【インタビュー】e-Taxで税額控除も!ICカードリーダライタ導入の利点 | RBB TODAY

【インタビュー】e-Taxで税額控除も!ICカードリーダライタ導入の利点

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 ICチップを搭載した「住基カード」で様々な行政手続きができるようになってきているが、実際に試された方はまだ少ないかも知れない。しかし今、住基カード対応のICカードリーダライタを購入する人が急増している。
 ICチップを搭載した「住基カード」で様々な行政手続きができるようになってきているが、実際に試された方はまだ少ないかも知れない。しかし今、住基カード対応のICカードリーダライタを購入する人が急増している。 全 12 枚
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 ICチップを搭載した「住民基本台帳カード(住基カード)」を使って様々な行政手続きができるようになってきていることは多くの方が耳にしているだろうが、実際に試された方はまだ少ないかも知れない。しかし今、住基カードに対応したICカードリーダライタを購入する人が急増しているというのだ。これは、住基カードが国税電子申告・納税システム「e-Tax」にも利用でき、最高5,000円の税額控除が適用される優遇制度によって、住基カードが増えたことによるものだ。

 e-Taxを利用するには、自分の居住している地方自治体で住基カードをあらかじめ取得し、「公的個人認証サービス(JKPI)」で電子証明書を取得しておくことのほかに、住基カード内の電子証明書を読み取る「ICカードリーダライタ」が必須となる。本記事では、全国の住基カードに対応したICカードリーダライタを提供しているNTTコミュニケーションズ(NTT Com)に、同社製品の特長について話を聞いた。

◆用途に応じた豊富なラインアップ

 NTT Comは昨年11月、e-Tax対応ICカードリーダライタの新機種「SCR331CL」を発表した(写真左)。ICカードには「接触型」(ICチップが直接通信する方式)と「非接触型」(ICチップは隠れており、カード内アンテナが通信する方式で、SuicaやFelicaなどもこのタイプ)がある。本来、住基カードは「非接触型」を仕様としているが、自治体によって非接触型と非接触・接触共用型に分かれており、住基カード用にリーダライタを購入する際にはタイプにより選択できる機種が異なる。各自治体がWebサイトなどで推奨機を公開しているが、NTT Comの新機種「SCR331CL」は、市場でも数少ない非接触型ICカード対応のリーダライタで、すべての住基カードに対応している。

 NTT Comでは、接触型USBタイプの「SCR3310」に始まり、接触型PCカードタイプの「SCR243」や共用型USBタイプの「SCR331DI」と、利用シーンや用途に応じた機種を用意し、今回の「CR331CL」で全4機種を揃える。価格も2,500円前後からと低価格で、これほどのラインアップを揃えているメーカーはほかにはないという。NTT Comは、2000年よりコンシューマ市場でICカードリーダライタを手がけており、利用シーンに応じた機種を安価に投入してきている。新機種「SCR331CL」は、共用型USBタイプ「SCR331DI」の廉価版として、かつe-Taxにも対応させた製品となる。

◆すべての住基カード・税理士カードに対応

 開発を担当したNTT Comの金融イノベーションシステム部 セキュリティビジネス部門 担当課長の鈴木啓之氏は、「SCR331DIは通信インタフェースが接触型と非接触型のどちらにも対応する様に作られたが、それを非接触型のみとすることによりコストダウンし、新しいICチップにも対応させた。全国の20数種類の住基カードすべてとの通信を可能とするために苦労した」と語る。新機種SCR331CLでは、住基カードのほかに、すべての税理士カードにも対応しており、個人だけでなく法人の電子申請にも利用できる。

 また、デザインも従来機種とは大きく異なり、白を貴重に曲線を使ったスタイルを採用しているのも特長だ。ICカードを立てかけられる着脱可能なクレイドルも付いている(写真左)。デリバリ全般を担当している金融イノベーションシステム部 ITデザイン&マネジメント部門 担当課長の藤本勉氏によると、「ICカードをクレイドルに置くだけで読み取りができる操作性はもちろんだが、デスクトップの省スペース化や、デスクトップ面がスチールの場合に電波影響を受けにくくする狙いもある」とのことだ。また、本体の厚さは8mmと世界最薄(写真右)。持ち運びやすさも考慮したデザインとなっている。

◆最高5,000円の税額控除が受けられる今年はチャンス

 NTT Comの各種ICカードリーダライタは、同社の通信販売サイトのほか、「セブン-イレブンネット」や「ファミマ・ドット・コム」を始めとする各種オンラインショップ、さらには家電量販店などで手軽に購入できる。入手したら、ドライバをインストールしてPCに接続し、公的個人認証サービスの「利用者クライアントソフト」をダウンロードしてインストール・設定。これで、e-TaxのWebサイトで電子申請が利用可能な状態となる。

 電子証明書を送信する際には、リーダライタにICカードをかざすだけで、リーダライタ自体の操作はいたって簡単だ。認証ソフトや電子申請ソフトの使い方については、オンラインマニュアルのほかにも、各地方自治体や税務署、青色申告会などが開催する講習会などを利用する方法もある。

 e-Taxでは専用アプリケーションをインストールする必要はなく、そのままWeb上ですべての申告が可能になっている。国税庁はe-Taxの普及に力を入れており、本人の電子署名および電子証明書による所得税の確定申告をe-Taxで行った場合、最高5,000円の所得税の税額控除のほかにも、「添付書類の提出が不要」「還付金がスピーディ(3週間程度に短縮)」といったメリットがある(なお、税額控除は2008年分または2009年分のいずれか一回のみ)。また、翌年からの申請が簡略化される点も、毎年申告する人にとっては大きなメリットとなるだろう。

 行政手続の電子化は、地方自治体においても重点課題となっており、住基カードを使ったオンライン手続きや自動発行は、確実に普及していくと見られる。「住民票のオンライン申請や申告などの公共のオンラインサービスは徐々に増えておりe-Taxで一気に有用性が高まった。24時間自宅や会社から受付できるメリットは大きいため住基カードを持つ人は確実に増えています」と鈴木氏は分析する。

◆原点は企業向けICカードソリューション

 NTT ComでICカードを軸としたセキュリティ商材の販売戦略を担当している金融イノベーションシステム部 販売支援グループ 担当課長の折笠昇吾氏が「当社のe-Tax対応ICカードリーダライタのラインアップ、および対応ICカードの豊富さは、当社がこれまで多くの法人様への導入で培った技術が生かされている」と語るように、企業のセキュリティを高める手段として同社が開発したICカード「eLWISEカード」を軸としたソリューションは、社員証、入退室管理、PCログイン、ドキュメントセキュリティ、キャッシュレス決済、さらにはリモートアクセスなど、多くの企業で幅広い導入実績をもつ。

 企業内における個人認証の手段として始まったNTT ComのICカードを軸としたソリューションは、情報漏えい防止の観点から情報セキュリティや内部統制対策としても利用されるようになり、またその一方で、住基カードを始めとする公的な個人認証としても拡大してきた。NTT Comでは、こうした様々なICカード展開のノウハウを蓄積し、eLWISEカードのみならず他社製や独自規格のICカードにも対応するリーダライタを開発。こうした開発力により、マルチベンダ対応の製品ラインアップが実現された。

◆一家に一台を目指して

 販売チャネル担当の金融イノベーションシステム部 セキュリティビジネス部門 担当課長の藤本淳一氏によると、「現在ではICカード提供、リーダライタ設置にとどまらず、自治体内部のIT化やセキュリティ対策、ペーパーレス対策も手がけるなど、NTT ComはICカードをキーに様々な分野へソリューションを展開しており、常に最先端のICカード技術をリーダライタに適用し、コンシューマ市場で安価に提供していく」考えだ。

 鈴木氏は「今後、オンライン化がさらに進めば、他人による“なりすまし”や“データの改ざん”を防ぐために、ICカードによる個人認証は必要不可欠なものとなってくる。ICカードリーダライタが社会のインフラとなり、一家に一台持っていただけるように、一層の普及に力を入れたい」と語る。普及にあたっては、NTT Comでは「マルチベンダ対応」をコンセプトに、ポータビリティを重視した製品を投入していく考えだ。

《柏木由美子》

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