広告展開としてのスマートフォンの現状……DAC木村洋平氏
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木村氏は広告主による広告出稿の目的を、ブランディング目的とパフォーマンス目的(会員獲得、売上増加など)に分類。フィーチャーフォンにおける広告主の傾向(2010年1Q~2011年1Q)としては、「パフォーマンス重視」が95.7%、「ブランディング重視」が4.3%とパフォーマンス目的の広告が圧倒的に高いものの、スマートフォンの場合では、「ブランディング重視」が78.0%、「パフォーマンス重視」が22.0%とブランディング目的の広告の割合が比較的高くなると説明した。スマートフォンにおけるブランディング型広告への需要が伸びた要因としては、新しいデバイスへ対応することで「先進的である」とのイメージををつくることができ、結果ブランディングへつながるとの見方を示した。
「アプリ開発者やメディアの方は、どちらの広告主と付き合っていきたいのかを考えて戦略を練っていく必要がある」と木村氏は語る。さらに「弊社のような広告会社が広告主に提案したいポイントは、固有のコンテンツと固有のユーザーを抱えていること。ここに注力していってほしい。そうすれば広告主は出稿したくなる」と続けた。木村氏は一例として、読者の67.5%を管理職が占める日本経済新聞の電子版(有料)や、同じく管理職が49.7%を占める産経新聞iPhone版(無料)を挙げた。またパフォーマンス型の広告についても、「大量PVと新規のユーザーを確保していれば、広告主は常に広告を出し続けたいと考える」と語る。それぞれの広告の販売手法としては、ブランディング型広告は単一媒体、パフォーマンス型広告はアドネットワークでの販売が適切であるとした。
また木村氏は、スマートフォン登場後のメディアの変化についても触れた。Webサイトのページビュー数(PV)をフィーチャーフォンとスマートフォンで比較すると、フィーチャーフォンの場合ではAmebaやmixi、mobage、GREEなどソーシャルメディアやソーシャルゲームサイトが上位に入るのに対し、スマートフォンでは引き続きこれらのサイトが上位に入るものの、トップは「Yahoo!Japan」となり、ポータルサイトが躍進した形となった。木村氏は、「スマートフォンの利用により、PCサイトの閲覧数が増えるなど、ユーザーが積極的に情報を取得するようになっている。それが反映された結果なのでは」とした。
スマートフォンの普及が進むにつれ、スマートフォン広告を展開する媒体も増加。2010年5月時点で、スマートフォン広告を展開していた媒体は、Yahoo!JapanやAdMobなど4、5社程度であったが、2011年3月には「ポータル系」「専門系」「アドネットワーク系」などのカテゴリに分類できるほど多種多様な媒体が登場した。
またフィーチャーフォンに比べ、ハードの処理能力が高いスマートフォンならではの広告として、AR(Augmented Reality)や位置情報を用いた取組事例を紹介。ファミリーマートによる、ARソフトウェア「セカイカメラ」を用いた製品の販促や、位置情報SNSの「foursquare」で「check-in」することで飲食店のポイントがたまるというような取り組みが紹介された。
また講演では、スマートフォン利用に関する各種データも紹介された。2015年の世界携帯電話市場における、スマートフォンのシェアは4割に達するという(矢野経済研究所)。また日本市場におけるスマートフォンの出荷台数は、2010年度の675万台から2015年度は2,410万台へ増加する見込み(MM総研)。さらにスマートフォンの主利用者による「フィーチャーフォン/スマートフォンでのインターネット」利用時間は44.7分で、主にフィーチャーフォンを利用するユーザー(18.7分)よりも大幅に長いという結果が出ている。
《RBB TODAY》
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