【インタビュー】“観るテレビ”から“使うテレビ”へ……土浦ケーブルテレビ社長 大倉一仁氏
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――まず最初に会社の沿革や特色について簡単に教えていただけますか
大倉:土浦ケーブルテレビの前身は、1983年に設立した土浦圏テレビ放送という会社になります。その後、開局に時間がかっていますが、1992年に土浦ケーブルテレビとなり、翌93年に「きららテレビ」というブランドでケーブル放送を始めました。1996年にジュピターテレコムの資本が入り、現在は「J:COM茨城」のブランド名で放送事業を行っています。インターネット接続サービスは2000年から、電話サービスは2003年から開始しています。茨城は県域放送がないこともあり、ケーブルテレビやコミュニティチャンネルの役割が重要となっています。そのため、地元のイベントやお祭り、催し物、高校野球の予選などは積極的に取り上げています。また、土浦では10月に大規模な花火大会が開催されます。これは花火の品評会も兼ねたものとなっており、毎年70~80万人の見物客が訪れる大きなイベントです。他のケーブル局も同様だと思いますが、やはり地元密着がポイントです。
――今回の受賞はスピード部門です。対象ケーブル局413の中で土浦ケーブルテレビの平均速度が、下り58.28Mbpsという結果でした。
大倉:正直なところわれわれもスピード部門での受賞は驚いています。ただ、「株分け」といいますが、エリア内での回線の配分、収容数などの最適化は随時行い、メンテナンスを行っています。これが計測にいい影響を与えているのかもしれません。あとは、地域的な特色ですが、契約のおよそ6割がSDU(Single Dwelling Unit)の戸建引き込み工事となっています。集合住宅(MDU:Multple Dwelling Unit)のほうが少ないことも関係しているかもしれませんが、これは詳しく検証しないとわからないでしょう。バックボーンや回線、機器類はJ:COMグループで共通化も進んでいるので特殊なネットワークを構成しているわけではないと思います。
――インターネット接続サービスで160Mbpsの契約の比率はどれくらいですか
大倉:160Mbpsのメニューの提案は積極的に行っているところですが、比率としては全体の40%ちょっとといったところです。多くのユーザーは40Mbpsなどのプランを利用しています。また、これも地域的な特色のひとつかもしれませんが、テレビ、ネット、電話の3サービスをまとめて契約しているユーザーも全体の4割を占めています。「お得プラン」としてテレビ、ネット(160Mコース)、電話の契約をまとめたパック料金プラン(月額9,500円)を展開しているのですが、なかなか好評で、新規契約者のほとんどはこのプランを選んでいただいています。具体的な個別の数字はお答えできませんが、ARPUは、JCOMグループの中では上位をキープしているはずです。これも、3サービスの比率が比較的高いことが影響しているかもしれません。
――地デジ対策への取り組みについてお話いただけますか。
大倉:いわゆるアナログテレビをデジタル化する地デジ化への活動ということでは、総務省の「デジサポ」の一環でアナログ停波のアピールやテレビの切り替えなどの啓発活動に協力しています。J:COM茨城の契約ユーザーについては、99.9%以上の比率でデジタル化は終了しています。しかし、エリア内や茨城県内のデジタル化はまだ高くないので、新規開拓という意味でも地デジ化を推進していきたいと思っています。茨城には、NGNのサービスがまだきていないので、地デジ対策やコミュニティチャンネルなど、さまざまな世帯にケーブルテレビの良さを伝えていくことは重要だと思っています。
――WiMAXのサービスを始めると聞いたのですが、もう少し詳しく教えていただけますか。
大倉:「J:COM WiMAX」ですね。UQコミュニケーションズが全国の政令指定都市や県庁所在地に設置しているWiMAX基地局を使ったMVNOです。キャンペーンではシンセイコーポレーション製のWiMAX端末が対象となり、Wi-Fiルータータイプの「Uroad-7000SS(標準価格:19,800円)」も「0円」でご提供させていただくキャンペーンとなります。また、サービス開始後の月額利用料が最大2ヶ月無料になります。J:COM WiMAXは、下り40Mbps/上り10Mbpsのベストエフォートでサービスが提供されます。
――これからのケーブルテレビ事業者がとるべき道はどのようなものと考えていますか。
大倉:非常に難しい問題ですが、ケーブルテレビのサービスの基本は有料の多チャンネルサービスだと思っています。地域に根差したサービスとしてメニューやコンテンツの開発、そして料金プランとのバランスが重要なのではないでしょうか。地域のニーズをいかに吸い上げるか、そして双方向という特色を活かして、「観るテレビ」から「使うテレビ」へ、いかに転換を進めるかにかかってくると思います。ニーズはライフスタイルの変化からくるものもありますが、地域色も反映されるものだと思っています。さきほどのWiMAXサービスのような取り組みもそうですし、例えば、契約時の工事の際のリモコンやSTBの設定なども、高齢者向けに工事担当者やサポート要員によるオンサイトでの設定サービスなども展開しています。このような「生の声」によるサービスの向上や開発を進めていくべきだと思います。iPhoneのような製品が市場で支持されると同時に、ボタンの大きさや画面に工夫し、使わない機能を削除した高齢者向けのらくらくフォンがヒットしたりしているわけです。個別のニーズを分析し、ターゲットに最適なサービスをいかに提供するか、に尽きるでしょう。
《RBB TODAY》
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