富士通研、大気中の腐食性物質を高感度で検出できる装置を開発……電子機器の腐食障害を予防
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
この装置は、水晶振動子の表面に物質が吸着すると発振周波数が変化する「QCM(Quartz Crystal Microbalance)センサー」を利用したもの。小型で、電池による単独動作が可能。さらに測定したデータを無線で送信することもできる。もし、電波状況が悪くなって通信が途切れた場合でも、その間の測定データはセンサー・ユニットが記憶し、電波状況が回復したときに読み取ることができるという。通信ユニット1台につき、センサー・ユニットは10台まで設置可能。
センサー・ユニットでは、高感度のQCMセンサーの発振回路や測定回路、制御回路などを高集積化するだけでなく、腐食環境の測定に必要な機能に着目して回路を最適設計。これにより測定データのメモリ機能、無線通信機能を有しながら小型(幅50x奥行き65x高さ14mm)、軽量化(22g)を実現した。また入出力のタイミングの最適化も実現し省電力化を図り、センサー・ユニットに内蔵した電池だけで、数か月間の連続モニタリング動作を可能にした。これらにより、従来は電源確保やケーブル敷設が問題で測定が困難であった屋外や狭い空間、自動車や乗り物の中などに、本装置のセンサー・ユニットは設置できる見込みだ。なお温度センサーと湿度センサーも内蔵する。
今回開発された環境モニタリング装置を利用することにより、電子機器の筐体内や屋外の移動体といった、電源や通信ケーブルが確保できない場所でも、設置場所の大気環境を遠隔地で常時監視できるようになる。たとえば、化学物質の漏洩や焼却炉からのガスの発生、火山の噴火などにより、大気環境が変化すると、リアルタイムでその影響を発振周波数の変化として測定できる。富士通クオリティ・ラボでは、金属試験片を用いた腐食環境診断キット(商品名:エコチェッカXRF)を販売しているが、診断に1か月以上を要していた。今後は、今回開発されたモニタリング装置による迅速な診断サービスをラインナップに加え、環境診断サービスの充実を図るとしている。一方富士通研究所では、新しいサービスビジネスの創出に向けて、環境モニタリングサービスへの展開も検討中とのこと。
《冨岡晶》
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