ドコモ、分子通信の実現に向けた分子配送実験に成功〜“バイオチップ携帯”の実現へ前進
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今回の実験では、化学エネルギーによって動作する「モータータンパク質」と、人工的に合成されたDNAとを利用して、特定分子を特定場所に配送することに成功したとのこと。一本鎖(いっぽんさ)DNA同士の二本鎖(にほんさ)形成反応によって、特定分子を輸送担体へ荷積みし、その輸送担体を、モータータンパク質による駆動力で伝送し、DNAの鎖交換反応によって、特定分子を輸送担体から荷降ろしするという仕組みになっている。この分子配送機構では、外部電源や外部制御が不要であり、自律的に動作する微小な生化学分析器(バイオチップ)の実現に大きく寄与しているとのこと。
本技術は、通信工学と生化学とを融合することで、これまで困難とされていた興奮や感動、ストレス、疾患等の情報を分子で伝送する「分子通信」の実現に向けたもので、従来の概念とはまったく異なるあらたな通信方式となる。応用展開例としては、バイオチップを搭載した携帯電話(バイオチップ携帯)で、検査対象となる汗や血液に含まれる生体分子を直接検査し、疾患分析やストレス診断を行うといったことが考えられている。さらにバイオチップ携帯は、医療・健康分野の他にも、水質検査などの環境分野や、相性占いなどのエンターテイメント分野にも適用可能となる見込み。
なお、本技術の一部については、2008年1月13日〜1月17日に米国で開催された国際会議「21st IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems(MEMS'08)」の予稿集144〜147ページに掲載されており、さらなる詳細は、国際学術論文誌「Small」2008年4月号(Volume 4, Issue 4, April 2008)に掲載される予定。
《冨岡晶》
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