ARM、ハイエンドGPU「Mali-T658 」を発表……Mali-400 MPに比べて10倍の性能 | RBB TODAY

ARM、ハイエンドGPU「Mali-T658 」を発表……Mali-400 MPに比べて10倍の性能

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ARM(日本法人)代表取締役社長 西嶋 貴史氏
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 ARMは10日、都内で記者会見をおこない、スマートフォンやタブレットなどモバイル端末用組込用途の新型GPU「Mali-T658 」を発表した。

 Mali-T658 GPUは、マルチコア設計にARM独自のシステムレベル・アプローチを採用し、性能とエネルギー効率の両方を最適化。サムスンの「Galaxy S2」などスマートフォン/タブレットのハイエンド〜メインストリーム機種に使用されている「Mali-400 MP」に比べて、最大10倍のグラフィックス性能を実現しているという。

 また、「Mali-T604」の4倍のGPUコンピュート(いわゆるGPGPU)性能を持ち、画像処理やAR(拡張現実)など、従来グラフィックス処理を使用していなかった分野でも、パフォーマンスを最大限に発揮できるとしている。

 明日より開催されるカンファレンスイベント「ARM Technical Symposia 2011 Japan」に合わせて英国ARM社長(プレジデント)のチューダー・ブラウン(Tudor Brown)氏が来日しており、記者会見にも出席した。

 「今回、世界に先駆けて日本でMali-T658を発表した。ARMはMPU/CPUでよく知られているがグラフィックスの部門でも長年の実績がある。今回発表したMali-T658は最新・最高のグラフィック性能を実現しているが、トータルシステムとしてはCPUのアプローチと同じだ。Midgardアーキテクチャをベースとし、8コアにまで対応するスケーラビリティもある。グラフィックスIPとしては現時点でもっとも性能が高いことから、Mali-T658はハイエンドデバイスをターゲットにしている」(ブラウン氏)。

 メディアプロセシング部門ストラテジックマーケティング担当副社長(VP)のケビン・スミス(Kevin Smith)氏がMali-T658についての具体的な特徴について説明した。

 Mali-T658はベースは1年前に発表したMali-T604をベースに、コア自体の倍増に加えて、コア当たりの演算パイプラインも倍増させて「Mali-400 MP」の10倍のグラフィックス性能と「Mali-T604」の4倍のGPUコンピュート性能を実現するとともに、スケーラビリティも8コアまで拡張された。

 拡張APIについては、グラフィックスAPI「DirectX 11」「Open GL ES」「OpenVG」などのグラフィックスAPI、さらに「Open CL」「Renderscript」「DirectConpute」などのコンピュートAPIにも対応。スミス氏は、「GPUコンピュートについてはMali-T658でシステムレベルのサポートをおこなっており、大量のデータ処理をCPUに負担をかけずに実現出来る。A9/A15におけるビックCPU/リトルCPUの組み合わせにMaliで対応させれば、CPUをフルパワーで稼働させることがほとんどなく、消費電力の低減にもつながる。これら点は競合他社に対する優位性をもたらすだろう」と説明。

 省電力機能については、「Job Manager」と呼ばれるハードウェアレベルの最適化機構を組み合わせることで効率化と消費電力の削減を両立できるとしている。

 すでに富士通セミコンダクターやサムスン、LG電子など数社がMali-T658のライセンシングに同意しており、プレゼンテーションで見せたOEMロードマップによれば2013年下半期から採用製品がマーケットに出回る予定だ。

《北島友和》

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