展示された製品で、実際に購入できるのが東芝のFEMINITY(フェミニティ)シリーズだ。すでにITエアコン、ITホームランドリー(洗濯機)、ITオーブンレンジ、IT冷蔵庫の4種類が発売されている。このほか、インターネットとECHONETを接続する「ITアクセスポイント」、タッチパネル式のコントローラ「ITホーム端末」など一通りの製品が揃っている。
会場で実際にFEMINITYシリーズを使ってみた。家電を集中管理するITホーム端末の重さは約1.4kg、片手で持って使うには少々重く感じた。メールやウェブブラウザなどのインターネットサービスのほか、料理のレシピや生活トラブルサポートなど、生活で役立つコンテンツが用意されている。
ITホーム端末に登録されている家電は、画面右上にアイコンで表示される。試しに展示されていたエアコンをクリックしたところ、エアコンのオンオフ、冷暖ドライの選択、風量、タイマーなどが表示された。さらに他社製エアコンを選択したが、電源や風量をきちんと制御できた。
一人暮らしのワンルームでは、あまりメリットを感じないかもしれないが、2階建て住宅に住むお年寄りに好評という。
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ECHONETで制御できるのは、電源のオンオフや風量など基本的な機能のみ |
隣のブースでは、802.11b無線LANを利用するECHONET家電が展示されていた。CFタイプの無線LANカードを流用しているようだ。デモンストレーション用のコントローラはタブレットPCベースのもので、グラフィカルに表示された間取り図をクリックすると家電の操作メニューが表示される。こちらでは、4メーカーのエアコンが展示されていたが、どれもきちんと制御できた。
このほか冷蔵庫が展示されていたが、庫内温度の調節やドアの開閉回数のカウントができた。これは、実際に販売されている冷蔵庫をベースに、ECHONET対応したもので、機能追加に関してかかった期間は1か月程度という。
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右下のロゴに注目。東芝、三菱、シャープ、三洋のロゴが表示される。他社製品でも制御可能だ |
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右上のむき出しの基板がECHONET対応用のモジュール。冷蔵庫ではドアの開閉回数などをカウントできる |
松下電器は特定小電力無線を利用する「くらしネット」を展示した。こちらもECHONET家電だが、ホームセキュリティの強化が特徴になっている。ドアや窓の開閉センサー、人間の関知する人感センサーのほか、緊急時に通報する「緊急コールリモコン」と、セキュリティシステムのオンオフを切り替える「設定/解除リモコン」が用意されている。
「くらしネット」では、インターネット対応の一つとしてセキュリティモードを携帯電話からチェックできるようになっている。もちろん外出先からインターネット経由で警戒設定をオンにすることもできる。
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リモコンでセキュリティシステムの制御が可能だ |
展示されているECHONET対応製品を見ると、通信手段として「Bluetooth」、「無線LAN」、「特定小電力」と複数の規格が入り乱れている。ECHONET自体は相互に利用できても、通信手段で事実上の「囲い込み」ができてしまわないか疑問が残る。
これに対して出展社は「通信手段を相互に変換できるECHONETルータを想定しています。これを利用することで、Bluetoothと無線LAN、小電力無線、電力線など、様々な通信手段を相互に変換して利用できるようになります」と答えた。
どれも非常に安定して動いているように見え、技術的にはすぐにでも実用化できる製品もあるという。それでも発売している製品が少ないところを見ると、家電メーカーの期待と市場のニーズとの溝はまだ深いままのようだ。