【連載・シンクライアントソリューション(Vol.2)】ブレードPC導入時の課題〜ブレードPCはすぐに導入できるの?〜
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システム入れ替えを検討するにあたって一番難しいことは「見積ること」であるが、ここで言う「見積り」とは、ハードウェア購入費用や保守費用、設定作業費用だけではない。様々なリスクを見積り、それらのリスクの対応方法を事前にあらい出して検討する必要がある。以下はCSEが顧客に提示している、検討課題シートを省略・抜粋したものだ。
パッと提示できるだけで上記の問題が予想されるが、これらの問題点については提案段階、または導入プロジェクト開始時に、十分に議論して対応・対処方法を決めておく必要がある。しかし、予想はあくまでも予想に過ぎず、リリース直後に発覚する問題のほとんどは予想外のところから発生する。
CSEでは以下のステップで、「予想外の問題」のあらい出しを行っている。
1.事前に顧客のクライアント環境を調査して、CSEで検証用に同様の環境を構築する。この段階で、顧客のクライアント環境とブレードPCの親和性が見えてくる。また、デモ環境として顧客にも、実際の使用感等も確認してもらえる。この結果で、顧客の環境に全面的に導入していくか、特定の部署やユーザーグループに限定して導入するかを判断する。
2.1のステップでおおよそのリスクが判明したら、導入を何段階かに分けてリリースを進める。1次リリースでは、10台程度の台数に対して試験的にリリースを開始。1次リリースで最終的な課題と対応方法を洗い出してから、2次リリース以降で大掛かりに導入を進める。
導入に関する大まかな流れについて話したところで、次にコスト面について考えてみる。
●コスト面の課題
テストフェーズ(1次リリース)で導入するための費用を以下にまとめた。(価格は定価ベース)
上記の金額だけが全てではなく、ウィルス対策ソフトやOfficeなどのアプリケーション、各サーバに対応したバックアップソフトも必要になる。1次リリースでのハードウェア費用に550万円弱、アプリケーション費用、構築作業費用も付加されるので、トータルで見ると7〜800万円程度の費用がかかる。
ただし、2次リリース以降はブレードPC本体と、シンクライアントに必要な費用のみとなるので、投資額は大幅にダウンする。ダイナミック接続型のソリューションは、ブレードPCとシンクライアントだけではなく、サーバーもいくつかあわせて購入しなければならないため、少数の導入の場合は逆にサーバーのコストが大きく負担になるが、50台以上(出来れば100台以上)の導入を行うことで、サーバーのコストをソリューションのメリットが上回りはじめる。
もちろんハードウェア費用だけで、導入効果やコスト削減効果を議論する事は出来ないので、ソフトウェア環境や設置場所等をヒアリングした上で、導入効果やコスト削減効果を提案している。
●ソフトウェアに関する課題とシステム移行に関する課題
このあたりの問題は、ブレードPCだからというよりも、「移動ユーザープロファイル」へ移行する際に発生する課題と捉えて考えた方が良い。
通常、Windowsの「デスクトップ」や「マイドキュメント」といったユーザー個別のデータ(プロファイルデータ)は「C:Document and Settings」等に保存される。しかし、ダイナミック接続型の場合は、プロファイルデータをPCのローカル上ではなく、ネットワークストレージやサーバー上に配置しなければならない。これはユーザーがシンクライアントからログインした際に、どのユーザーはどのブレードPCにログインするかが動的に決定されるためだ。このような、PCのローカル上にないプロファイルデータのことを移動ユーザープロファイルという(固定で紐付けするのはローカル保存型)。
移動ユーザープロファイルに対応していないアプリケーションが存在する場合は、移行対象ソフトウェアから外すか、該当アプリケーションを使用している部署だけはプロファイルを固定化して対応する。
ひとつのブレードPCシャーシの中に、固定プロファイルのPCと移動ユーザープロファイルのPCが共存しても問題はない。SAMサーバーがユーザーを判断し、正しい接続先PCに接続させてくれる。具体的な移行手順については第4回にて説明する。
次回はブレードPCの導入の流れについて説明する。(CSE 櫻井 智行)
《RBB TODAY》
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