【「エンジニア生活」・技術人 Vol.26】沖縄で暮らし、東京と仕事をする──レキサス・比嘉広和氏
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一般的に都市部の企業に仕事を発注すると単価が高く、都市部から離れるにつれて安くなるという傾向がある。そのため、都市部の企業よりも安い単価でシステム開発を請け負う企業もある。
しかし、沖縄に本社を構えるレキサスにはそのような考えはない。請負型ではなく、自社のオリジナルサービスを全国・海外に展開することをコンセプトとしているのだ。自社のオリジナルサービスとしては、Webコラボレーションサービスの「チームギア」、携帯電話向けのコンテンツ変換ソリューション「ピュア・アクシス」および画像変換サービス「ピュア・ピクチャー」を展開するほか、データセンターの運用を行っている。
■心がけているのは、大都市圏の企業に勝るとも劣らないスピーディーな対応
「沖縄という距離的なハンディを克服してお客様の信頼を勝ち得るには、とにかく迅速な顧客対応しかない。そう考えて、大都市圏の企業に勝るとも劣らないスピーディーな対応を第一に心がけてきました」。このように話すのは、レキサスのプロダクトデザイン部リーダーである比嘉広和氏だ。比嘉氏は、ピュア・アクシスのチームリーダーとして開発や運用を手がけている。
ピュア・アクシスは、1つのHTMLをリアルタイムに変換し複数のデバイスで表示できるようにするソリューション。具体的には、iモード用のWebサイトを作ると、EZwebやYahoo!ケータイ、PDAなどのWebブラウザでも最適に表示されるというものだ。
ピュア・アクシスをはじめとするレキサス製品の顧客は、主に関東に本社を構える企業。そのため比嘉氏は、東京への出張がたびたびある。
「東京への出張は以前ですと半年に1回程度でしたが、最近は2、3か月に1回、昨年末は1か月に1回とどんどん多くなっていますね。営業担当者は、1か月かもう少し短い間隔でお客様にお会いしています」
そこで心がけていることは何だろうか。
「わたしは、エンジニアの立場からお客様と具体的なシステムの話をする目的で営業に同行することもあります。つまり、ここでお客様にしっかり技術的な説明をして信頼を築くようにしています」
沖縄にいると、どうしても東京の顧客と会う機会が限られてくる。そのため、少ないチャンスで確実に信頼を築くための努力と工夫を重ねてきた。
■幅広い知識で自信に満ちた提案を
沖縄出身の比嘉氏だが、レキサスに入社する前は東京で組み込み開発業務に携わっていた。
「東京では、電子回路や電子デバイスのアプリケーション開発、CPUやDSPのアプリケーションを設計する仕事をしていました。プログラムにも興味はあったのですが、『ソフトウェアとハードウェアは一体。よくできたプログラムがあっても、それが実際に動くには電子デバイスという縁の下の力持ちの存在が不可欠だ。』というちょっとした反発心があり、電子デバイスの道を選びました。」
「携帯電話の基地局に組み込む電子デバイスのアプリケーションを設計したこともあります。携帯電話の基地局は屋外に設置しますので、温度の変化など条件は過酷です。そのような環境で動くプログラムを作るには、ソフトウェアとハードウェアの両方の知識が求められるのです。」
このようにソフトウェアとハードウェアに興味を持ったのは、学生時代だった。
「学生時代は電気電子工学科でしたので“電力”の色が強かったのですが、ここでプログラムの面白さを知りました。しかし、ソフトウェアの世界だけではなくハードウェアと絡めた技術に興味を持ち、研究室に入りました。そこでは、電子回路を自動生成するプログラムを作りました」
幅広い知識を得たり経験を積むのは、「お客様に自信に満ちた提案をするため」だという。
「昔からそうだったのですが、いろいろな知識を吸収し、たくさんの選択肢の中から最適なものをお客様に提供できるようになりたいと思っています。ただ、ここでいう“知識”とは、たんに情報として知っている、というものではなく、体験を通して自分の中にしっかり落とし込めている“知識”を指しています。」
都市部で働いていると、顧客とすぐに会うことができ、同業者と話す機会も多い。そのため、コミュニケーションを取ることや知識を得ることに鈍感になっているのかもしれない。東京と沖縄という環境の全く異なる場所で働く経験をしている比嘉氏は、そのことを実感しているように思われた。
《RBB TODAY》
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