の無線通信との干渉が心配になるだろう。しかし、任意の電波帯域をオフにすることで回避できるという。実際に、UWBとIEEE802.11aを併用したノートPCにて、UWBで利用している電波帯域のうち5GHz付近を止めることによって干渉を回避しているとのことだ。
このUWBは、USB、IrDA、IEEE1394などの無線化に利用することが想定されている。同じような無線技術にBluetoothがあるが同氏は「UWBは3世代目のBluetoothのようなもの」だと説明した。具体的には、PCとワイヤレスディスプレイやプリンタ、デジタルカメラとの接続を挙げた。そのため、「無線PAN(Personal Area Network)技術」とでもいうべきなのだろうか。
なお、標準化の動きも進んでおり、2003年1月に「IEEE802.15.3a」としてタスクグループが発足しており、2005年中を目標に正式版をリリースするとのことだ。
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ケビン・カーン氏 |
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UWBの試作機。左に見えるグラフは、横軸が周波数で、縦軸が利得となっている |