【MWC 2011(Vol.46)】低価格Android端末向けCPUでシェアを狙う中国メーカー
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
最新製品の「RK2918」はARM Cortex-A8コアを搭載するチップで、最大1.2GHzで動作する。プロセッサ自体の性能には他のARM系チップとの間に大きな差はないが、Googleが推進しようとしている動画フォーマット「WebM」に使われている圧縮技術であるVP8のハードウェアデコードに対応しているのが特徴。VP8の動画を再生する場合もプロセッサコアに負担をかけずに楽しめるので、バッテリー容量が限られるモバイル機器では今後求められる可能性の高い機能と言えるだろう。
QualcommのSnapdragonシリーズ、NVIDIAのTEGRAシリーズなど、組み込み向けプロセッサの分野では競争が激しくなっているが、同社はそれらがターゲットとしているハイエンドの機器ではなく、コスト競争力のある機器の市場での展開を狙っている。例えば、Androidを搭載したタブレット型デバイスとして比較的早くから出回っている仏Archosの製品はRockchipを採用しているが、最上位機種でも300ドル程度の価格設定となっている。別途通信回線の契約などを行わない場合、単体での販売価格が500~600ドルに上るハイエンドのスマートフォンやタブレットとは明らかに価格レンジが異なる。
日本でも名前を聞くような国内外の有名メーカーがすぐにRockchipを採用する可能性は低いが、中国ではいまや無数のOEMベンダーが低価格Android搭載機器の開発・製造に乗り出しており、世界的に見るとローエンドからミドルクラスのデバイスの市場も大きい。また、低価格のAndroid機と言っても、わずかこの1年ほどの間にもスペックは確実に向上しており、日本の携帯電話各社さえも中国メーカー製のAndroidスマートフォン採用を拡大している。日本や欧米のベンダーが攻略しきれない市場を、Rockchipのようなベンダーが一気にさらっていく可能性は小さくないと言えるだろう。
《日高彰》
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