NTT、世界初のGaN系半導体剥離プロセスを開発……より薄いLED作製などに期待
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
GaN系半導体は、無線通信やパワーエレクトロニクスで使用される高出力電子デバイス、信号機・照明などに使用される可視光デバイスなどの半導体材料として広く使われている。GaN系半導体は、厚みが0.5mm程度の成長用サファイア基板上に、積層した薄膜素子を加工して作られるが、成長用基板の厚みがLED全体の厚みとなってしまう問題があった。今回の技術を用いることにより、2μm(0.002mm)厚といった非常に薄いGaN系半導体薄膜素子を、低コストで作製することが可能になる。可視光を透過し紫外線のみを効率よく吸収する特性を持つ太陽電池の開発、200μm(0.2mm)程度の薄い発光ダイオード(LED)の作製などが期待されるという。
NTTの物性科学基礎研究所では、グラファイト(2010年にノーベル物理学賞の対象となったグラフェンが積み重なったもの)と同じ層状の結晶構造を持つ窒化ホウ素(BN)に着目し、成長用基板から薄膜素子を剥離し別の基板に貼り付ける研究を行っていた。今回、窒化物半導体薄膜に関する積層技術をベースに、「MeTRe法」(メートル法:Mechanical Transfer using a Release layer)という、成長用基板から薄膜素子を剥離する方法を世界で初めて開発した。
たとえば、窓に透明な薄膜素子を貼り付ける事で、太陽光に含まれる紫外線のみを遮断する事が可能となり、遮断した紫外線で発電する太陽電池の開発が可能となる見込み。今後は剥離する薄膜素子の面積を大きくすると共に、窓や乗り物に貼り付けて使う太陽電池への応用や既存デバイスの特性改善などの実証に取り組んでいくとしている。なお、本成果は、英国科学雑誌「Nature」4月12日号に掲載される。
《冨岡晶》
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