バイオメトリクス認証の現在と将来 第1回「金融機関はどう動いたか」(ダイジェスト版) | RBB TODAY

バイオメトリクス認証の現在と将来 第1回「金融機関はどう動いたか」(ダイジェスト版)

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 従来、個人認証に用いられる「鍵」として、最も多用されていたのは、暗証番号を含めたパスワードであったと言ってよいだろう。しかし、その鍵を盗んでしまえば、成りすましが可能になってしまう危険もはらんでいた。

 そこで注目されているのが、バイオメトリクス認証(生体認証)と言われるものだ。これは、個々の人間に固有な身体的特徴を鍵として使う。考え方としては「盗みようのない鍵」を使えば、成りすましようもないので安全、ということだ。貴重なものを守る鍵ほど、強固なものでなくてはならない。バイオメトリクス認証が、金融機関の現金自動預払機(ATM)で導入され始めているのも、守っているものが貴重であり、それを狙う悪意にさらされ続けているからだ。

 では、現時点で実際に導入を進めている金融機関は、どういった理由でバイオメトリクス認証を採用したのだろうか。

■東京三菱銀行

 大手都市銀行の中で、いち早く導入したのが東京三菱銀行だ。同行では、手のひらをかざすことによる、非接触式の手のひら静脈認証を採用した。2004年10月から、手のひら静脈認証機能付きの多機能ICカードの発行を進めており、広報部の奥田氏によれば、2005年6月現在、すでにすべての有人店舗で、手のひら静脈認証によるATMが利用できる。導入に先立って東京三菱銀行では、手のひら静脈認証以外にも複数の技術を検討。その中で絞り込んだいくつかの技術について、1000人のお客を対象にしたアンケートや、デモンストレーション、体験会などを実施したところ、支持が高かったのが手のひら認証だったという。

■日本郵政公社

 また、郵便を扱う日本郵政公社は、同時に日本国内で最大の金融機関でもある。その日本郵政公社は、2006年(平成18年)10月からICカードと指静脈認証を導入すると発表している。導入開始時点で有人の窓口の100%で利用できるようにする計画で、台数ベースでは60%が対応。2年以内には100%に達する計画だ。

 その中で、なぜ指静脈認証だったのだろうか? 当然、日本郵政公社でも静脈のほか、指紋、虹彩、顔、声紋といった技術を検討した。その際に主な課題となったのは、郵便貯金は全国あまねく提供する必要があるということ、そして、障害のある人でもできるだけ使えること、の2点だった。そこで、静脈認証が選択されたのだ。指静脈にするか手のひら静脈にするかは、最終的にはデータ量と精度の問題となった。「精度については実用上ほぼ問題ないレベルと判断したが、認識時間のより短い指認証を選択した」(種村氏)という。ATMが1台という郵便局も多く、1人あたりの処理時間がかかると、順番待ちの行列が長くなってしまうからだ。


 先行して実運用に入った東京三菱銀行の手のひら静脈認証か、後発ながら郵政公社とメガバンクの連合による指静脈認証か、ともすれば業界を二分しての認証方式争いにもなり兼ねないのが現状だ……


(記事全文はRBB TODAYにて掲載)

《RBB TODAY》

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