富士通、2011年度のクラウド売上目標は4,000億円……「オンデマンド仮想化システムサービス」発表会
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同サービスは、富士通の館林データセンターからネットワーク経由で、ICTインフラを一括して仮想的に提供するもの。用途に合わせ、従量課金制で利用できるパブリック型のクラウドサービスとなっている。
富士通常務理事でサービスビジネス本部 本部長の阿部孝明氏は、次のようにコメントしている。「私どもは日本企業ということで、特に品質・信頼性を重視し2年間かけてこのクラウドサービスを準備してきた。200社を対象にトライアルを行ったが、そのうち3分の1の企業の方は既存システムのクラウド化、3分の2は全く新しい分野でトライアルを実施している。また200社のうち140社はそのままの継続利用が決まっている」。
同社クラウドビジネスサポート本部 本部長の岡田昭広氏は、同サービスの特徴として、「設計の簡易化」「オンデマンド」「セルフサービス(Webブラウザ操作)」「安全性・信頼性」をあげた。サービス利用時は、サービスポータルサイトにて、目的に合わせたシステム構成を、10種類のシステムテンプレートの中から選択するとクラウド上にオンデマンドの仮想システムが構築される。そしてSSL-VPNを通して仮想マシンへログインした後は、通常のWebサーバと同様に利用できる。岡田氏は「他のクラウドサービスと異なり、システム構築中にはインターネットに一切触れないしくみにしており、構築後に初めてファイアウォールが開けられる」と説明し、同サービスの安全性を強調した。
また「オンデマンド仮想システムサービス」と、グーグルやアマゾン、セールスフォースなど「一般的な」クラウドサービスとの違いとして、同サービスのストレージの多重化、仮想サーバの性能保証などによる「信頼性」、ファイアウォールの標準提供や、サーバを複数の階層に分離して配置できることによる「セキュリティ」、GUIを通したシステムテンプレート提供による「操作性」などをあげた。さらにSLA(サービスレベル)は99.99%で、他の一般的なクラウドサービスのSLA(99.95%)を上回った。岡田氏は「基幹システムで使える基準を満たすことを目指した」としている。またインターネット接続だけでなく、イントラネット(VPN)接続も可能であることも特徴。
200社を対象に5月末から実施されているトライアルでは、主な利用目的として「既存システム移行」(70%)が最も多く、次いで「新規事業用インフラ基盤」(25%)となっている。用途は「情報系(フロント)」が56%、「基幹系」が24%。トライアルでは、従来4、5ヶ月を要していたインフラ設計・構築作業が、数日ですむ場合もあったという。
同サービスは2010年度中に海外5拠点(米国、英国、シンガポール、ドイツ、オーストラリア)へ展開予定だといい、年末年始にはオーストラリアとシンガポールでサービスが開始される。また2011年度の同社クラウド関連サービスの売上目標として4,000億円を目指すとしており、そのうち国内が3,000億円、海外が1,000億円となる。「オンデマンド仮想システムサービス」の売上については、「全体(4,000億円)の10%を目指す」(岡田氏)という。
《RBB TODAY》
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