【ニュース解説】KCP+でauのGSM携帯はあるのか? | RBB TODAY

【ニュース解説】KCP+でauのGSM携帯はあるのか?

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 16日、KDDIは秋冬モデル8機種と同時に、新しい開発プラットフォームKCP+を発表した。ライバルの2キャリアに先んじてELディスプレイやワンセグ、Rev.A対応、ソニーとの提携など商品力をアップする機能がさらに充実したといってよい。

 しかし、ドコモがGSM対応を表明する中、今回の発表にauのGSM対応端末を期待していたユーザーもいたのではないだろうか。古い第2世代の通信方式とはいえ北米や中国など採用している国は多く、海外でも活動するビジネスマンにとってGSMに対応した携帯電話は重宝がられている。アップルのiPhoneも、開発コスト、世界市場などを考えあえてGSM方式を採用している。

 この流れでauもGSM携帯を出すのでは、という疑問をKDDIの広報部に投げかけてみた。

 まず、開発プラットフォームをKCP+にしたことは、GSM対応も見据えた措置ではないかとう疑問がある。KCP+はクアラコムとの提携によって開発されている。クアラコムは北米でGSMチップも手がける企業だ。メインの機能ではないかもしれないが、GSMチップのためのモジュールの共通化などが簡単にできるのではないかと思ったからだ。だとすると、GSM対応端末の投入時期はいつだろうか。

 この質問について、KDDIの考え方は、KCP+はあくまで開発効率のアップ、コスト削減が目的であって、直接GSM方式とは関係ないとのことだ。もちろん一般論として、プラットフォームの共通化は、通信方式といった下層レイヤの違いに依存しないソフトやアプリの開発に直結するが、それを意識していることはないそうだ。

 また、サービス戦略としても、GSM対応は検討中ではあるがKDDIにとって優先度の高いものではないという認識だった。auユーザーを含めたGSMの市場ニーズや規模、それと設定できる料金プランも含めた総合的な判断で、あまり重要ではないということのようだ。現在のグローバルパスポートなどの海外向けサービスでも、ニーズとして有効なカバーエリアでもGSMでなければという事象は少ないという認識も示してくれた。

 ソフトバンクはボーダフォンの流れでGSM対応は必然に近いもので、後発キャリアとしては逆に海外でも簡単に使える点を訴求しなければならない。ドコモは業界の「トヨタ」(実際トヨタ自動車と関係の深いのはKDDIだが)的な立場として、ライバルの出している「車種」はすべて用意しておかなければならない。キャリアごとの事情がある。GSMはスタンダードではあるが、流れは3G、4Gとすると、ここで短期的な戦略でGSMに投資するよりは様子をみたほうが得策だということかもしれない。

《中尾真二》

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