エプソン、小売業をターゲットとしたA3対応ページプリンターの新機種
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「LP−S9000」のターゲットは、POP出力などを行う小売業(ブランドオーナー・飲食業)や一般オフィス(文教・官公庁・リプレイス市場)だ。
●POPマーケットへ注力
同社の調べによるとPOPマーケットにおけるプリンター市場は約6000台/年。また、POPの内製化を50%以上行っている企業は7割を超えているという。同社では小売業に対しては「かんたん!POPプリント」を使ったセットモデルを提案し、ワークフローを改善していく。このアプリケーションは、すでに従来の大判プリンターには対応しているため、店内掲示ポスターは大判インクジェットプリンターで、ダイレクメールやチラシはLP-S9000でという提案になるようだ。POPメディアに対しては不定形なものも含め用紙対応は必須になる。プロダクトマーケティング部部長の宮西徳郎氏は「今回は対応用紙の評価を強化しようとしており、昨年10月にオープンしたパートナーズネットにて用紙対応の確認の窓口を設け、ユーザーから要望があった場合には都度用紙確認を行い、情報を提供していく。SIerやポップアプリを作っている方々との連携も必須になる」と説明する。ちなみに、同機のカセットにはのし紙を含めた不定形用紙・薄紙・厚紙・コート紙の給紙ができる。用紙厚は55g〜256g/ヘイホーメートルとなっており、55g対応は同社で初となる。
文教を含めた一般オフィスでは、維持コスト、耐久性、ランニングコストに対する不満が大きい。コストに関してはLP-S9800Cと今回のLP-S9800のランニングコストについての対比グラフを表示して説明。両方とも保守未加入の場合を比べてみると下記のグラフのように、120万枚で83万円のコスト差がでてくる。保守に入っている場合でも定期交換付、部品付の場合はかなりの価格差が生じる。耐久性については150万ページを実現している。なお、小中学校向けには385種類・イラストデータ227種類が入った「学校向け活用BOX」のセットモデルを、大学向けには印刷制限・認証印刷によって学生の出力抑制を行える「PrintDirector」も合わせて提案していくとしている。
●速い、キレイ、使いやすいの技術ポイント
技術開発のポイントについてはセイコーエプソンIJP・LP事業戦略推進部部長の山崎英雄氏が説明した。訴求ポイントは「速度」「綺麗」「使いやすさ」の3点。LP-S9800は新開発のコントローラにより、「データ内の色数を見定め、そのビット数で処理を行うことで最適化、高速化を実現」した。その結果他社の35PPM、40PPMの製品よりも高いスループットを実現しているという。スペックで表示されている同機の印刷スピードは、片面カラー印刷時35PPM、片面モノクロ印刷時35PPM、両面カラー印刷時28PPM、両面モノクロ印刷時28PPM。ファーストプリント時間はカラー6.4秒(A4)、モノクロ6.3秒(A4)。
ちなみにウォームアップ時間は節電復帰時、電源ON時ともに28秒以内となっている。綺麗な印刷に関しては、LCCS(Logical Color Conversion System)を採用している。この技術は同社とロチェスター工科大学のマンセル研究所が共同で基礎開発し、エプソンが実用化させた新LUT(Look up table)作成技術。従来のLUTに比べて、色再現領域、階調性、粒状性を最適化しており、例えば暗部の再現性と赤の発色の向上が見られる。また、赤色領域の彩度を従来より30%向上させ、金赤により近い赤を表現できるようになったいる。このため、価格表示などよく使われる赤がより鮮明に表現される。このほか、ユーザーが交換可能な定着器を採用したり、カラートナーがなくなってもモノクロ文書で出力可能となっている(プリンターが自動でデータ交換を行い、PC側での再送信が不要※プリンタのボタンを押す必要あり)。
また、「かんたん設定 for Office」といったドライバーも特徴だ。Word、Excel、PowerPointの操作画面から直接印刷できるツールバーが表示され、ドライバーのプロパティーに戻って設定しなおす必要がない。
《RBB TODAY》
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