ブロケード、「Brocade One」統合ネットワークアーキテクチャおよび戦略を国内発表
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■ネットワークを劇的に簡素化する「Brocade One」
同発表会では、最初にBrocade社のワールドワイドセールス担当シニア・バイスプレジデントであるイアン・ホワイティング氏が登壇し「Brocade One」を紹介した。
同氏はまず、ストレージネットワークとデータネットワークのコンバージェンスによりシンプルなネットワークが実現することを説明。従来、ストレージネットワークではFC(Fiber Channel)が多く利用されてきたが、FCoE(FC over Ethernet)を利用することで、Ethernetのインフラだけで、ストレージネットワークとデータネットワークを統合した(コンバージド)ネットワークが実現できる。しかし一方で、実際にはFCのような成熟ソリューションの継続利用ニーズも高い。同氏は、一社提供の垂直統合型ソリューションを使った「Rip-and-Replace(総入れ替え)型」の導入シナリオは止めるべきで、既存のマルチベンダで構成されるインフラを活用しつつ、TCOを向上させるアプローチが必要であると述べた。
また、直近のiPhoneによるAT&Tのデータ通信の負荷増大を例に、留まることのないデータの増加とネットワークの複雑化という課題も指摘。こうした課題を解決し、優れたユーザ体験を実現するためには「ネットワーク全体がデータセンターになる」ことが求められるとした。
データセンターにおいて、ITインフラは最終的にクラウドを通じて高度に仮想化されたサービス・オン・デマンド型になるというのが、同社を含めた業界の共通認識だが、これを実現するには、劇的に簡素化されたネットワークアーキテクチャが必要になると同社は結論付けている。
「Brocade One」は、ネットワークからレイヤを取り除き、管理を簡素化することで、既存の技術投資を保護しつつ、クラウドのどこからでも情報とサービスを利用可能になる高度に仮想化されたインフラストラクチャへとシームレスに移行できるようにする統合ネットワークアーキテクチャであり、同社の戦略でもある。同氏は「階層化されたネットワークはもう終わり、これからは簡素化したネットワークがとって代わる」と断言する。
もともとストレージネットワークで高いシェアを獲得していたBrocadeは、2008年、GbE関連製品やL3スイッチの製造・販売を行う米Foundry Networks社を買収し、コンバージド・ネットワークの分野に進出。今回の「Brocade One」の発表は、同社の今後のビジネスの方向性を示したものと言える。
■データセンターの仮想化を支える技術
次に、Brocade社のデータセンター製品部門プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデントであるダグ・イングラハム氏が、「Brocade One」で示されたネットワークの簡素化を実現する技術群のうち、Brocade Virtual Access Layer(VAL)、Brocade Virtual Cluster Switching(VCS)の2つの技術と、今後登場予定の製品を紹介した。
VALは、同社のコンバージド・ファブリック・ネットワークとハイパバイザ間の論理レイヤで、VM(仮想マシン)の仮想NICと仮想ポートとの紐付けを行い、VMごとの通信制御を外部スイッチで行えるようにする技術だ。VEPA(Virtual Ethernet Port Aggregator)やVEB(Virtual Ethernet Bridging)といった業界標準に準拠しているため、特定ベンダにとらわれず利用可能で、また、VMware、Hyper-V、Xenなど、主要なハイパバイザに最適化されているのが特徴。
VCSは、仮想化されたデータセンターに向けたスイッチング技術で、ソフトウェアによるネットワークの再構成を可能にする。ノンストップオペレーション、広範な接続性、インテリジェントなスイッチング機能が特徴。複数のスイッチ群を単一のスイッチとして管理することができるほか、ネットワークのレイヤを根本的に単層化し、管理要素の根本的に削減することで、運用コストを大幅に削減する。同氏によれば「100台のスイッチの運用が1台分の管理運用コストで済む」という。また、無停止でのサービス導入が可能であり、物理構成変更も最小化しているという。
これらの技術に対応した具体的な製品群も今年後半から来年にかけて発売を予定している。具体的には、統合ASICチップセット、ネットワークOS、アダプタ、スイッチなどだ。また、同社では、EthernetやFCにおける継続的な革新を行っていくことも付け加えた。
■国内第一号のユーザーは来年早々に登場
最後に、ブロケード コミュニケーションズ システムズ株式会社 代表取締役社長である青葉雅和氏が登壇し、国内戦略を紹介した。
昨今の潮流は垂直統合型のネットワーク構築だが、実際には単一ベンダによるデータセンターの構築は難しく、マルチベンダ環境になるとし、すべてのサーバベンダ、ストレージベンダとOEMできるのはネットワークをコアにした同社の立ち位置であり、同社はすべてを統合可能な仮想化を進めていくという(写真9)。現在、仮想化されたデータセンター構築を考えているならば、既存インフラを活用できるという点からも、同社の技術や製品群を検討する価値があるものと考えられる。
また同氏によれば、来年早々には国内第一号のユーザーを紹介できるはずで「スイッチがまとめ役になってマルチベンダ環境が動くことが、わかってもらえると思う」と締めくくった。
《竹内充彦》
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