「これまでDDIポケットはKDDIグループの中で遠慮していた」 −新生DDIポケット | RBB TODAY

「これまでDDIポケットはKDDIグループの中で遠慮していた」 −新生DDIポケット

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 アステル各社の撤退などPHS市場は縮小傾向にあるが、カーライル・グループに買収されたDDIポケットは、積極的に事業を展開していくことを示した。
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 アステル各社の撤退などPHS市場は縮小傾向にあるが、カーライル・グループに買収されたDDIポケットは、積極的に事業を展開していくことを示した。

 DDIポケットは、10月1日付でカーライル・グループを中心とするコンソーシアムが設立した新会社に事業や従業員、役員などをすべて移行。新生DDIポケットとして出発したばかりだ。

 さらに、「株式会社ウィルコム」に社名を2005年2月1日から変更すると発表。コーポレートブランドは「WILLCOM」で、「Wireless IP Local Loop」を包括し、快適で利便性の高いサービスを提供するという意志(WILL)と未来(WILL)、コミュニケーション(Communicaiton)の意味が込められている。

 新生DDIポケット事業説明会で「これまでのDDIポケットはKDDIグループの中にいたため遠慮していた」としたのはDDIポケット代表取締役会長の木下龍一氏だ。

 同社代表取締役社長の山下孟男氏が具体的な例を挙げ、KDDIグループにおいては移動体向けのデータ通信サービスはauの「CDMA 1X WIN」がメインで、一方のAirH”は「安くて使いやすけど速度が遅いサービス」と位置づけられていたとした。また、これまでは有利子負債が多いことがあり、負債の返済を最優先に進めるという守りの姿勢が強かったという。

 しかし新生DDIポケットにおいては、AirH”は「高速でもリーズナブルなサービス」として積極的に展開を図っていき、「独自の判断で企業成長を目指した投資や事業展開を行っていく」と示した。

 今後の経営方針としては、「最初の1年間は手堅い経営を実践しつつ、飛躍に向けた改革を推進」する。具体的には、圧縮サービスを組み合わせて体感速度が1MbpsのAirH”、WILLCOMブランドの強化、音声端末の開発と投入を進める。来年度以降は、音声とデータ両面で市場を拡大し、成長軌道に乗せる方針だ。この間、売上を現状の2〜3倍の約5,000億円に、ユーザ数も2〜3倍に伸ばしIPOも狙う。

 これらサービスの強化のため、全国に約16万台設置した基地局の更新も進める。あらたな基地局は、32kbpsの1チャンネルあたりの帯域を64kbpsに増速。さらに、現行では4チャンネルにとどまっている回線数を14チャンネルにまで拡張する。

 これに合わせ、ネットワークの更新も進める。これまで基地局は、NTT東西が保有する地域網を経由してデータはIP網に音声通話は他社の交換機にそれぞれ接続されていた。これから進めていくネットワークの更新では、データ通信のトラフィックはNTT地域網ではなく、DDIポケットが保有するITX(バイパス装置)を経由してIP網に接続するように改良。これにより、NTT地域網を経由しなくなるため、よりいっそうのコストダウンが図れる。なお、投資額は5年で約700億円を予定しており、各携帯電話事業者が進める3Gにおける投資額の5,000億円〜1兆円と比較すると大幅に少ない額だ。

 具体的な新サービスだが、年度内に32kbpsを8チャンネル用いて実現する256kbpsを開始。将来的には64kbpsを8チャンネル用いた512kbpsサービスも開始することを明らかにした。

《安達崇徳》

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